第5話 巨豚殺し
「……いやいや、チートにも程があるだろ。何だよ自在に生み出すって」
――ハルトはすぐに宿を出て、さっきレッドオークが出た森に入った。早速スキルを試す為だ。
とりあえず適当に、木材で剣とか食器を作ってみる。
「…なるほど、たしかにスキルを発動する時に気が散ると、出来が悪くなるな。スカスカだ」
―しばらくスキルを弄ってみて、分かったことがある。
それは進化前のスキルも兼ねている事だ。
…つまり大は小を兼ねるということだ。
前のように土の形を変えることが出来るし、アイテムボックスの鉱石を加工することも可能だ。
魔法力が上がった為、土もより強固なものに、飛距離も伸びたりしている。
――ハルトはさらに森の深くへ潜った。夜はモンスターがより凶暴になるらしいが、今のハルトはゴブリン程度じゃ痒くもない。
そうして歩いていると、奥にオークの群れが見えた。
2mを超える体躯をした個体が5匹、焚き火を囲って座っていた。―1番大きな席を除いて。
「――なるほど、さっきのレッドオークはコイツらのボスだったのか…ならあいさつにでも行くか」
ハルトは茂みから姿を現し、食事中のオークの輪に近づく。
「……!ンギッ!」
そのうちの1匹がハルトの存在に気づき、隣のやつに知らせる。すぐに5匹が立ち上がり、棍棒を持つ。
「おっと…穏やかじゃないな?」
ハルトは一応両手を上げる。殴りかかって来たら懲らしめてやるか、という意図を込めて。
しばらく両手を上げる人間の様子を見るオーク達だったが、そのうちの1匹だけがハルトに殴りかかった。恐らく自分達のボスが殺され、憤慨しているのだろう。
「君たちのボスが死んでしまったのは…残念だ。だが俺は何もして無いぞ?」
人間語は分からないのかお構い無しに思い切り、上空からハルトの頭蓋へと棍棒を振りかぶる。しかしハルトはもうそこに居ない。
「ふむ、ステータスの『速度』が上がると反応速度も早くなるのか」
〉「縮地」スキルを得た。
オークが後ろを振り返ると、そこにハルトはいた。
―単純な事だ。オークが棍棒を振り下ろす、コンマ3秒の間で歩いて後ろに立っただけ。
「……ブギッ?!」
認識すら出来なかった現象に一瞬気を取られるが、またすぐに棍棒を振る。今度は横から右脇腹を狙って。
「…だから無駄だって、さっきので分かるでしょ」
ハルトは自分に迫る棍棒を掴み、「創造」で形を作り替えて槍を作り、その胸を貫いた。
胸を貫かれたオークはその場に膝を着いて倒れる。
〉称号「巨豚殺し」を得た。
〉「精神耐性」スキルを得た。
「…!ブ、ブギャァ!!」
その一連の流れを目の当たりにした4匹のオークは、ハルトに背を向けて一目散に逃げ出した。
……誰基準なのかは分からないが、特定の行動を起こすと称号やスキルを授かるらしい。
宿でまだ飯を食べてなく腹が空いていたハルトは、倒れたオークの死骸を解体して、肉を食焼いてべた。
「……何故だか知らないけど、死体とかグロいのが大丈夫になったのは、「精神耐性」スキルのお陰か?」
ハルトはすかさずステータス画面を開き、今持つスキルのレベルをMAXまで上げた。
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〈タナカ・ハルト Lv15134 ”巨豚殺し”〉
EXP:925164/81543715
【種族】人間
【職業】聖剣を統べる者
HP:164285/164285
MP:28505/28675
攻撃力:84634
防御力:99513
魔法力:71439
幸運:9451
速度:15734
【スキル】
「報酬増加Lv10」
「縮地Lv10」
「精神耐性Lv10」
【EXスキル】
『創造』
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ご愛読頂き、ありがとうございます!
全話、一人称を三人称に”俺”から”ハルト”など変えてみたりしました。勿論物語に大きな変更は無いのでご安心を!
次回はいよいよニューキャラクターが…?
では!