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転生したようなので好き放題やります。  作者: Rairo
第2章 世界と対峙するルミナス王国

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第17話_ちゃんと組織っぽくなってきたね。

戦争が終わったあとの仕事は、意外と地味だ。


「……はい皆さん、ちゅーもく」


ルミナス大要塞、玉座の間。

俺は椅子に深く腰掛けリラックスしたような状態で、

頬杖をついたまま素直な疑問を口にした。


「ヴァルカスがさ。

毎回、前線で指揮を執るのってどうなの?」


一瞬の沈黙。


武神ヴァルカスは、微動だにせず答える。


「問題はありませんが」


「いや、問題あるでしょ」


即答だった。


「国としてさ。

最高戦力が毎回、最前線に立つのは普通じゃない」


フィオナが、思わず小さく笑う。


「確かに……"徹底的に"という意味ではアルト様らしいですが」


「まあそうだけど」


俺は軽く肩をすくめた。


「強いから出る、じゃなくて。

強いから“不測の事態に備える形”にしておきたいんだよ」


クロウが、静かに頷く。


「……つまり、組織化ですね」


「そ」


軽い口調とは裏腹に、その言葉が意味するものは大きい。


「軍はもう完成してる。

でも、指揮系統が“神直轄”なのはよろしくない」


ヴァルカスが、わずかに思案するように目を伏せた。


「では……」


「それぞれに配下を持ってもらおう」


その場の全員が、同時に理解した。


「クロウには――参謀局」


クロウが、静かに背筋を伸ばす。


「国内統治、外交、法整備、情勢予測。

考える役目は、全部任せる」


「承知いたしました」


「ヴァルカスには――軍団」


武神が、初めてほんの僅かに笑った。


「前線を任せられる将。

戦場を預けられる指揮官。

そこらへん全部」


「……心躍りますな」


「ミュリエルには――影の組織」


気配もなく現れた彼女が、静かに頭を下げる。


「諜報、潜入、遮断、排除。

名前も記録も残らない連中」


「はい。

影は、影らしく」


ノクスが、感心したように息を吐いた。


「……神々が“役職”を持つ国、ですか」


「うん」


俺は、満足そうに頷く。


「これで、ようやく国っぽくなってきた」


――――


「ついでにさ」


ふと思い出したように、俺は言った。


「要塞、ちょっと狭くない?」


一瞬、空気が止まる。


「狭い……と申しますと……」


クロウが慎重に問い返す。


「役割も人も増えたのに、場所はそのままって変でしょ」


《創造:拡張》


何気なく、スキルを発動した。


次の瞬間。


ルミナス大要塞が、軋むことなく拡張される。


上へ。

さらに上へ。


参謀局用の階層。

軍統括本部。

影の者たちが集う、光の届かぬ層。


「……要塞が、生きているようですね」


フィオナが、ぽつりと呟く。


「それぞれの役割をしっかり遂行してもらうには、

それに見合った場所ってものが必要でしょ?」


俺は、満足そうに頷いた。


「これでさ」


ゆるい口調のまま、告げる。


「俺が全部やらなくても、国が回る」


その言葉に、空気が静まった。


「それが、王の仕事だから」


誰かが欠けても、国は残る。

誰かが動かなくても、国は進む。


――ようやく、そこまで来た。


「じゃ、今日はここまで」


俺は立ち上がる。


「後の細かいところは任せるよ。

俺は……」


少し考えてから、言った。


「しばらく、休暇を取らせてもらうよ。

やってみたいこともあるしね」


フィオナは苦笑し、

クロウは微笑み、

ヴァルカスは静かに頷いた。


この国はもう、

“一人の力”で回す段階を終えた。


ルミナス王国は、

完全な組織となったのだから。


――好き放題やる。


その言葉は今や、

無責任な強さではなく、

余裕を持った覚悟を意味していた。

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