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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

六尾の狐は人間アンチです

作者: 云雲母
掲載日:2026/03/15

日本のとある山中にある、大きな洞窟の中に、二つの影があった。

影の一つは、小柄で老人の姿をしていた。

……頭が異様に長く、角張っていなければの話だが。


その老人が、影に語りかける。

「六尾の……聞き入れてくれぬかのう。このままでは、人間と全面対決になるぞ」

六尾と呼ばれた影は、四メートルはある大きな白い狐であった。

狐は、六つの尾を揺らめかせながら、静かに答える。

「断る」

成人した女性の声で簡潔に答えた。

その言葉は、静かにそして確固とした意志を込めていた。


老人は、髪のない長い頭に手を当て、困った表情をする。

そんな老人に狐が問い掛ける。

「ぬらりひょんよ、むしろ聞こう。なぜ妾が引くと思うのか」

「……」

老人、ぬらりひょんと呼ばれた妖怪は返答が出来ず、少しの間口を閉ざす。

「お主の怒りも理解している。だが、曲げてお願いしたい。この衣装は、その覚悟の現れと思ってくれ」

ぬらりひょんは、真っ白な死装束を纏い座っている。

「……」

今度は、その覚悟を理解する狐が口を閉ざした。


しかし、徐々に怒りが勝ってきた狐が吠える。

「妾は絶対ゆるさん!今の人間どもは頭がおかしい!」

怒りのあまり、狐の威厳が崩れていく。

「マジなんなん、あいつら?妾最近やっと六本目が生えたと思ったら……!」

狐は自身の尻尾を睨みつける。


そこには、五つの白い尾と、虹色に発光する一つの尾があった。

恐怖を糧にしてきた狐は、ここ最近の人間の変わりように、逆に恐怖を感じていた。

ゲーミング仕様の尻尾は、現代を糧にした結果生えてきた異端の尾である。

「しかも、これを見ろ!」

言葉と共に、狐の身体は小さくなり、やがて着物を着た人間の少女の姿になる。

「人化の法でなれる姿が、この姿にしかなれなくなったぞ! なぜこんな、ちんちくりんな姿に!」

身長は140センチくらいの身体で凹凸も少なく、金髪でポニーテールが六つある。

「男を手玉に取っておった、細い流し目が良かったのに、なんじゃ、このクリクリとした眼は!」

怒りのあまり、少女のかわいらしい声で叫ぶ。

狐は、現代人のサブカルチャーの思念に汚染されて、ロリババア狐にされていたのだ。


怒りは収まらず、ぬらりひょんにも矛先が向く。

「お主もそうじゃ、ぬらりひょん!」

「な、なんだ?」

「昔のお主は、力も弱く、人間の家の居間に入り込むだけの妖怪だったではないか!」

少女は、ぬらりひょんを指差し、言葉を続ける。

「なんで今は妖怪総大将になっておるのじゃ!?」

「そ、それは……」

「それにこの前、お主の孫を自称する者も尋ねて来たぞ!お主、いつの間に子を作っておった!?」

「ま、まってくれ!それは自称であって、本当に儂の孫ではない!」

慌てふためくぬらりひょんに、怒りに満ちている狐が睨みつける。

しかし、見た目はロリ狐、ぷりぷり怒る姿が、癒しにしかならない。


若干ほっこりしている、ぬらりひょんに狐の目尻が吊り上がっていく。

「やはり人間は邪悪、滅ぼさねば!」

「お、おちつくのだ!」

そのまま飛び出そうとするロリ狐を、ぬらりひょんが必死に止める。

しばらくの押し問答の末、狐も落ち着きを取り戻す。

いきなり、ぬらりひょんが笑いだした。

「なんじゃ、突然?」

「いや、なに、この騒がしさで昔のこと思い出してな……」

遠い目をするぬらりひょんを見て、狐は目を細めた。

「覚えておるか?幕府のころに、鬼の主導で百鬼夜行に参加したことを」

「当然じゃ。……あの頃は妾も3尾で、お主も力のないただのじじい妖怪だったのぉ」

そして、それが二人の初めての邂逅であった。


―――まだ、徳川幕府が開かれてまもなくのころ。

「オメェら、今日は集まってくれたことに感謝する!」

大江山で開催された、鬼主催の百鬼夜行に、狐とぬらりひょんは参加していた。

現地には、大小合わせて百以上の妖怪が集っていた。

「鬼もオレを残して皆、地上から去っていった。」

この言葉にすすり泣く妖怪もいた。

「この度、オレも去ることに決めた!だから、これが最後の祭りだ、派手にいくぞ!!!」

「「「ひゃっはー!」」」

鬼の音頭に合わせ皆が叫ぶ。

その光景を、冷めた目で見つめる三尾の狐。

「なに一人で良い子ぶっておる、ノリが悪いやつだ」

声を掛けたのが、ぬらりひょんだった。

―――それが、二人の始まりだった。


「お主とは、あの時以来の腐れ縁じゃったのぉ」

「あの後、京の都を練り歩いたのは楽しかったな」

「木っ端な妖怪どもが調子に乗って、京の御所に突っ込み、結界に触れて消え行くのが見ものじゃったな」

ぬらりひょんは、笑いながら思い出を語った。

「半数以上あれで消えたからな、最後は二十鬼夜行だったな!」

語り終えた二人は、無言になり見つめ合っていた。

「あの頃は良かった。人間は我らを恐れ、敬っていた」

「時代が変わったのだ、六尾の……」

二人は、懐かしそうに、そして少しの寂しさを含め言葉を紡いだ。

「時代が変わったのは、この忌々しい尾を見ればわかる」

忌々しく、自身のゲーミング尻尾を睨む。


その後、ぬらりひょんに顔を向け、ニヤリとあくどい顔をのぞかせる。

「ふん、妾はすでに人間どもに攻撃を仕掛けておるのだぞ?」

ピクリと、ぬらりひょんの表情が一瞬動く。

「この忌々しい尾のもつ能力は、「いんたーねっと」とやらに介入できる。その力を使い、人間を混乱に陥れることも可能じゃ」

「……」

「もうすでに、戦果もあげておるわ!」


狐の勝利(?)宣言に、ぬらりひょんは苦しそうに答える。

「……六尾の。それは不特定多数をFXに誘導したり、SNSでレスバしていることではないよな?」

ギクリと、今度は狐の表情が固まる。

「な、な、な、何を言っておるのかさっぱりわからんぞ?」

「最近、SNSで大量の荒らしが現れてな、そのIPを辿ると、この何もない山奥周辺が発信源と断定された」

わかりやすく、六尾が揺れ動く。

「しかも、どこのプロバイダーも使われておらず、な・ぜ・か、凄まじい妖力だけ検出された」

「……」

「この周辺に、強大な妖力持ちはお主しかおらん。対策もしてないから直ぐにわかったぞ」

六尾が地面に力なく垂れ下がる。

「FXで溶かした人間の顔がみたかったのじゃ……」

「……は?」

「こんな尾にした人間どもの、絶望した顔がみたかっただけじゃ!妾の言葉に反論する愚か者どもを言葉で叩き伏せただけじゃ!!!」


「……」

あまりの言葉にぬらりひょんは絶句する。

「もうよい!語る言葉はすでにない!ここから去れ!!!」

「ま、待て、話を聞け!」

「この先は、力でわからせてみせよ!!!」

狐はその言葉と同時に、姿を消した。


その後、狐は人間と共生派の妖怪たちとの戦いに敗れ、その壮絶な末路は——アへ顔、Wピース、M字開脚であったとかなんとか。


めでたしめでたし



初めての短編です

狐とアへ顔で書いてみました

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