第40話_久しぶりに戻ってきました
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第4章完の前に、最近大要塞で見かけなかったあの2人が登場します。
交易都市レインブルクの冒険者ギルドは、今日も騒がしかった。
掲示板の前では依頼を奪い合う声が飛び、ビールを片手に騒ぎ立てている男たちもいる。
そんな中、アルトは一人、慣れた足取りで中へ入った。
(久しぶりだな)
拠点として使っている割に、顔を出すのは久々だ。
最近はいろいろ厄介事が多くて、冒険者はお休みしていた。
アルトは迷うことなく、いつもの受付嬢のカウンターへ向かう。
「お久しぶりですね、アルト様」
顔を上げた受付嬢が、即座にそう言った。
「はい、ちょっと戻ってきました」
「相変わらず、お忙しいのですね」
「まぁそうですね、大変ですよ」
軽く返すと、受付嬢は苦笑する。
挨拶を済ませ、依頼でも眺めようかと思った、その時。
「相変わらず一人なのですね」
背後から、聞き覚えのある声がした。
アルトが振り返ると、そこにはフィオナとノクスが立っていた。
「……あれ?」
「お久しぶりです」
「まさか本当にお一人だとは」
二人は落ち着いた様子で、どこか冒険者らしい雰囲気を纏っている。
「最近、大要塞で見なかったけど」
「冒険者をやっていましたからね」
「ルミナスのギルドを拠点に、ずっと二人で」
ノクスが補足する。
「アルト様と違って地道にですけどね」
少し馬鹿にされているような気もするが、
無茶をせず、ちゃんと積み上げて頑張っていたことが分かって良かった。
「なるほど」
アルトは納得したように頷いた。
「で、今日は?」
「アルト様の様子を見に来ました」
フィオナが即答する。
「一人で動かせると、必ず厄介事に巻き込まれますから」
「顔が広まっていない今が、一番危ないです」
ノクスの言葉に、アルトは思わず笑った。
「そこまで言う?」
「「言います」」
二人は揃って即答した。
少し考えてから、アルトは受付嬢の方を向く。
「……てことなので」
「パーティ登録、お願いします」
受付嬢は一瞬だけ視線を三人に走らせ、すぐに端末を操作し始めた。
「承知しました、確認しますね」
淡々とした声で、画面を見ながら読み上げる。
「Aランク:アルト様」
「Bランク:フィオナ様」
「Bランク:ノクス様ですね」
「問題ありません。それでは、この三名でパーティ登録を進めさせていただきます」
その声は、決して大きくなかった。
――だが。
「……今、Aランクって言ったか?」
誰かの小さな声が、空気に混じる。
「聞こえたぞ」
「しかも隣の二人……Bランクだと?」
ギルド内が、一瞬だけ静まった。
「AとBで組むのか?」
視線が、自然と三人に集まる。
騒ぐ者はいない。ただ、空気が変わった。
受付嬢は気にする様子もなく、操作を終える。
「はいこれで登録、完了です」
それだけで、手続きは終わった。
ギルドを出る三人の背中を、何人もの冒険者が目で追っている。
「静かにやるつもりだったんだけどね」
アルトがぼそっと言う。
「それは無理がありますね」
フィオナが肩をすくめる。
「今さらです」
ノクスが淡々と返した。
――のちに、このパーティは
世界最高の冒険者パーティと呼ばれることになる。
だが、それはまだ、先の話だ。
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