表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/16

第2話 レッドオーク

全員のステータス開示が終わり、今日のところは休養を取れと言われた。

明日からはもうクエストに行かされるらしい。

召喚された時点で、拒否権は無い。


侍女がハルトたちをそれぞれの部屋に案内する。

ハルトは少し王宮を探検してみたかったので、部屋に戻ったあと外に出た。


「―やっぱり凄いな装飾が」


…やはり国の中心、国王が住まうというだけあって、かなり豪勢な作りだ。

通路も基本レッドカーペット。マーライオンのような噴水もある。

そうして歩いていると、大きい体の男が話しかけて来た。


「よぉ、粘土野郎。土の買い出しか?w」


こいつは小熊(こぐま)武浩(たけひろ)だ。

スキルは確か…「格闘」だったはずだ。体格がよく、昔から喧嘩が強かった男だ。

そしてこいつも――あの御堂とかいう金髪と同じグループだ。こいつらと関わるとロクな事が無い。

ここは軽やかにスルーだ。


「あ、ああ、小熊くん、ちょっと散歩にね」


ニヤニヤした小熊が、ハルトの顔を見つめてから歩き去る。


中庭に出ると、そこには一面の花と白いベンチがあった。貴族たちがあそこで談笑を楽しむのだろう。


色々と王宮を見て回ったハルトは部屋に戻り、ぐっすりと寝た。



――翌朝になり、昨日召喚された場所に皆集まっていた。朝食は用意されたが、ゆっくりと味わって食べている時間は無かった。


「では皆さん、これからスキルについての説明をします」

「――モンスターを倒すと、経験値が貰えます。経験値が一定値に達するとレベルが上がり、スキルポイントが貰えます」


聞いた限り、その辺のシステムは俺がやってたRPGとあまり変わりないな。


「レベルが上がるとステータスも上がります。スキルポイントは自身のスキルの強化に使います」


――つまり俺の”造形”とかいう雑魚スキルも、レベルを上げれば金属の形を変えたりとか、マシな物になるのか――?


「お前はレベル上げて今度はなにこねるんだ?w」


「ちょっと国大(くにひろ)!もうやめて!自分が強いからって、調子に乗らないで」


またも煽ってくる国大を止めてくれる香坂(こうさか) 花楓(かえで)

この茶髪のロングヘアーは人一倍正義感が強く、優しい人だ。こんな俺にも優しく接してくれる。


「では早速ですが、クエストに向かいましょう」


――ハルトたちは集団で近辺の森に向かわされた。

その森はグローリア王国を出てすぐの場所にあり、駆け出し冒険者がよく入る場所だそうだ。


そう、この世界には”冒険者ギルド”といったものまで存在するらしい。

いつかはクエスト受注、なんてしてみたいが、俺に出来る仕事は精々内職ぐらいだ。


「じゃあ各自でゴブリンなど倒してください。レベルを上げないと魔王なんて夢のまた夢ですからね」


そしてまた、皆がグループを作っていた。


――なんで俺は異世界に来てまで、”集団行動”しなくちゃいけないんだよ。いいさ、1人でやってやる。


ハルトは1人で違う方向へ歩き出した。

――森の深くなる方に。


しばらく歩くと、2体のゴブリンがこちらへ走ってくる。いよいよ戦闘だ。ハルトは”造形”で土の剣を作り待ち構える。


「防御力3だからな…1発でも食らったらヤバそうだ」


だが、ハルトは振りかぶった手を止めた。


「グ、グギャッ!」


――本来人間を襲うはずのゴブリンはハルトを素通りして走って行った。何かがおかしい。


走り去っていくゴブリンの背中を見つめながら神妙に思っていたその時だ。


「…ドスンッ、…ドスンッ」


森の奥で野鳥が一斉に飛び立つ。

そしてこちらに近づいてくる足音。

――ヤバい。この気配はヤバい。絶対に俺じゃ勝てない相手がこちらに来ている。


「に、にげなきゃ…!」


ハルトは皆の元へ思い切り走って逃げた。

そしてその旨を魔法使いの女性に伝える。


「…?!まさかここまで出てくるとは」


目を見開き、全員に集合の合図を出す。

そして待ち構える中茂みから現したその姿は…


――レッドオークだ。

曰く、普通のオークでも十分な強敵だが、こいつは他のモンスターや人間を食ってさらにヤバくなったやつらしい。


「ここは私が食い止めます――!みなさん逃げて!」


女魔法使いがすぐさま結界を張り、脱出を促す。

――だが1人、立ち向かう者がいた。

御堂だ。やつはニヤリと笑みを浮かべながら剣を握りしめている。

それに続き他の奴らも参戦する事になった。


「おい田中!!あのオークの足元固めろ!それくらい出来るだろ?!」


御堂はオークを見据えたまま、俺に投げかける。

――続く地面であればある程度の距離なら操れるのはさっき確認した。

足止めなら出来るはずだ。


ハルトはありったけのMPを込めて、”造形”を使用した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ