日本合身後 81日目から90日目
81日目
国民全員の健康診断は不可能と言われてしまった。まあ当然だな。
見ないようにしていた体重計に乗った。ベルトの穴がひとつ進化してそれもきつくなっていたんだ。みっつならかなり楽だな。
乗って良かった。いや厳しい現実を突きつけられたのか。
体重が5キロも増えている。たった2ヶ月でだぞ。拙い。
82日目
せめて北海道だけでも健康診断をと強行させることにした。
83日目
茨城県と山口県と愛媛県は可能と返答があり実施すると。
84日目
取り敢えず札幌周辺の健康診断は終わった。
速報値です。自己申告のみだが平均で4キロ体重が増えていました。
これはやばいです。
食べ過ぎ注意の広報を出そう。
85日目
あれから10日後。九州から元財務大臣がやってきた。ようやく民航機の本格運用が始まったのだ。管制空域の調整に手間取ったらしい。始まったと言っても往事の1割程度だ。その程度の運行数でも空席は目立つという。
財務大臣に復帰は?
「嫌だ」
ですと?
「俺はもう歳だからと言って総理就任を止めさせたのは誰だ」
「その際は申し訳なく」
「だから隠居だよ」
「ダメですか」
「もうやらねえよ。これだけは言える。国債は思い切って切ってしまえ。あんなに有ったんでは身動きもままならん」
とのやけくそじみた助言。切るのは簡単だけどその後どうするんですか。
「新しい領土が有るだろう。聞いたぞ。そこに資源が有るな。そいつを金銭換算か債権化出来ないか。考えてみろ」
「2000兆円相当も有るとは思えないんですが」
「それでも政府運営の足しにはなるはずだ。新しい領土の資源は全部国のものにしてしまえ。それを債権化して税収の代わりにしろ。権利のような形で簡単に民間に渡すな」
「国債の償還はどうするんですか」
「ゼロ金利で頑張れ。非常事態だから0%の固定でやれ。0.1%でも金利を付けると身動き出来ないどころか日本が破産するぞ。どうせ大口償還先の大企業は多くが潰れる。救済などするな。解散させて新会社に統合しろ。引き継ぎなどさせたら国債の保有も引き継ぐことになる。回収の邪魔だぞ。俺の所の会社も怪しい。それに個人の大口国債購入者も大株主も多くは生き残っていないだろう。法定相続出来る範囲の親族も怪しいな。それなら国庫に回収出来るぞ。相続人がいても相続税が大量に入る。残りの国債はどさくさに紛れて回収しろ。本当の意味で非常事態だ。たいていの無理無茶横暴は許される」
「酷くないですか」
「やらないと国家が財政的に生き残れないぞ。それか戦後の超インフレと同じ事をやれ。幸いあの時と違い物資は豊富だ。生きていくなら十分すぎる」
「2000兆円を20兆円相当まで価値を落とせと言われるか」
「そういうことだ」
「さすがにそれは出来かねます。国債の回収と相続税を優先します」
「それがいいだろうな。あとは、投資先が事実上無くなって返還も回収も不能の紙くずになった企業が発行していた債券や投資制度をどうするかだな。さ、俺は帰る」
「ありがとうございました」
「もう会えないかもしれないが頑張ってくれ」
「寂しいこと言わないでください」
沖縄県知事同様ウニとカニをたらふく食べて帰って行った。土産も要求されたよ。自腹で出したさ。あんなに元気なら100まで生きそうだ。
86日目
富士川沿いに山梨県との連絡路を開削中の自衛隊だが発破が足らずに榴弾砲と航空爆弾の使用を許可を求めてきたので許可はした。
結果が来た。発破の比ではない爆発力だが爆発痕が荒い。荒いが進むようだ。しかし、迫力は富士総合火力演習の比ではないな。90式と10式まで持ち出している。いいのか?貴重なAPFSDS弾を使って。巨大な岩が砕け散っている。懐かしのF-4ファントムから投下した航空爆弾は斜面の土砂を派手に吹き飛ばしている。
かえって整地が大変な気もするが建設機械でやれば早いのか。あ、74式のドーザー車両まで出てきた。
いやあ、良い映像でした。
87日目
昨日見た映像の余韻が残っている。ああいう使われ方なら平和でいいな。
その自衛隊からAWACSの飛行準備が出来たがどうしましょうかと。レーダー関連の点検整備に時間が掛かった、と言っている。
「必要?」
「さして必要とは思えません。中国は内部分裂が始まって武力衝突も起きていますから事実上の内戦です。外部へ強攻策に出る余裕はないと考えます。中国もロシアも長距離機の多くが配備されていた地域が消えていますので、どこにどれだけ残っているか皆目見当も付きません。多くは無いと考えます」
「日本を攻撃することはないかな」
「外部よりも内部を優先するでしょう。可能性は現状かなり低いと考えます」
「どうするかね」
「そう言われましても。ああ、一番暴発する可能性が高いのは半島です」
「半島か。じゃあ半島の監視に回して」
「試験飛行で行いました」
「もうやったの」
「で、どうだった」
「見えた機影はかなり少ないとしか」
「内戦中なんだろ」
「主要目標はあらかた潰した後でしょう。ゲリラ的に行動する少人数の歩兵部隊を目標にするのは目標を誰かが視認して誘導されてもGPSが使えない以上ジェット機では実質不可能です。ヘリの出番ですね」
「携帯対空ミサイルがあるのでしょう」
「それだけが問題ですが、北にはそれほどの数は残っていないという分析です。消えた地域に多く配備されていたと見ていますし、自衛隊に損害がなければ問題ありません」
「それならいいか。半島には注意を」
「もちろんです」
各地で体重が~、と報告が届く。健康注意情報でも出そうか。食べ過ぎに注意と。でもせっかくたらふく食べられるようになったんだ。適度の量で健康にと広報でも出そう。
88日目
沿海州支庁奥地で想定されていた接触があった。旧中国の東北地域を支配する勢力だった。自衛隊と外務省が言うには「地球さんの警告があるから武力衝突にはならない」ただし「はず」だと。なんだよ「はず」って。豆満江で韓国軍と接触したときに韓国軍が「そこは我が国の領土」と主張したので同様に中国も信用が出来ないと。
89日目
沿海州支庁から続報があった。長距離通信は電信が一番確実なので電信だと。トンツーか。技術的に言われても分からないが電離層の状態が変わった影響のようで変調を用いる電話形式だと短波帯でも2000キロを超えるような長距離通信がイマイチ不安定だとさ。本当によくわからん。
旧中国の東北地域を支配する勢力は「満州国」を自称しているそうだ。こちらは韓国軍と違い地球さんの警告を受け容れていた。つまり、ここを国境とすると。こことは現地で川がありそこのことだ。川の名称はまだ無い。至急、川の敬称を付ける必要が出てきた。国内の川でさえも名称に困っているのに外地の川などどうしよう。川の奥地はまだ双方とも達していないのでどうなるのかわからない。現地で合同調査隊を結成するので追加人員を送れだと。こちらも人手不足なんだが、この場合なんとしても送る必要がある。頼むよ、自衛隊と外務省。
90日目
財務省と日銀と国税庁には、あの人の案を遠回しに伝え可能かどうか検討させていた。
回答が来て、現状なら可能である。やらないと国債の償還と金利負担で未来が無い。とも。超インフレを起こしても結局、後で財政への負担が大きすぎるので国債の回収を強引に行った方が良いと。法務省からは不可能だと思うがなんとか緊急回避に当たらないかどうか検討してみると。
ダメなら法制化しよう。今の状態で従来の税制度が運用出来るとも思えない。あらゆる徴税は後数年は無理だろう。なので国債の償還も不能だし金利負担など財政が死ぬ。緊急回避として成立させる。市中の国債を回収したら後は日銀を倒産、解散か、させて即日(新)日本銀行を立ち上げてと。それで日銀保有の国債もゼロにする。そして徴税出来ない税金の代わりに新しく国債を発行して全額日銀に押しつける。
非常事態というよりも異常事態だ。国民の理解も得られるとは思う。一部を除いて。外国も金融経済は壊滅だろう。海外との金融取引も出来ない。問題ないはず。
投資先が無くなり紙くずとなった債券は、保有者が生き残っている場合は新しく日本領となった地域の資源を債権化して付け替えることが出来ないか検討すると。
日本政府や企業や個人で持つ海外債券や権利は放棄せざるを得ないだろう。主張しても向こうで実効性があるとも思えない。
次回更新 1月10日 05:00
次回、中部編の予定。まずは新潟、富山、石川、福井の日本海側4県。
作者の金融知識はゼロです。
財務省も外務省も法務省も日銀も北海道にいた人材で政府周りが構築されています。




