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01 母のぬくもりと新たな命

 神と名乗った男? 彼に無理矢理転生させられてからどれくらいの時が経ったのか分からなかった。


 ただお腹の中にいる。そう感じるようになったのは意識が覚醒して直ぐのことだった。


 最初は暖かい何かに包まれている感覚だった。


 そして次に感じたのは、とても安心感があるものと繋がっていて、優しい気持ちが流れてくるそんな不思議な感覚だった。


 俺はきっとこれが母と繋がっているということなのだろうと結論付けた。


 何度も意識が飛んでは、覚醒して少しの考え事をしてまた意識が飛んでいくその繰り返しだった。


 それでもその安心感はずっと続いていた。


 目は開けられず、身体も少し動かすことが出来る様になった程度で、また直ぐに眠くなり意識を手放すそれが俺の日常だった。


 どれくらいの時間が経っただろう。お腹は空かないし、大きく動けない。徐々にこの生活が飽きてきた時だった。


「・・・な・・てね」

 女性の優しい声が微かに聞こえた。集中して聞こうとすると眠気に襲われて、声を聞くのはまたの機会になるのだった。



 それから暫らくしてまた声が聞こえるようになってきた。

「君は男の子なのかな? 女の子なのかな? どちらでも構わないからちゃんと産まれてきてね」

 そう優しく語りかけてくる、母の優しい声で俺のイライラしていた感情は鳴りを潜めた。

 普通の赤ん坊が母に愛着といえばいいのか愛情といえばいいのか、その感情が湧く理由が分かった気がした。

 前世でもこういう感じだったのかは分からないが、そうであったなら嬉しいと思いながらまた眠りについた。



 俺は意識を外に向けることで、中から外の世界の話を断片的に聞けるようになってきた。

また、最近知った身体に眠る不思議な感覚を、出したり引っ込めたりして遊ぶことが増えていった。

 まぁそれしかやることがないので睡眠と外の情報が入ってくる以外はそうやって時間を潰していた。


 声や音が判断出来るようになって、外の登場人物は母とグラスと呼ばれている父と兄であるラスター、母の兄でグランバート、その奥さんであるミルフィス、たまに近所の奥さん達と八百屋のロドルが出てきた。


 会話を聞きながら不思議な感覚を消したり出したり、まるで電気だな~と思いながら動かすことを始めのだが、これが予想以上に難しく、実験を繰り返しては挫折して漸く動かせるようになったのは、何度も寝たあとのことだった。


 不思議な感覚を動かすイメージとして、全身に動かすことは難しかったので、全身のあらゆる場所に出現させるようにしてみた。

 それが出来る様になってからは早かった。


 俺が出来たことに満足していると身体が大きく揺れて、俺は外の世界に引き上げられていった。


 始めはそのあまりの痛さに気を失った・・・が、異世界は俺に優しくなかった。


 パァーン。

 そんな厳しく尻を叩かれて、あまりの痛さに声を上げると自動的に涙と大声が出るのだった。

 その声に周りが喜んだ声がはっきりと聞こえた。


 ただ、肉体に精神が引っ張られたのか大声で泣いた。そんな俺の自尊心はこの時大きく傷つけられたのだった。


「インギャァーオンギャオンギャ」

 俺は自棄になり、全てのエネルギーを使って泣きじゃくり、あっという間に眠くなってしまったがそれまでは頑張って泣いた。


 目は外が明るすぎて見えないので、落ち着いたら見えるようになるだろう。

 薄れ行く意識の中でそんなことを考えていた。



 SIDE 両親



「この子は大人しい子だわ。だってあまりお腹を蹴らないのよ」

 レイニーがお腹を撫でながら心配そうにグラスに話す。

「それじゃあ女の子かなぁ? ラスターの時はお腹を凄く蹴られたんだろ?」

 嬉しそうにレイニーのお腹を撫でる。


「そうだったわ。私が比較出来るのはラスターだけだから、大人しいと感じるだけかも知れないけどね」

「きっとそうだよ。それに君はラスターのときより、たくさん食べているけど、全然太らないからきっと生まれてくる子は食いしん坊なのかも知れないな」

「ふふふ。そうね。でも男の子でも女の子でも元気に産まれてきてくれればそれでいいわ」

「名前は産まれてから、お義父さんが決めるんだろ?」

「うん。ラスターのときはそっちのお義父さんが決めたからね」

「親父は残念がるだろうけどな。さてと僕は環境を整えるか」

 そう言ってグラスが立ち上がると「うっ、」とお腹をレイニーは抑えてグラスに伝える。

「先生を呼んできて」

 その瞬間グラスは産婆を呼びに走っていった。



 こうして出産が開始されると、一時間も掛からずに、安産で男の子が産まれた。


 しかし、普通は泣くはずの赤子が泣かない。それに赤子はぐったりしていた。グラスは赤子を抱き寄せることも許されない。怒ったグラスが産婆に詰め寄ろうした時に産婆が口を開いた。

「息もあるし心音も聞こえるから安心セイッ!」

 パァーンとそれは見事な音がするほど赤子の尻を強く叩いた。


 そのことにグラスは唖然として固まってしまった。だが直ぐに固まっていた顔が綻ぶことになる。

「インギャァーオンギャオンギャ」

 まるで産まれたことを世界に知らせるかの様に、新たな息子は大きな声で泣いた。


「レイニ-やったな」

「うん。ちょっと疲れたけど、ラスターみたいに逆子じゃなくて良かった」

 安産を喜ぶのだった。


 こうして新たな息子の名前をレインスターと名付けて少しのんびり屋になりそうな新たな家族を迎えるのだった。


 SIDE END


お読みいただきありがとう御座います。

転生が完了しました。

妄想です。

サクッと、さらっと書いていきます。


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