17 魔物の襲撃が再び
空から光が差した頃にケッタン村を通ると村人がこちらを凝視していた。
「おうおう見られてるね。レイン何でだか分かるか?」嬉しそうなマキナリがレインに聞いてきた。
レインは少し考えてからマキナリに答える。
「バルファーってステイタスになるんですか?」
「おう。そうなんだよ。バルファーを持つことは富の象徴だからな。それを雌が三頭に雄が一頭。もうレイン様々だぜ。」そう言ってニッコリと笑った。
「でもそれなら他の村から盗みに来たらどうするんですか?」
「くっくっく。知らないよな。今はレインのおかげでついて来ているが、こいつらは基本的に動かない。だから盗むなんてことは不可能なんだよ。」
「あ~あ。だからあのバルファーを売ってくれた商人さんは唖然としてたんですか。」
「ああ。一頭銀貨五十枚は掛かるところを持って帰ると言ったら半額以下にしてくれたからな。」
どうやら随分値切れたらしいことをレインは直感した。
「あとは魔物が出ないでいてくれれば御の字だ」
「そうですね。まぁ後半分ですからね」
「ああ」
「またいつか街にいきたいなぁ。」
「成人したら頼んでみろ」
そんな会話しながら村へと進んだ。
レインは知らない…それがフラグだったということを。
そのフラグを知らないレインはこの後もフラグを建て続けるのだった。
太陽が頂点に来た頃にお尻の痛さを吹き飛ばすことが起きた。
「もう直ぐ村ですけど魔物です」
レインは幌に飛び乗ると弓を構えて矢を放つ。
獲物であるバルファーを捉えた狼の群れらしく十頭はいた。レインが放った矢は寸前で避けられてしまう。
「ちっこちらに集中しているから、普通に放っても避けられるな」
レインは弓を構えて詠唱を開始した。
【風よ。我が矢に敵に喰らいつく力を ホーミングアロー】
魔力を矢に込めながら放つ。
立て続けに詠唱しながら十回連続で放った。
この様に連続で魔法を使用すると気持ち悪くなるのだが、マキナリの悲痛の顔を見ているよりは全然良かった。
矢は避ける狼に追って突き刺さった。
どれもこれもきれいに心臓付近に深々と刺さっているのを見ながらレインは息を吐いて幌から下りる。
少しフラっとしたところをマキナリに心配されたが笑いながら答える。
「幌から飛んで下りると痛いんですね」
「はぁ~。当たり前だろ。俺だったらこんな高いところから飛んだらケガをするぞ」
「ちょっととどめを刺してきます」
「ああ。どうせお前がいないとこいつらは動かないしな」
レインは念のためにトドメを刺しに向かうと告げたのだが、マキナリは問題ないと笑うのだった。
馬車から離れるとレインからは本音が零れ落ちた。
「さすがに七発以降はきついなぁ~。もうちょっと基礎を強化しないと将来完全に詰むな…」
自分を鑑定してMPが半分以下になっていることを確認してため息を尽きながら、全ての狼にとどめを刺した。
首を切り魔石を織り出すと一箇所に集めながら呟いた。
「全部魔物か。こんなこともあるんだな」
レインが魔物だけで編制している群れと戦ったことがなく感想を漏らすのだった。
一度服と短剣にクリーンを掛けてから、手には血が付着してしたので、ものは試しで湧水の水晶を使ってみることにした。
「早速使いたがるなんて子供だな」
レインは自嘲しながら使ってみた。
「アクア」
短く教わった魔言を発すると水晶から水が零れていく。
レインは血を洗い流していきながら、想像以上に十リットルは少なかったので、もっと大量に買ってくれば良かったと感じていた。
レインはマキナリの馬車に狼の死体を乗せて走り出した。
このまま街道に死体を放置して、魔物が街道に居ついたら大変だし、街道で解体するわけにもいかなかったからだ。
そんなこともありながら一刻も経たないで村が見えたときに村では大事件が起きていた。
「おいおい。襲われているじゃないか」
マキナリの声が硬さを含んでいた。
そうレイン達の村が襲われていたのだ。今回の襲撃はオークだけの編制で、しかも襲撃されて直ぐだったようで柵は壊れていなかった。
「此処から全部殺します。起きたらたくさんの食事をお願いします」
マキナリに気絶するかもしれない自身をことを頼んで、レインは言葉を紡ぎながら放たれた矢を放ち、剣と盾を持ったオークナイト二体と偉そうな大剣を持ったオークリーダーの頭に矢が突き刺さり倒れた。
その3射で魔力が無いことを思い出し、オークの残り数が五体だったのを確認するとマキナリの制止を振り切ってレインはオークに向かって走り、近づきながら矢を放つ。
三体のリーダー格を斃したことで、オークがこちらを向いたので目、口、首と突き刺さるところに矢を放っていく。
村の皆もそれを見て投石を開始してオークは挟撃されたことで、豪腕を振るう前に攻撃の凄まじさに逃げ出すが僕は矢で射殺した。
全てが終わると僕は体が熱くそして痛くなり倒れた。
「お腹が空いた」
飢餓感に襲われたレインはそう呟いて倒れた。
この時、矢筒にあった三十本の矢は一本も残っていなかった。そのことと静止を振り切って戦いに向かったことをあとで散々叱られることになるのだが、それはレインが起きたあとの話。




