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13 魔法の射手

 

 レインはじっと森を見つめていた。

 徐々に森が騒ぎ始めたように感じた次の瞬間、森から魔物が姿を現した。


「ちっ、ゴブリンだけじゃないのかよ」

 レインは舌打ちしながら、呟くと下にいる村人に魔物の襲来を伝える。


「ゴブリンの他にオークと狼もいます。皆さん。投石器を急いでください」

「オークだと!? 聞いたか。さすがにやばいぞ。直ぐにあれ持ってくるぞ」

 村人達は一斉に動き出した。


 そう。さすがに弓だけではいつか詰む。レインはそう考えていた。


 だから、投石器をゴライと試行錯誤の末に完成させていたのだ。

 作ってからこの一年、ずっと埃を被っていたが今日漸く日の目を見ることになった。


 レインは投石器を村人達に任せて矢を放った。


 【風よ。我が矢に力を スパイラルアロー】

 魔力を込めて詠唱を紡ぎながら矢を放った。


 矢は回転しながら飛んでいき、森から出てきたばかりのオーク眉間に突き刺さった。


 さらにレインは連続で詠唱を紡ぎながら矢を放つ。

 一発、二発、三発と放つと眉間に命中して深く刺さり、全部で五体いるうちの実に四体を速攻で倒すことが出来た。


「はぁ、はぁ、これ以上はさすがに無理」


 連続で魔法を唱えると脳が上手く処理出来なくなるので、ギリギリまでは追い込まない。

 レインは深呼吸してから村に近づくゴブリンに狙いを定めて矢を放ち眉間に刺していく。

「うん。ゴブリンなら刺さるな。」


 狙いながらドンドン打ち込む。

 狼の額は無理だが胴なら当てられる。

 ゴブリンにも矢が突き刺さる。


 さすがに目算で五十以上はいる魔物を倒すにレインとビリーだけでは足りない。

 そのときだった。

 そこへ「行くぞ。せ~の」という掛け声が響くと、ブーンと音が聞こえて空から石が魔物に降りそそいでいく。


 ダン、ダン、ダダンと重い石が降りそそぎ、まるで神の裁きに聞こえるであろう戦闘音が魔物たちを恐慌状態に陥れさせた。


「やっぱり気を取られるよな。とりあえずオークだけは殺す。【風よ。我が矢に回転と疾風の力を スパイラルアロー】」


 魔力が四分の一になる中、最後のオークも眉間に深く矢が突き刺さり、オークはこの戦場から消えた。


 狼が柵を越えようと飛んできたところをビリーがけん制し、レインがとどめを刺す。


 師弟のコンビネーションは未だ健在だった。


 ゴブリンには皆で石を投げたり、投石器で向かい討ち、最後はレインもヘロヘロになりながらも、何とか今回は意識を保ったまま勝利した。

 こうしてレインが経験する二度目の防衛戦は幕を閉じた。



「お腹すいた」

レインは見張り台から下りると直ぐにそう声を出した。


「はっはっは。さすが食いしん坊のレインだ。今、女衆が食事を用意しているから我慢しろ」

 レインはそう言われたので、まずは魔物の解体をすることにした。


 魔物の心臓をくり抜いて、石を取り出しながら皮袋にしまい、食べられないゴブリンはくり抜いたら運んでもらい、ウルフ種は魔物と普通の狼がいるが、普通の狼もゴブリン同様に捨てる。


 魔物の狼は石を取り出して皮を剥ぎ取り、オークはきちんと血抜きすると美味しいお肉らしい。

 

 そして高級肉として街で売れるらしく、今回は街に売りに行くために血抜きと、魔石だけを取って内臓を掻き出して馬車に乗せていく。


 馬車を用意したのはレインの祖父である村長で、馬はマキナリの牧場の馬だ。そこへ売れる魔物を乗せていく。

 魔石だけ取り出した後はレインだけたくさんの食事を用意してもらい、ぺろりと平らげてお礼を言うと祖父に呼ばれた。



「これから街に魔物の死体を売りに行くのだが、同行したいか?」

 レインは当然行きたかったが、まずは両親の確認が必要だと感じてその旨を伝える。

「父さんに確認して大丈夫なら行きます」

 レインは父に駆け寄りそれを伝えた。

 「はぁ~、まぁいいだろう」

 直ぐに許可は下りた。


「これ等を売った金で村の為になるようなものを買ってきてくれ。マキナリ飲むなよ」

 そう言って見送られながら、レインは初めて街に向かうことになった。

 出掛けに祖父と今回の問題を起こした彼らを見ながら、レインは自分の考えを伝える。

「彼等が村を潰そうとしたと言えば、他の村に良い交換条件を提示できますね」

「勿論だ」

 レインと祖父はお互い笑った。

「気をつけろよ」

祖父である村長はレインにそう告げて出発させた。





 レインが旅立つと村の女性陣が騒ぎ出す。


「本当に可愛いわ。食べている時に触っても全く動じないし、目の前にある食べ物もア~ンって言ったらアーンって言って食べし」


「それよりも凄く弓が上手いよ。オークなんて出たら普通は村が壊されるって聞いたもん」


「聞いた聞いた。それで私達は攫われちゃうのよね」


「それでオークを産まされて死んじゃうと最後に食べられるんだっけ?」


「本当に内にはレイン君がいてくれて良かったわよね」


『うんうん』


村の女の子達総勢十六人。上は十五歳~下は八歳までの彼女達が狙っているのはレインの嫁の座。


 他にも他の村から識字能力、計算能力、狩人の腕前、薬師の実力、動物に好かれる体質、木工技術、最近ではこれに同年代では身長が高いこと、顔も母親似で優しげな印象から婿にしたいと縁談が持ちかけられている。


 そしてそれが全てレインのせいだと直談判しにきたのが彼らだった。


「私はメイレナ村の村長の息子のマイラスだぞ。無礼だ」


 このメイレナ村から来たことが分かったことで、村長の目が光ったのは此処だけの話。


お読みいただきありがとうございます


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