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引きこもりニートのコンビニ籠城生活 〜店から出たら即死な異世界迷宮に、なぜかWi-Fiがつながる店舗ごと転移しました〜  作者: autofocus


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第27話:店長、プロ引きこもりの翼と覗き魔の代償

アラクネ、リゼッタ、そして俺の三人体制となった我がロー〇ソンの運営は、実に順調そのものだった。

一般の(?)お客さんも順調に増え続け、昼のピーク時などには、二台あるレジの前に行列ができることもしばしばだった。それに伴って店舗のレベルアップも驚くほど順調にこなし、先日はついに【LV5】にまで到達したのだ。


レベル5になったことで、これまでとの違いがいくつかある。

まず、店舗内にファンタジーな異世界の住民にはまだ使いこなせない『ATM』が設置されたこと。さらに、商品の補充コンテナが午前と深夜の『1日2回』に増えたこと。

──そして何より、俺を最も熱狂させたのが、新機材『偵察用ドローン』の配備である。


今回配備された偵察ドローンは、コンビニのストコンを中心として、半径三キロメートルまで偵察が可能。しかもバッテリーの持ちは、連続五時間という超高性能っぷりだ。ドローンが捉えた映像は、リアルタイムでストコンのモニターに送られてくる仕組みになっている。


俺はバックヤードで、その支給されたドローンの機体を撫で回しながら歓喜に震えていた。


「これで……これで一歩もコンビニから出ずに、高度な引きこもりを継続しながら、安全に外の景色を見ることができるぞ……っ!!」


元プロニートのプロ引きこもりとはいえ、夜中の唯一の息抜きだった実家近くのコンビニ通いすら完全に禁じられた今の状況は、さすがに少なからず息苦しさを感じていた。

一歩出たら三秒で凍る危険な外になんて一ミリも出たいとは思わないが、外の世界がどうなっているのかという好奇心はある。それらをすべて安全圏のバックヤードにいたまま満たしてくれるのが、このドローンの配備なのだ。


俺は店内の売り場をリゼッタとアラクネの二人に託し、そそくさとバックヤードへと引きこもった。

事務机のストコンの前に腰掛け、画面にあるドローンのアイコンをマウスでクリックする。


ウィィィィィン……!


機体の起動音と共に、画面がドローンのカメラ視点へと切り替わった。

俺は付属の本格的なコントローラーを両手でしっかりと握り、慎重に操縦を開始する。バックヤードの専用ハッチから飛び立ったドローンがフワリと浮かび上がり、その視点は見る見るうちに空高くへと舞い上がっていった。


「おおおおっ!!!! これはすごいぞ……!!!」


俺は手慣れた手つきでドローンを操縦し、今まで決して見ることのできなかった、ロー〇ソンの敷地外の景色をモニター越しに堪能した。


見渡す限り、あたり一面に真っ白な大雪原の景色が広がっている。

「へぇ、ここからあのアラクネたちの棲処の迷宮に繋がっているのか……」とか、「おっ! 常にドロドロ噴き出していた溶岩の源流はここから出ていたのか」など、画面に映る異世界のリアルな生態系に、俺は子供のように夢中になってドローンを旋回させた。


ふと、机の上に置いてある専用のヘッドホンが目に留まる。


「そういえば、これって付属のヘッドホンを使えば、外の音声もリアルタイムで拾えるんだったな」


俺はコントローラーを片手で保ちつつ、ヘッドホンを耳に装着した。

直後──ゴゴゴゴゴゴゴ……という、地響きを伴う溶岩が噴き出す生々しい地鳴りや、遠くで吠える狂暴な猛獣の遠吠えが耳をツンと震わせる。臨場感が半端じゃない。


ピピッ、ピピッ、ピピッ──。


すると突然、けたたましい警告音と共に、モニターの端に【オーバーエリア:通信限界】の警告赤文字が表示された。


「おっと危ない……この辺りまでが限界の三キロか」


これ以上進むと墜落しかねない。俺は無理をせず、大人しくドローンを店の方へと引き返させることにした。

しかしその帰還の途中、真っ白な雪原の片隅に、ぽつんと佇む一軒の古びた家を見つけてしまった。


「……ん? あんな危険な場所に、普通の民家があるのか……?」


妙な好奇心が湧き、俺は家の周囲をゆっくりと旋回させてみる。見ると、二階の窓がほんの少しだけ開いていた。

中の様子をちょっとだけ覗いてみよう──そんな軽い気持ちで、俺は慎重にドローンを窓の隙間へと近づけていく。


カメラのピントが、部屋の中の景色に合った。

そこには──今まさに、衣服を脱いで着替えをしようとしている、一人のうら若き女性の姿が鮮明に映し出されていた。


ドクン。

静かなバックヤードに、自分の喉がゴクリと鳴る音が、やけに大きく響いた気がした。


「おお……おおお……っ!」


完全に理性が消し飛び、食い入るように画面を見つめ、モニターに顔を擦り付けんばかりに没頭する俺。

己の後ろに、音もなく、静かに静かに忍び寄る「巨大な黒い影」の存在に、これっぽっちも気づくことなく──。


ガシッッッッッ!!!!!


「ぶべっ!!!???」


次の瞬間、耳元に装着していたはずのヘッドホンが、有無を言わせぬ凄まじい怪力によって両耳から一気に奪い去られた。

それと同時に、俺の右耳の軟骨が、ちぎれんばかりの力で真上へと強引に引っ張り上げられる。


「痛い痛い痛い痛い痛いっっっっ!!!! 何、誰っ!!?」


涙目で痛みに悶絶しながら、首を激しくひねって後ろを振り返る。


そこには──夜の闇よりも深い黒髪を逆立たせ、この世のすべての悪を駆逐せんとする『最強の捕食者』の、怒りで激しく震えたリゼッタの顔があった。

そしてそのすぐ後ろでは、糸を垂らしたアラクネが、口元を両手で押さえながらケラケラと本当に楽しそうに笑っていた。

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