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転生したようなので好き放題やります。〜創造神とかいうチートを授かりました〜  作者: Rairo
第3章 素性を隠して、冒険者やります

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第24話_いやそれはさすがに、急に昇格しすぎではありませんか?

レインブルクの朝は、どこか落ち着かない。


市場の呼び声はいつも通りなのに、

人々の視線は頻繁にローディア森林の方角へ向けられている。


「本当にゴブリンが出なくなったらしいぞ」

「森が静かすぎて逆に怖いって話だ」

「王級が倒されたって噂、やっぱ本当だったのか……?」


噂は、もう隠しようがないところまで広がっていた。


(……まあ、そうなるよな)


俺は人混みを抜け、冒険者ギルドへ向かう。


今日ここに来た目的は、ただ一つ。

依頼完了の正式報告と――

「しばらく街を離れる」という連絡だ。


冒険者としての区切り。

それを付けに来ただけ……のはずだった。


ギルドに入ると、いつもより視線が集まる。


不思議と、好奇の目ではない。

探るような、測るような視線。


(……あれ?)


受付に目を向けると、

あの受付嬢が、書類を抱えたままこちらを見ていた。


そして――明らかにいつもと様子が違う。


「アルト様!」


声が、少し弾んでいる。


「少々……いえ、かなりお時間よろしいでしょうか」


「え? はいわかりました……」


奥の応接用スペースに通され、

腰を下ろした瞬間、彼女は深く一礼した。


「まずは――ローディア森林の件、

街を代表してお礼を申し上げます」


「いえ、依頼を受けただけなので」


「それでもです」


彼女は、真剣な表情で続ける。


「ゴブリンエンペラーの討伐により、

ローディア森林で拡大しつつあった被害は、

これ以上広がることなく食い止められました」


被害は、確かに出ていた。

行方不明者、怪我人、壊された倉庫。


だが――

“それ以上の被害”を防いだ。


その事実が、街にとってどれほど重いかは、

わざわざ説明されなくても分かる。


「そして……本題です」


彼女は、一枚の正式書類を差し出した。


赤い封蝋。

冒険者ギルド本部の印。


「アルト様は、

本部判断により――」


一拍置いて、告げられる。


「Aランク冒険者へ、特例昇格となりました」


……一瞬、言葉が出なかった。


「え?」


「Aランク、です」


彼女は、はっきりと頷く。


「通常、Aランクへの昇格には、

長年の実績、複数の高難度依頼、

そして厳格な審査が必要です」


それを前置きしたうえで、


「ですが今回――

“王級魔物の単独討伐”という前例のない功績により、

試験・測定をすべて省略した、異例中の異例の昇格となりました」


(……そりゃそうか)


Fランクから、いきなりAランク。


普通なら、笑い話にもならない。


周囲がざわつく理由も、ようやく理解できた。


「Aランクになると、

いくつかの特典が発生します」


彼女は、淡々と説明を続ける。


素材買い取り額は通常の一・五倍。

ギルド提携の宿屋や食堂は、原則無料。

街を跨いだ依頼の受注制限も、ほぼ無くなる。


……正直、生活面はかなり楽になる。


「また、指名依頼や、

国家・貴族関連の案件への優先参加権も――」


「……あ、それはいらないです」


思わず、即答してしまった。


受付嬢は、一瞬きょとんとした顔をしたが、

すぐに小さく笑った。


「そう仰ると思いました」


正直なところ、

面倒くさい、が本音だ。


政治。

権力。

責任。


そういうものから距離を置きたくて、

冒険者になったのだから。


「でも……」


俺は、少し考えてから続ける。


「ランクが上がったことで、

この世界を“見て回る”のは、かなり楽になりそうですね」


それは、嘘じゃない。


街を越え、国を越え、

人と文化と価値観を見る。


最初の目的は、確実に果たしやすくなった。


「……ですので」


俺は、冒険者証を見下ろしながら、静かに言う。


「街を出るのは、一旦保留にします」


受付嬢が、ほっとしたように息を吐いた。


「ただ――」


冒険者証を、胸元にしまう。


「今は、一区切りです」


Aランク昇格。

ゴブリンエンペラー討伐。


これ以上ない、節目。


(……やっぱり、俺には戻る場所がある)


冒険者としての“外の世界”。

王としての“内の世界”。


その両方を行き来できる立場になった。


それだけで、十分だ。


――その日の夕方。


誰にも告げず、

俺は静かに転移魔法を使った。


視界が反転し、

見慣れた光景が戻る。


ルミナス大要塞。

玉座の間。


「おかえりなさい、アルト様」


フィオナの声。


「……ただいま」


クロウが、微笑みながら言う。


「もうAランク、ですか。

ずいぶん派手な冒険者活動だったんですね」


「縛りプレイしてたんだけどなぁ」


軽口を叩きながら、

俺は玉座に腰を下ろした。


冒険者アルトは、一区切り。


だが――終わりじゃない。


ギルド本部は、

“アルト”という名を覚えた。


王級魔物を誘導していた“何者か”の存在も、

確かに残った。


神雷を見た者もいる。


噂は、やがて形を持つ。


「……さて」


俺は、少しだけ笑う。


「冒険者の次は、また国の方かな」


冒険者として得た“視点”を携えて。


ルミナス王国の王は、

再び表舞台へ戻る。


――好き放題やる。


その意味は、

また一段、深くなった。

※ここまで読んでくださってありがとうございます。

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