あの、故郷では私のような髪や目の色は一般的で
新族長となったシグネだったが、何と辺境領に残ってクララベル専属の護衛騎士となった。あと、他のゴーダ族の者達も交代で、クララベルを守ることになった。
クララベルとしては「専属!? と言うか、族長なのに!?」と慌てたが、何でもゴーダ族の長とは『一番、強い戦士』であり、戦で先陣を切って戦う存在なので、そもそも彼らの里に族長が常駐する発想がないらしい。元々がそうなので里は里で族長の妻、あるいは娘などの血縁者が取り仕切るそうだ。
「里は、我の妹がいるから大丈夫だ。むしろ奥方のことを伝えたら、全力で守るように言われた」
「奥方の絵姿を見て、皆も奥方を守りたいと言ってる。ゴーダ族一丸となってお守りするので、安心してくれ」
「娘からも「妖精のお姫さまを守って!」とお願いされたんで、お気遣いなく」
以上、冬となり雪が降り出した領主城でのクララベルとシグネ達、ゴーダ族の戦士達の会話である。
(雪が積もるからゴーダ族の皆や、この領地の人達は長身なのかしら?)
そんな馬鹿な、と思いつつも妙に説得力があるくらい雪が積もる。あまりに積もるので、冬は天候によっては戦が休止になる場合もあったという。
ちなみにクララベルはというと、風邪をひかないようにとウールのドレスを用意され、更に上着も羽織るように言われている。そんな訳で、今のクララベルはモコモコ状態だ。ちょっと恥ずかしいが、確かに暖かいので大人しく言われるがままに厚着をしている。
「あの、故郷では私のような髪や目の色は一般的で……」
ちなみにウィラード達はともかく、ゴーダ族の面々はそもそも勘違いをしているので、クララベルはわざわざ家族である皇族一家(クララベルを覗く)の絵姿を用意した。彼らはクララベル同様の金髪や銀髪で、瞳の色も淡い色だからである。
だが、それを見たシグネ達はというと。
「顔の造り『だけ』なら、似ている……か?」
「いや、性格の悪さが全面に出てるぞ」
「こいつらは妖精じゃない。清らかな妖精を害する、魔物だ」
「「「なるほど」」」
ゴーダ族の男達が首を傾げるのに、シグネがキッパリと言う。それにうんうんと頷く面々に、クララベルはたまらず遠い目になった。
……しかし、そんな平和な日々もここまでだった。
年が明けた頃、ウィラードに招待状が届いたのである。
「春に、皇女の生誕を祝う宴が開かれるらしい……実際は皇女を含め、未婚の令息令嬢の為の集まりのようだがグローリアにと、あとクララベルの話を聞きたいからと俺も来るように言われている」
「そんな……」
それは物語の中で、クララベルが死んでいるからこそグローリアを口実とし、ウィラード共々兄妹を呼び寄せて絡め取る為の招待だった。
生きているが、クララベルは何故か物語通りに呼ばれず──けれど結婚しているのに、ウィラードも呼ばれたことにクララベルは言葉を失った。




