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22 旅立ちと白馬との出会い

「おう。そうかそれは大変そうだな。それなら銀貨三十枚で買い取ろう」

「…?何がそれならですか。最近お肉だって高騰しているでしょう。処理も完璧なんですから銀貨が五十枚は硬い」

「それはないぜ…分かったよ。じゃあ銀貨四十枚。それで駄目なら今回はなかったことにしてくれ」手を上げたエドビスさんだった。


「じゃあ、なかったことで…」レインはこんなところで折れるはずもなくドライな対応をすると

「そこは売ろうぜ。チクショー銀貨四十二枚」エビドスさんは屈服した。


「いいでしょう。しかし高騰しましたね」

「ああ。まぁ冬だからな」


 今まで交渉していたとは思えないほど淡々と会話をする二人にマキナリは「俺は商人にはなれんな…」と呟くのだった。

 そして銀貨八十四枚を手にしたレインは冒険者ギルドでEランク魔石を八個とFランクの魔石を百六十二個渡して銀貨二十四枚と銅貨二十枚を貰い、余っていた銀貨を合わせると銀貨百四十二枚と銅貨三十枚となった。

「足りなかった。いや、ちょっと待っててください」

 マキナリさんにそう告げると腰に差していたブロードソードを鍛冶屋に持って行った。


「う~ん。手入れが悪い・・・いや、手入れを昔にしていたやつが悪い。鉄にするから二つでおまけして銀貨五枚ってところか」

 おまけしてもらい銀貨五枚で買い取ってもらった。


「あと銀貨三枚か。今からここら辺で狩りでもするか? そうすれば銀貨三枚ぐらい」

 とそこに「銀貨三枚くらい村から出るだろう」とマキナリは呆れながら銀貨をくれた。

「良いのですか?」するとマキナリは頷き

「ああ。金は貴族様から出てる」

「ありがとう御座います」そう言ってレインは走って魔道具屋リリィへと向かった。

「リリィさん、いますか?」

 開いたドアの先にリリィさんはいたが、どうやら来客中だったらしい。

「噂をすればレイン君いらっしゃい」そう出迎えてくれた。

「…君がレインスターか?」と騎士って感じの格好をした・・・

「…あれ? お兄さんってリーダーだった人?」


「おお。本当に覚えているとは」と何処か嬉しそうだった。

「今じゃ貴族様の私兵よ」とリリィさんがからかう。

「それでどうしたの?」とリリィさんが聞いてきたので

「残りのお金を溜めてきましたのであの商品を売ってください」と言うとリリィさんは

「……本当?」と驚きながら「十歳の稼ぎじゃないね」と頷かれた。


 銀貨の入った皮袋を渡すと「じゃあケイオスっと待ってなさい」そう言い残しリリィさんは地下へと消えていった。


「よもやあの少年がこれほど大きくなっているとはな…」とケイオスさんが話掛けてきてくれた。

「ははは。成長期です。あ、結婚おめでとうございます」レインは以前リリィさんが自分のパーティーで結婚した二人がいると教えてくれたことを思い出しお祝いの言葉を告げた。すると照れたようにケイオスさんは「ありがとう」と堅物なイメージが消えていった。


「はい。お待たせ」とリリィさんが持ってきた商品を装備していく。

「おい。これって迷宮の装備じゃないか」

「そうよ。だってこの子だったのよ。眉間の矢の狩人」すると驚いて

「あんなに小さかったのにか?」とケイオスさんは驚愕していた。


 魔物の皮で適当に作っていた靴は職人が作った物みたいに足にピッタリとして少し長かったローブも背丈に合わせたような長さへと変わった。


「……なっ?!」驚いた表情の僕にリリィさんが商品の説明をしてくれた。


「大抵の迷宮産の防具には装備者に併せて伸縮する機能がついているのよ。ふふふ。」と笑われて恥ずかしくなりながら矢筒と新しい弓を装備すると「凄い」それしか言葉に出来なかった。


 弓が持ち手に吸い付き弦を引くと、あたかも弦はこうやって綺麗に引くんだと弓に教えてもらっている気がした。

「凄いのは君よ」と気がつけばリリィさんの顔が近くにあった。カウンターから身体を投げ出して言う。


「ケイオスでさえ引けない弓だったのよ」ケイオスさんを見ると

「本当だ」と驚いた顔をして頷いた。


「そうだ、矢筒は?」と矢筒に触ると矢が出てきた。それも今持っている長弓用の矢がいきなり出現したのだ。

「……へっ?」っとレインが驚くと

「あ~そういう仕掛けか」

「なるほどな」と二人は納得した様子だった。

「それらの弓と矢筒は人を選ぶのよ。だから狩人じゃないと意味がなかったのね」とリリィさんが呟くと

「かなりの装備品だな」ケイオスさんも続いた。


「まぁね。まぁレイン君ならいいわ。その代わり今度来る時はもっとお金を貯めて買いに来なさいよ」とリリィさんに言われて

「はい。頑張って来ます」と挨拶を交わした。


 それからケイオスさんと店を出るとマキナリさんがケイオスさんに話かけた。

「ケイオスが迎えなのか」どうやらマキナリさんとケイオスさんは知り合いだったみたいだ。


「どうしてこいつがバレたんだ?」とマキナリさんの問いに

「子供がオークを弓で撃退して、頭も良い。平民なので魔法は分かりませんが、各村の村長連盟でレイン君がいると若者が結婚できないと陳情書が上がりました」ケイオスさんは答えた。


「はぁ~。目立ち過ぎたな。こいつには自由に暮らして欲しかったんだけどな」そう言うマキナリさんに

「まぁ成人したら自由になれますよ。生き方は自分で決められますし……」ケイオスさんはそう告げた。


「はぁ~。お前はこいつを知らなすぎる」とマキナリさんは僕の頭に手を置いて

「出来ることは少ないと思うが、なんとか支えてやってくれ」とケイオスさんにお願いしてくれた。

「はい。分かりました」


「よし。じゃあ後はケイオスに任せた。レイン、此処でお別れだ」

「マキナリさん、送ってくれてありがとう御座いました」

「ああ。成人したら村に遊びに来いよ」

「はい」と頷いた。

 マキナリさんは宿の方に向かった。


「じゃあ俺達は君の馬を見繕うから、まずは獣使いの飼育商人のところまで行こう」と前を歩き出した。値切ったあそこじゃないといいなぁ。いつも通りフラグを立てるレイン。


 店に入ると「いらっしゃいませ」と声が聞こえてケイオスさんの後に僕の顔を見ると商人の顔が固まった。


「主人、私達は辺境伯のところの兵だ。金はあるから馬を二頭頼みたい」

 すると値切られる理由ではないことに再起動して「どうぞこちらへ」と案内されるのだった。


 小さな牧場ではあるが数は其処まで多くないので、ちゃんと運動させていることは分かっていた。

「馬はあそこの三頭です」と栗毛が三頭草を食べていた。羊やヤギもいたが、バルファーはいなかった。


 さすがに買い占めたのは駄目だったかぁ~と思いながら観察していると「どれにする?」とケイオスさんに聞かれて観察すると「あれ?あの馬は?」と指を指す方向に白い馬がいた。


「ああ。あれは牝馬なんですが、連れてこられて二月も経つのに群れに加わらないし弱ってきてるんで、肉にしちまおうかと思ってるんですよ」「それでは、あの馬を買います」


「それは無理ですよ。あいつは私にも懐かないんですよ?」

「あの子って高いんですか?」

「いいえ、銀貨十枚で構いませんが、他の馬だって銀貨五十枚ですよ?」

そう言われても相場が分からないからなんとも言えない。


「じゃあケイオスさん。ここはお任せします。僕は彼女を説得してきますから」と白馬に向かって歩き出した。


 後ろで二人が話を始めたので白馬と交渉することにした。


 魔力を全開に練り上げると他の動物は僕から距離を取る。しかし白馬はこちらを警戒するだけで逃げなかった。そこで魔力を一気に切った。いつもならここで警戒を解くのだけど、この白馬は警戒を解かなかった。


 三メートル程の所で止まり「初めまして僕の名前はレインスター。レインだ。僕は現在馬を探している。だから君に乗せてくれないか?」すると「首を振る」


「もしかして子供がいる?」すると頷いた。


「そうか。でもお腹は目立ってないし、三日間歩けば美味しいご飯と子馬と引き裂かないことを約束するよ。それでどうだい?」するとしばしの葛藤があるのか頷いた。


「ありがと」僕は近づき首を撫でてやると力が抜けていった。

その光景を見ていた商人は驚き

「…?!あいつは何者なんだ」と叫んでいた。


 こうして馬を手に入れた僕はケイオスさんと野営をしながら、三日掛けて辺境伯が住むスタークの街に到着した。


 レインは白馬にラフィと名付けてお腹に影響がないように進んだ。


 ケイオスにもエレフェレンを出る際に伝えてあったので、ため息を吐かれたもののケイオスが一度戻って浮いたお金で食料を買ってから「食事が豪華だ」と笑いながら野営をした。


 野営中、外で寝ていたレインをラフィが突然起こし始めた。

どうやら魔物が出たみたいでいち早く異常を察知したラフィがレインを起こしてくれたらしい。

「ありがとう、ラフィ」レインはラフィを撫でた後、魔物を迎え撃つ。

レインは早速手に入れた新装備で試射しながら迎え撃ち、新装備の性能に驚きながら死体の魔石を回収してクリーンを掛けて戻った。


 その間ケイオスは久々の酒を煽ったせいで寝ていたので気が付いていなかった。死地から離れて警備だけの生活は安全と引き換えに危険回避能力を鈍らせることにもなっていたのだった。


 こうしてレインとラフィに守られながらの旅路で誰に咎められることもなくケイオスは任務を達成するのだった。

お読みいただきありがとうございます。

本日2話目です。

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