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14 冒険者ギルド

 パッコッパッコッパッコと馬が幌をつけた馬車を引きながら小気味良いリズムで走る。

 空は青く白い雲が流れる。御者席から見渡しても誰もいない。


 レインはマキナリと一緒に御者席で馬車の動かし方を習いながら街道を進んでいた。


「なんか平和ですよね~」

「ここら辺は盗賊もいないからな」

 レインが呟くとマキナリがそれに答えながら笑う。


「さっきから気になっていたんだが、尻がいたいのか?」

 レインは無言で頷いた。

「かっかっか。まぁ三年ぐらい馬に乗っていたらビクともしなくなるぜ」

「それって騎士とかですか?」

「おう。よく騎士なんて知っているな。ビリーのやつか?」

 そう聞かれ、レインはそういえば村で聞いたことがなかったことを思い出した。さらにこの世界には職業が紹介されているような本がないことを失念していた。


 確かにあの村に住んでいると騎士が何だかも普通知らないよな。

 そんなことを考えて「昔のうちの村に来た冒険者が色々と教えてくれたんですよ。」

 そう言って笑った。

「ああ、あいつ等か。」

 マキナリも納得したように頷いた。


 尻を上げて耐えるのも辛かったので、お尻に魔力を部分纏したら、痛みが和らいだので徐々に魔力を弱めて慣れていくことにした。




「本当に何も無い。そう言おうとしましたけど、あれって村ですよね?」

 レインが指を指した方向をマキナリが見る。

「……ああ。どれだけ視力がいいんだか。確かにもう直ぐケッタン村が見えるけど」

 そう言って困惑していた。


 どうやらこの世界に来てからは、やたら目が良くなっていることをレインは知った。

「村ってこんな近くにあるんですか?」

「まぁここら辺は開拓村がほとんどだから近かったり、遠かったりと色々だ。あそこを越えて今来た道ぐらいを走れば辺境の街エレフェレンが見えてくる」

「はぁ~先はまだまだですね」

「くっくっく。確かにな。でも魔物が出てきたら頼むぞ」

「はい」

 流石に景色は動くがやることの無さから退屈な時間をレインは過ごすのだった。


 そんなレインを見兼ねたマキナリは、自分達の住んでいる村の名前やレインの母の実家がある村の名前を教えてくれたりした。

 ちなみドレックがレインの村で、母方の実家がある村はナレタダという名前だと初めて知った。



「内緒で冒険者ギルドはさすがに無理だけど、行商人になりたいなら商人ギルドに加入するか?」

 飽きてきたところに面白い話題か興味のありそうな話題をマキナリは巧みに話した。

「えっ、いいんですか?」

「ああ。それにきっと成人する前にあの村を出て行きそうだしな」

 レインは唖然とするしかなかった。

「……図星かよ。まぁでも…そうだよな。だって男だもんな」

 ガシガシ僕の頭を撫でて笑うマキナリさんがいた。



 魔物や盗賊が出ることも無く、馬車は辺境の街に着いた。


「あの人たちは?」

「ああこの街を敵から守る兵士さ。」


 レインはとにかく分からないことを聞く。

 分かることも聞く。

 そして鑑定もしていくのだった。



 それを繰り返しながら門に馬車をつける。

「身分証明書を提示してくれ」

 そう言われたマキナリがカードを渡しながら声を掛ける。


「私達はドレック村から来た。」


「ご苦労様です。そちらの彼は?」


 レインは身分証も無いので焦ってしまったがマキナリが対応してくれた。

「村の子供で十歳のレインスターだ。」


「十歳ですか?」

 少し兵士に驚いて聞かれた。


「はい。十歳になります。」

 レインは素直そうに答えてみた。


「ああ声が高いな。」

 すると人が気にしていること遠慮なく言った兵は頷き「どうぞ」そう言って通してくれたがレインは少し傷ついた。



「さてと、肉屋とギルドどっちに行きたい?」

 マキナリがレインにニコニコしながら聞いた。

 レインは迷わずに答えた。

「肉屋さん」

「そこはギルドだろ~」

 マキナリは肩を落とす。道中あれだけレインに語ってきたのにとそう呟いていた。


「お肉屋さんに売って食事です」

 レインがとそう言うとマキナリも合点がいった。

「レインが食いしん坊なのを忘れてた」


 苦笑しながら肉屋に馬車を走らせると、直ぐに到着した。


 マキナリは手綱をレインに任せると肉屋に入っていく

「旦那はいるかい? 」


 馬車を降りて肉屋の店内に入っていくのを見送る。

 レインは周りを警戒しながら弓の弦を鳴らす。

 直ぐに肉屋の主人がマキナリと出てきた。


「本当だって。今日取れたんだ」


「オークだぞ?ボアじゃなんだから村人に倒せるわけ・・・ってなんじゃこりゃ」


 肉屋の絶叫があたりに響いた。


「だから言ったろ。五体のオーク肉。しかも直ぐに血抜きもしてある最高級だ。数日後なら貴族だって買いに来るぞ」

 マキナリがそう自慢げに謳う。


「よし買おう。一体をそうだな、銀貨10だ。」


「あん。「それはありえませんね。」」


「何だ、この坊主は?」


「このオークを調達した狩人だ」

 マキナリが笑いながら答える。


「オーク肉が一塊のブロックで売値表示が銀貨一枚だったら、一体銀貨三十枚は硬い。それ以上だとそちらに旨みも無いでしょうから、銀貨三十枚が妥当です」


「ちっ。でも五体も銀貨三十枚で買ったらもし売れなかったら赤字だ。銀貨二十枚にしてくれよ」

 直ぐに倍プッシュしたことにレインは驚いたが引くことは無い。


「其処は御主人の営業努力でしょう。売れなかったら値引きでいいのでは一体二十八枚」


「五体全部買うから値引きしてくれよ。冒険者ギルドなら二十枚だろ?銀貨二十二枚」


「それは血抜きが下手な時や臓物の処理をしていなくてもそうでしょ。こっちは自身があります。二十七枚。」


「この時間からはそんな高く売れないだろ。仕入れ値が安ければ安く提供できるんだ。銀貨二十四枚」


「ふむ、いいでしょう。でしたら銀貨二十五枚と今日売らないと捨てるお肉を晩御飯としてご馳走してください」

 レインは変化をここで入れた。


「おう。中々いい取引だぜ。しっかし、こんな商人をいつ見つけたんだマキナリ?」


「・・・俺も驚いている。何処で交渉術を覚えたんだ、レイン」


「えっ?だって肉はこれだけあるし、肉屋さんには値札が表示されているし、祖父の手伝いをしているから大体の物価も分かりますし?」


「そういえば村長が爺ちゃんだったか。おいエビドスの旦那、きっとこれからはレインと一緒に来ることになるから頼むぞ」


「はっ、もちろんだ。今度はもっと交渉上手になれよ、坊主」


「取りすぎると恨みを買うんでそこそこが一番ですよ。ただ晩御飯はかなり食べますから、宜しくお願いします」

 レインはそう言って笑った。


「いいぜ。どうせ売れない肉も食べてもらったほうが、幸せだろ」


「・・・エドビスの旦那。こいつのあだ名は食いしん坊だから晩御飯を大量に作り続ける嵌めになるから覚悟して置けよ。くっくっく。」

 そう言ってマキナリは脅す。

「マジかよ」

 いや、事実を告げたのだが、このときのエビドスは笑いながらオークの肉を全て店に搬入するのだった



 店を出てから宿に馬車を止めて宿泊の手続きをしてからレインはマキナリに話しかけた。

「良かったですね。これで飲めますよ」

 そう言って笑うレインをマキナリは撫でながらギルドに向かった。



「ここが冒険者ギルドだ」

「あれ?商人ギルドに行くんじゃないんですか?」

 レインはてっきりギルドと言われたから商人ギルドだと思っていたのだが、マキナリが連れてきたのは冒険者ギルドだった。


「ああ。それは明日な」

 そう言ってギルドに入り受付に歩いていく。


 中には酒場もあり、筋肉粒々な男やタイツの上にプレートアマーを着込んだ女性の姿も合った。

 そういえば魔法を教えてくれたお姉さんはローブ姿だったなぁ。

 そんなことレインは思い出すのだった。


「お~い。こっちだ、こっち。」

 受付にいくと思いきや受付を素通りして買取カウンターと書かれた場所に移動した。



「魔石の買取はしているよな?」

 買い取りカウンターの女性にマキナリが聞く。

「勿論です」

 と答える受付に頷きマキナリはレインをみた。


「よし。じゃあ出せ」

 当然そう言われたレインは首を傾げた。


「魔物からくり抜いた石だ」

「あ~あ。これって魔物の死体に入れたままだとアンデッドになるだけの石じゃなかったんですね」

 皮袋をドンっと置いた。


「確認いたします」

 そう言って魔石を持った女性の魔石を鑑定してみた。

 〔鑑定〕→〔石 魔石E+ オーク 内包魔力80/180 〕

 そうログが出てきた。


 レインはこれから魔力って吸い取れたりするのかな?

 それとも電池と電気の役割を果たすのか?

 そんなことを考えながら魔石がいくらになるのか待っていた。


「Eランクの魔石が五個で銀貨五枚、Fランクの魔石が四十九個で銀貨四枚と銅貨九十枚になり、銀貨九枚と銅貨九十枚となります」

 レインはそれを黙って聞いていた。

 どうやら+-の評価まではしないらしい。

 そして計算もあっているから問題ないと判断した。

「レイン、受け取れ」

 魔石が入っていた皮袋に今度はお金を仕舞った。

 その袋を腰ではなくて服の中にしまう。


「助かった」

 踵を返すマキナリさんについて行く。

「待っていただけますか?」と呼び止められて「Eランクの魔物を倒せる力があるなら是非冒険者登録しませんか?」と声を掛けられて「どうするんだ?」と聞かれる。

「未成年ですし、成人したら考えます」

 ペコリと頭を下げる。

「いえ、貴方ではなくそちらの方です」

 マキナリさんのことだった。


「俺はこの子の付き添いだし、倒したのはこの子だぞ」

 そう告げて呆けている受付を無視して出入り口に向かった。

 ギルドを出たレインはもう既に夕食に頭が移っていた。

「ご飯楽しみだな 」


 そんな会話をしながら冒険者ギルドを後にするのだった。



 冒険者ギルドを出てから直ぐに

「マキナリさん、受付をからかう為に僕をダシにしましたね 」

 と薄めで見ると「ばれたかぁ 」

 そんな陽気な感じで「まぁどうせ来ないといけなかったんだから気にするな 」

「お酒飲んだら密告しますよ 」

 そう脅すと「悪かった 」

 と謝られて僕達はエドビスのお店で余ったお肉を全て食べきると宿に向かった。


「何てガキだ 」

 驚いたエドビスの顔にマキナリは爆笑した


 こうしてレインの遠征一日目は過ぎて行った


お読みいただきありがとう御座います。

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