02 褒める両親と敵対心を燃やす兄
恥辱を受けるとはこのことだろう。
母乳を飲むのを家族に見られ、それを微笑まれる。
これが恥辱ではなく何が恥辱なのだ!!・・・まぁそこまでは思わないが、ニヤニヤ見るのは本当に止めていただきたい。
「おお。ちゃんと飲んでるなぁ」
父が嬉しそうに食事をしている俺の頭を撫でる。
「だあぁぁ、だぁああ」
それを二歳と思われる兄は、こちらを羨ましがるように見つめ「うぅぅ」と唸るとついにウエ-ンと泣き出した。
俺はそれをスルーして我冠せずで、少しでも早く成長するために授乳し続ける。そんな兄の鳴き声に反応しない俺を見ながら母が一言ボソッと呟いた。
「本当に食いしん坊ねぇ」
その言葉は耳に届いていたが、お腹いっぱいになってから、さらに限界近くまで飲み続ける。
そして豪快に「ゲフッ」とゲップをするのが、俺の今の仕事だ。
その他には睡眠と漏らすことが仕事だ。
ただ問題なのは、漏らして長時間放置するとお尻が被れるので、現在では手をバタつかせて、それに気がつかれないと泣くことにしている。
そのため両親の評価は上々だ。
「本当にレインは楽だわ」
「天才かも知れないな」
そんな会話が出る反面で弊害とまでは言わないが、兄の俺に対するヘイト値は日に日に高くなっていき、両親が見えていないときに攻撃してきたりするヤンチャ坊主なのが困ることだ。
俺の名前はレインスター。
基本的に城に立てこもり(※注 ただのベビーベッドです )不思議な感覚を自在に動かしたり、数を増やしたり、身体中にランダムに出現させたりして遊ぶことの出来るボッチだ。
敵はたまにやってくる兄だが、首が据わってきた俺はベッドの逆側に転がれば触れられることも無い。こうして城でボッチ生活を満喫するのであった。
レインスターが生まれた家は貴族ではないが、村長同士の息子と娘の結婚だったために他の家よりは裕福に暮らしをしている。
ただ貴族のようにレインの両親は魔法を使えないし、識字も100%ではなかった。
レインの両親はいずれはラスタードを村長にする予定だが、レインのことも考えておこうと思った。
そんな会話を聞いた俺は努力しなければ兄が村長となり、彼に顎で使われる未来となってしまう。
まぁそんなことを考えることも無く、もう少し大きくなったら考えることにして、ラスタードのヘイト値を上げていくのだった。
(転生からもう三ヶ月も経つのか。早いものだ)
俺は自分の人生が、こんなジェットコースターになるなんて、夢にも思ったことは無かった。
この世界の主神と名乗った人物が神であることは理解した。その理由は大きなアドバンテージだった。
両親の仲も悪くなく、異世界で生きるために何か使命を持たせられた訳でもない。
現実的に考えて、もう覚める夢じゃないのは理解した。
これからのことを考えて行くしかないと判断した。
(あ、そう言えば何かをくれるって言ってなかったっけ?)
そこまで考えて鑑定というものをもらったことを思い出して〔鑑定〕を念じてみた。
すると突然目の前に、ホログラムウインドウが出てきて日本語で文字が表示された。
〔木のベッド〕
たったそれだけの為に、ログが出てきた。
これだけ?これのどこが裏技なんだ?俺は呆然として動けなかった。
鑑定よりもこのホログラムウインドウの方が何倍も凄い技術だ。そう思ってレインは鑑定を使うことがあまり無くなった。
そう。レインは前世で小説は読むが、ファンタジー小説を読むタイプではなかった。
また、ゲーム等もしていたが、RPGなどは中学生で卒業していた為に全く異世界に対して疎いままで、異世界転生を果たした男だったのだ。
レインが鑑定する時は、物の名前が知りたかったりする時だけで、それ以外の時間は不思議な感覚=魔力を操り、消したり、部分的に出現させたり、循環させたりして遊ぶボッチ遊びを極めていくのだった。
お読みいただきありがとうございます。
本当にさらっといきます。




