表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したようなので好き放題やります。〜創造神とかいうチートを授かりました〜  作者: Rairo
第4章 ルミナス王国の確立

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/47

第30話_噂は想像よりも早く広がる。尾ヒレを添えて。

冒険者ギルドの掲示板を前にして、

男は腕を組んだまま首を傾げていた。


「……最近、魔物退治の依頼、減ってないか?」


中堅どころの冒険者。

この街で十年以上飯を食ってきた男だ。


「ああ、あの“ルミナス方面”の話か」


隣にいた別の冒険者が、気だるげに答える。


「森越えの護衛も、掃討依頼も、ほとんど消えたな」

「街道が安全になったってよ」


「は?」


男は眉をひそめる。


「安全って……あの辺、魔物の巣だらけだっただろ」


「だった、な」


苦笑が返ってくる。


「でも、もう違うらしいぞ」

「道が通って、管理されてる」


掲示板を見渡せば、確かに依頼の種類が変わっていた。

討伐より、採取。

護衛より、短距離の運搬。


「……仕事、奪われてないか? 俺たち」


誰かがぽつりと呟く。


「奪われたっていうか……」

「必要なくなった、だな」


魔物は出ない。

出ても、襲ってこない。

縄張りに入らなければ、無視される。


そんな噂が、もう珍しくもなくなっていた。


「全部退治されたって話も聞いたぞ」

「いや、従わせてるらしい」

「どっちにしても、普通じゃねぇ」


冒険者の仕事は、危険があるから成り立つ。

危険が消えれば、役目も消える。


「……もう、ここじゃ稼げねえな」


誰も反論しなかった。


――――――


一方で。


街道沿いの簡易宿。

商人たちの間では、まったく違う熱が広がっていた。


「三日だ」


酒杯を置きながら、行商人が言う。


「ここからリュシュートまで、三日で着いた」


「護衛は?」


「いらなかった」


どよめきが起きる。


「魔物は?」

「見かけた、遠目にな。けど、近づいてこなかったな」


道は整備され、見通しもいい。

休憩所には簡易の見張りが立ち、

通行税は破格で、余計な請求もない。


「……冗談みたいな話だ」


別の商人が、半ば呆然と呟く。


「運送費が護衛費も含めると半分以下だぞ」

「時間も短い」

「損する要素が見当たらない」


「それが全部、ルミナス王国の管理だって?」


「ああ」


誰かが、声を潜めた。


「しかもな……」

「ルミナスとリュシュートを繋ぐために作られた道だそうだが、

途中の関係ない街から通ろうとする俺らみたいな連中に対しては、

脅しも圧力もなかった」


「ただ“使っていい”ってだけだ」


沈黙が落ちる。


商人にとって、

“安全で、安くて、早い”道ほど魅力的なものはない。


「……だが、ここまでやって、あそこが黙ってるはずないよな」


誰かがそう言った。


「あぁ確実に動くだろうよ」


――――――


数日後。


大陸中央、商業国家ハルディア王国。

その中心部に本拠を構える、巨大な商会。


グラント商会。


利益のためなら、合法も非合法も問わない。

潰せるなら潰し、取り込めるなら取り込む。

それが、この商会の流儀だった。


「ルミナス王国か……」


応接室で、男が書類をめくる。


「道を完成させ、魔物を制圧し、

 今度は流通網まで牛耳ろうとしている?」


「ええ。すでに商人が集まり始めています」


報告役が淡々と答える。


「採算は?」


「……非常に良いかと」


男は、にやりと笑った。


「儲かる匂いがするな」


「ですが……相手は、かなりの力を持っています」


「力?」


肩をすくめる。


「力があるからこそ、商売になる」


グラント商会は、常にそうだった。


「視察団を出せ」

「条件次第では、独占も狙う」


「もし、拒まれた場合は?」


男は、しばらく考えるふりをしてから言った。


「その時は――」

「別の“手段”を考えるだけだ」


穏やかな口調だった。


だが、その目は、冷えている。


世界は、確実に動き始めていた。


噂は、剣より早く広がる。

そして、金は――

噂よりも、ずっと容赦がない。

※ここまで読んでくださってありがとうございます。

もし続きが気になりましたら、

ブックマーク・評価で応援いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ