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転生したようなので好き放題やります。〜創造神とかいうチートを授かりました〜  作者: Rairo
第4章 ルミナス王国の確立

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第38話_それでは、表に出てきてもらいましょうか

冒険者ギルドの地下牢は、ひどく静かだった。


――静かすぎる。


鉄格子の向こうで、例の二人は“監獄に入れられている体”を取っていたが、

鎖は緩く、看守の巡回も妙に甘い。

食事は過剰に良く、面会の記録は曖昧。

それでも表向きには「拘束中」。それで十分だとでも言いたげだった。


――――


「……処罰は?」


ルミナス大要塞、執務区画。

クロウの報告に、アルトは机に頬杖をついたまま聞く。


「現時点では保留です。『調査中』を盾にしています」

「内部に、商会の手が回っていると見て間違いありません」


「そりゃそうだよね」


アルトは軽く笑った。

怒りはない。むしろ、納得が勝っている。


「ギルドって便利だもん。正義の皮を被れる」


クロウが淡々と続ける。


「二人は、ほとぼりが冷めた頃に“釈放”となるでしょう」

「罪状は曖昧にされ、記録は薄められ、誰も責任を取らない」


「うん。よくありがちなやつだよね」


アルトは椅子に背を預けた。


「じゃあ、ギルド相手に騒いでも意味ないな」

「――上を叩こう」


クロウの視線が僅かに鋭くなる。


「商会が拠点としている国に、正式に?」


「そう」


アルトは軽い調子のまま言う。


「おたくの冒険者ギルド、裏で悪者と結託して悪さしてるよ、って」

「国としてどうなの? って聞く」


そこまで言うと、クロウは一礼した。


「承知しました。宛先は――ハルディア王国でよろしいですね」


商業国家ハルディア。

大陸中央に位置し、金と情報で国を回すことで知られる。

その中心に巣食うのが、グラント商会だ。


「うん。ハルディア王国に」


アルトは頷く。


「“商会の関与”を匂わせる文面で」

「ただし、こちらから断定はしない」

「向こうに『確認せざるを得ない形』で投げる」


クロウが短く息を吐いた。


「外交文としては最適です」

「否定するほど、調査を要求されます」


「でしょ」


アルトは楽しそうに言った。


「嘘って、説明を増やすほど苦しくなるからさ」


――――――


数日後。

ハルディア王国、王城。


大理石の床に、絹の外套。

商人の国らしい豪奢さの中で、場の空気は冷えていた。


「あのルミナス王国からの正式な通達だ」


王が、封蝋を割って読み上げる。


内容は簡潔だった。

ルミナスダンジョンにおける重大な安全妨害未遂。

その関係者が、貴国の冒険者ギルドの管理下で“事実上保護”されている。

さらに、背後には大規模商会の影。


「……ギルドが、裏で?」


重臣が眉をひそめる。


「ルミナスは、証拠を持っている。だが、まだ出してきていない」

王は淡々と言った。

「つまり、こちらの出方を見ている」


沈黙が落ちる。


商業国家にとって、信用は最も重要だ。

それを揺さぶる通達を、無視できるはずがない。


「冒険者ギルドの上層を呼べ」

王が命じる。

「そして――グラント商会もだ。すぐ招集しろ」


重臣が頷きかけた、その時。


「それは不要です」


場に響いた声は、若い。

軽い。

だが、誰も無視できない種類の軽さだった。


視線が集まる。


そこには、ルミナス王国の王――アルトがいた。

会談の席に、当然のように腰を下ろし、まるで雑談でもするように手を振った。


「招集って、時間かかるでしょ」

「こっちは急いでないけど、面倒なのは嫌なんだよね」


ハルディア王が目を細める。


「……ルミナス王、これは我が国の内政問題でもある」


「うん。だから“お願い”じゃなくて“確認”に来たんだよ」


アルトは笑う。


「冒険者ギルドが握り潰そうとしてるなら、国として是正して」

「できないなら――国としても同罪と見る」

「それだけ」


重い言葉を、軽く言う。

それが逆に怖い。


「証拠はあるのか…」


王が問う。


「あぁ今ここで出すよ。

――でもその前に」


アルトが指を鳴らす。


「ヴァルカス」


扉が開いた。


入ってきたのは、黒鉄の気配を纏う男――ヴァルカス。

その背後に、数名の戦闘部隊。

そして、その中央に“二人”がいた。


豪奢な外套。

値踏みする目。

大商会の空気。


グラント商会会頭、ガルヴィス。

そして副会頭、レイヴン。


二人は、王城の床に立たされていた。


「……馬鹿な」


重臣の誰かが呟く。


ハルディア王の顔が強張る。


「貴様ら……なぜここに」


レイヴンが口を開いた。

作り物の笑みを浮かべ、礼儀正しく頭を下げる。


「会談の場に呼ばれたと聞きまして。光栄ですな」


「呼んでいない」


王が言い切る。


アルトが軽く肩をすくめた。


「はいこれで招集の手間は省けたでしょ」


ヴァルカスが、淡々と紙束を差し出す。

召喚陣の出所。

事前接触の記録。

金の流れ。

仲介の名。


積み上げられる“必要十分”。


それでもガルヴィスは眉ひとつ動かさない。


「……我が商会は関与していない」

「下の者が勝手にやったのだろう」


「うん。そう言うと思った」


アルトは頷いた。


「だから今日は、君たちに“説明する機会”をあげたんだよ」

「言い逃れを減らすためにね」


レイヴンが口元を歪める。


「証拠と言っても、推測の寄せ集めでしょう」

「商会ほどの規模になれば、金の流れなどいくらでも――」


「そうだね」


アルトは遮らない。


「だから、ここでは断定しない」

「ハルディア王に“判断”してもらう」


アルトはハルディア王へ視線を向ける。


「この二人を、国として庇う?」

「それとも切る?」


王城の空気が凍る。


商業国家の王は、答えを間違えられない。

信用を守るために、誰を捨てるべきか――理解している。


その沈黙の中で、アルトは小さく笑った。


「まだ大丈夫。もう一つ見せたいのがあるんだった」


ガルヴィスの目が、初めて僅かに動いた。


アルトはいつもの軽い口調で締める。


「次は“誰が命じたのか”――を見せるよ」


その言葉は、宣告だった。

逃げ道は、もう組み立てられていない。


そして誰もが理解する。


この場にいるのは、追及される側ではない。

――追及する側が、最初から場を支配しているのだ。

※ここまで読んでくださってありがとうございます。

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