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転生したようなので好き放題やります。  作者: Rairo
第2章 世界と対峙するルミナス王国

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13/20

第13話_帝国軍は、何も知らなかった。

帝国軍は、順調に進軍していた。


補給線は完璧。

斥候からの報告も問題なし。

魔物の抵抗も、想定よりはるかに少ない。


「さすがは帝国軍だな」


先頭を進む将軍は、満足げにそう呟いた。


禁域の森――とは名ばかりだ。

これまで遭遇した魔物は、数も質も低い。

拍子抜けするほどだった。


「所詮は噂か。

弱小国家が、勝手に恐れていただけの話だ」


将軍の言葉に、周囲の騎士たちも笑う。


「このまま進め。

森を抜け次第、制圧を開始する」


帝国軍は、疑うことなく進んだ。


――その時だった。


「……将軍」


斥候の一人が、顔色を変えて戻ってくる。


「どうした」


「進行方向の森が……おかしいのです」


「おかしい?」


「……静かすぎます」


風の音がない。

鳥の鳴き声がない。

虫の羽音すら、聞こえない。


「魔物が逃げたのだろう」


そう言いかけた将軍は、言葉を止めた。


視界の先。

森の奥に、黒い影が“整列”しているのが見えた。


「……あれは」


一体や二体ではない。

十、百、いや――


「敵軍……だと?」


信じがたい光景だった。


魔物。

悪魔。

獣人。

そして、人に酷似した異形たち。


統率された軍勢が、森の中に“待っている”。


「そんな……馬鹿な」


禁域の森に、軍?


しかも、その規模は――


「数が……多すぎる」


帝国軍の兵が、ざわめき始める。


その時。


森の奥から、一歩前に出る影があった。


赤黒い鎧を纏い、堂々と立つ男。

剣も槍も持っていない。

それなのに、ただ立っているだけで、空気が重くなる。


「――止まれ」


低い声が、森全体に響いた。


「ここより先は、ルミナス王国の領域である」


将軍は、喉を鳴らした。


「名を名乗れ」


男は、ゆっくりと顔を上げる。


「我が名は、ヴァルカス」


その瞬間。


帝国軍の前線に立つ豪華なローブを身に纏った魔導師が、震える声で叫んだ。


「将軍……!

あの存在、測定不能です……!」


「何?」


「魔力量、戦闘力……

すべてが、上限を振り切っています!

これではまるで――神にも届く存在かと…」


“神”。


その言葉が、帝国軍全員の脳裏に鮮明に残っている。


「ふざけたことを言うな!見せてみろ!」


将軍は声を荒げ、測定の水晶を奪うように確認する。


「神が、軍を率いているなどありえる訳がない」


しかし確かに水晶には"測定不能"という文字だけが浮かんでいた。


「馬鹿な……、この水晶は過去に龍種だって鑑定したことがあるものだぞ!

それを超える存在など――」


「――事実だ」


ヴァルカスは、淡々と言った。


「我は、ルミナス王国軍統括。

武神ヴァルカス・ブラッドロード」


その名が告げられた瞬間。


大地が、軋んだ。


帝国軍の兵の中に、膝をつく者が現れる。

武を極めた者ほど、理解してしまった。


――勝てない。


その背後。


いつの間にか、森の上空にまで“魔物の軍勢”で満ちていた。


気づいた時には遅い。

すでに撤退することすらできない。


「……将軍」


誰かが、震えた声で言った。


「我々は……何に喧嘩を売ったのですか?」


将軍は、答えられなかった。


ただ一つ分かることがある。


――これは戦争ではない。

――処刑だ。


――――


一方、その頃。


ルミナス大要塞、玉座の間。


「始まったね」


俺は、戦場の様子を投影しながら呟いた。


「帝国軍、完全に足が止まりました」


クロウが、静かに報告する。


「予定通りです。

恐怖が、"絶望"に変わるまであと僅か」


「うん。じゃあ――」


俺は、軽く指を鳴らした。


「続きを頼むよ」


クロウは、微笑を深める。


「かしこまりました、我が主」


「帝国軍に……

いや世界に――」


その瞳が、細く光る。


「二度と忘れられない現実を、お見せいたしましょう」


帝国軍は、まだ知らない。


自分たちが、

歴史に名を刻む“敗者”になることを。


そして――

この日を境に、世界は「禁域の森」を

恐怖ではなく、畏怖と呼ぶようになることを。

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