表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/48

13. 衝撃の朝


 早朝まで続いた話し合いのあと、密かに煉瓦れんが小屋へと戻っていたリアンは、小屋の壁にもたれて、明るくなるのを待ちながら、わずかな睡眠をとった。


 朝日は向かいの山の尾根から徐々に射してきて、村に届くようになる。陽光がリアンのいる場所を照らし、そして、まだ眠たそうにしている頭に飛びこんできた物音が、リアンをはっきりと目覚めさせた。


 小屋の鉄扉がガタガタと揺れる音。

 気が付いたレネが、外へ出ようとしている。

 その扉はカンヌキ式で、外からしか開けることができないのだ。


「レネッ!」

 リアンはあわてて声をかけた。

「リアン!」

「レネ、大丈夫かい。」

「ねえ、何が起こっているの?ここは煉瓦小屋の中ね。どうして私はここにいるの?」


 やはり、レネにはその時の記憶がない・・・とリアンは確信して、いくらか躊躇ちゅうちょしたが、あやまるためには真実を伝えなければならない。この状況にレネも納得なっとくがいかないはずであるし、遅かれ早かれ知ることになるだろう。


「レネ・・・落ち着いて聞いて。実は僕が贈ったその首輪には・・・呪いがかけられているみたいなんだ。そのせいで、君は夜中に外へ出て無意識に暴れだした。ごめん・・・僕のせいだ。」


 衝撃のあまり声が出ないレネに、リアンは急いで言葉を続ける。

「でも大丈夫、サムジおじいさんがすぐに対処してくれたから。」

 そう言いながら、リアンは自分の右腕を見下ろした。しっかりと巻いている包帯のその下には、彼女にみつかれた深い傷がある。


「リアン・・・首輪がまだ取れないわ。扉を開けてくれないのは、だからなのね。今のうちに外してもらえるように、おじいさんに伝えて。」

「それが・・・できないんだ。まだ・・・。」

「どうして?」

「それをすれば、首輪から炎が燃え上がる。君が焼け死ぬことになるって・・・。だから、君はまだこんな所に・・・。」


 それに対するレネの反応はなかった。

 小屋の高い位置に格子こうし窓があるが、それは彼女の身長よりも上にあるので、リアンと話すためめい一杯その壁際かべぎわに寄っている彼女の姿は、中が薄暗いせいもあって見ることができない。


 無性に不安になり、リアンは息を殺して耳をすます。

 たちまち胸を締め付けられたリアンの顔が、痛ましいほどにゆがんだ。

 その沈黙の中から聞き取れたのは、そっとすすり泣いているかすかな嗚咽おえつだった。


「レネ・・・ごめん。助けるから・・・今、皆がそのために相談している。おじいさんも懸命に方法を探してくれてる。だから・・・泣かないで。」


 リアンはわざと、包帯をしていない方の腕を窓の中へと伸ばしていく。

 しばらくすると、それに応えた繊細せんさいで柔らかい指先に触れることができた。

 小さな格子こうし窓から指をからめ合う二人。

 挙式当日を迎えるまでの毎日、心躍こころおどる幸せな日々を送れるはずだった・・・それが一転。


 だがここで、一緒になげいても仕方がない。ましてや自分でいた種だ。自分には責任も、彼女を助ける義務もある。悲嘆ひたんに暮れそうになるのを精一杯 こらえて、リアンは彼女の手を強くにぎり直した。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ