第1話_転生しました。
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――これは、後に“世界最凶の創造神”と呼ばれる少年の始まりの物語。
(……まじか)
目を覚ました瞬間、俺は理解した。
これは夢じゃない。現実だ。しかも――かなりまずい。
視界に映るのは、見知らぬ森。
木々は異様に高く、空気は重く、妙に冷たい。
そして何より。
(……俺、小さくない?)
視界の端に映る手は、どう見ても赤子のそれだった。
指は短く、力も入らない。声を出そうとしても、喉から空気が抜けるだけだ。
(あー……これ、もしかしなくても)
そう思って空を見上げた瞬間、確信に変わった。
月が二つ、浮かんでいる。
(地球じゃないな。うん。完全に)
いわゆる――転生、というやつだろう。
ただし、よくあるラノベみたいに女神様が出てきて
説明してくれるわけでもなく、
チート能力を授けられて「さあ冒険へ!」なんて展開もない。
いきなり森。
赤子の状態で。
説明ゼロ。
(初手ハードモードにも程があるだろ……)
半ば現実逃避気味にそう思ったときだった。
視界の隅に、淡い光が浮かぶ。
【職業:創造神】
【スキル:創造】
(……は?)
創造神?
聞き慣れないというか、むしろ聞き覚えがありすぎる単語だ。
戸惑う間もなく、知識が頭に流れ込んでくる。
物質、魔法、スキル、概念。
思いついたものは、形にできる。
(……いやいや、待て待て)
これ、どう考えても――
(強すぎない?)
その瞬間だった。
「……グルァァ」
空気が震えた。
霧の向こう、赤い光が二つ揺れる。
灯りじゃない。目だ。
現れたのは、三メートルはあろうかという巨大な狼。
夜色の体毛は金属のように硬く、背中を走る蒼い紋様が脈打つたび、
霧が波打つ。
牙の先から滴り落ちた淡い光が、地面の苔を黒く焦がした。
(生まれて数分でこれとか、聞いてない)
赤子の体では、逃げることもできない。
声も出せない。助けを呼ぶ相手もいない。
(……詰んだわ)
狼が、踏み込む。
その瞬間、ふと頭をよぎった。
(……あ、能力)
声は出せない。
でも――考えることはできる。
《スキル:超思考 創造》
世界が、引き伸ばされた。
狼の動きが、極端に遅くなる。
霧の粒が、空中で止まりかける。
(……本当に、動いてるの俺だけだ)
心臓が早鐘を打つ。
だが、不思議と恐怖はなかった。
(やるしかないよな)
創造。
思った瞬間に、形になる力。
(だったら――)
俺は、必要最低限の答えだけを選んだ。
《創造:ステータス強化》
《創造:黒銀の剣》
光の粒が集まり、手の中に冷たい感触が生まれる。
黒い刃に、銀の縁。
それだけで、この剣が“普通じゃない”ことは分かった。
時間が、元に戻る。
狼が跳んだ。
牙が迫る。
(普通なら、ここで終わりだ)
俺は一歩、踏み込んだ。
――そして。
一閃。
狼の巨体は俺を追い越し、ぴたりと止まる。
次の瞬間、静かに、二つに分かれた。
断面は黒い光に包まれ、血すら流れないまま霧に溶けていく。
(……あ)
遅れて、理解が追いついた。
(俺、今――)
倒した。
鑑定が、勝手に発動する。
【種族】ルビーアイ・フェンリル
【ランク】S
(……S、ね)
赤子の体で、Sランク魔物を。
(これは……思ってた以上に、やばいな)
誰が、何のために俺をこの世界に連れてきたのか。
この力が、何を意味するのか。
何も分からない。
ただ一つだけ、はっきりしていることがある。
(――この世界、俺の想像以上に面白そうだ)
俺は、ゆっくりと森を見渡した。
次の“何か”が、すぐそこにいる気配を感じながら。
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