表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

プロローグ

新シリーズのプロローグです。

夜の廃墟に、女の囁き声とフクロウの鳴き声だけが響びいていた。


古びた石柱が立ち並ぶ廃墟の奥深く、月光だけが頼りとなる闇の中、ルナ・ミストウォーカーはその場に佇んでいた。長い黒いコートが風に揺れ、フードの影が彼女の顔を深く覆い隠す。だが、その瞳だけは、闇の中で妖しく光る紫色の炎のように、鋭い光を放っていた。


肩には、いつものように相棒のフクロウ、ホークアイが静かに止まっている。ホークアイの琥珀色の瞳もまた、闇に慣れた眼差しで周囲を警戒していた。彼女らの視線の先には、苔むした祭壇の中央に置かれた、仄かに輝く古文書。それは、失われたとされる古代魔法の残骸、ルナが長年追い求めてきた「ある遺物」の所在を示すものだった。


「これを見つけるために、どれだけの夜を越えてきたか…」


ルナの呟きは、月明かりの下、凍てつく空気に吸い込まれていく。かつて、魔術師として生きた日々は、今は遠い幻のようだ。家族を奪われ、自らの運命を捻じ曲げられた「事件」その日から、ルナは闇に生きることを選んだ。復讐のため、そして、二度と同じ悲劇が繰り返されないようにするため。

そして失われた魔法の真髄を手に入れるため。


古文書にそっと手を伸ばす。その冷たい感触が、ルナの決意を新たにした。これから始まる旅は、きっと想像を絶する困難に満ちているだろう。だけど、ルナに迷いはなかった。


「もう二度と、失うものはない」


月が、雲の隙間から一瞬顔を出す。その光に照らされたルナの横顔には、固い決意と、そして微かな悲しみが入り混じっていた。ルナは古文書を大事そうに懐にしまうと、再び夜の闇へと溶け込んでいった。ルナとホークアイの姿は、まるで最初から存在しなかったかのように、すぐに消え去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ