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邂逅

葱はネギ、牛蒡はゴボウ、と読みます。

その男、葱田 葱雄はスーパーの野菜売り場を物色していた。

物色、という物騒な言葉を選んでいるのは、彼はスーパーから盗んでいる常習犯だからである。

最上品質のネギをブラックマーケットでブルネイに転売していたり、いつも胸まで緑、胸より下は白の全身タイツをしていることからその業界では《葱売りのネギ》と異名をつけられていることでYouTubeで話題である。


また、彼のことを秘密裏に追跡している女がいた。

それは自称私服婦警の牛蒡川 牛蒡娘である。

彼女のメインウェポンはゴボウであり、それにはこだわりがある。

10万年前のシベリアの永久凍土の中から持ち出した幻のゴボウ《シーブル•クサナギ》である。

それをハワイのキラウエナ火山の溶岩で鍛造して鍛えたゴボウ剣《シーブル•エンシェント•クサナギ》を2振り持ち、その氷、太陽を自由自在に操る能力で世界を混沌から守ってきたのである。

そして今日、この葱田 葱雄が悪事を犯すと天のお告げを受け、ここにいる。



葱雄が積まれているネギたちの中から3本を手に取り、持参の既に五本ネギの入っているアタッシュケースの中に入れようとする。


「すいません、何をやっているのですか?」


牛蒡娘が葱雄のネギを持っている手を掴み、そう話しかける。


ドンッ!


空気が揺れる。呼び込み君や客で賑やかだった店内が悲鳴と建物が崩壊する音に消されていく。

舞い上がった煙が落ち着く頃にはアタッシュケースでガードした葱雄と《エンシェント•シーブル•クサナギ》の炎を操る能力(チカラ)を使って爆発を吸収した牛蒡娘とゴボウを盗もうとした迷惑系Youtuberしか店内の残骸の上に立っているものはいなかった。


「えっとぉーwwwゴボウ盗もうとしたらぁwww店内が爆発したんでぇwww今配信回してまぁぁーーすwww」


とYoutuber特有のうざったいトーンの説明が粉塵が舞う戦場(いくさば)へと響きわたる。


「お前、誰だ」


と白と緑の全身タイツがボロボロになった葱雄が問う。


「俺はぁぁぁーwww迷惑系YouTuberのぉーーーwwwコーラ•メントスってゆうんっすけどおぉぉwwwえっとぉーーーwwwなんか俺のリスナー?wwみたいなヤバいやつにぃ、登録者20万人のぉww俺がぁwwww取材してみたいとぉーーーーwwwおもいまーーーーす!!!!!」


と答えに微妙になっているかもしれない返答をし、担いでいる30万円くらいしそうなカメラのレンズをぶつかりそうなくらい葱雄の体に寄せる。


ガンッ! ガチャ!

と葱雄が第二の葱である《チタニウム•オニオン》を使い、カメラを5m程吹っ飛ばし、破壊する。


「お前などには興味なぞ欠片もない。

俺は今、あの小娘を探しているのだ。」


とカッコをつけてそう言い捨て、牛蒡娘のところへと向かう。


ジュワッ


葱雄が構えていた《チタニウム•オニオン》が牛蒡娘から3mのところに来たら溶けていった。


「バカなっ…俺の《チタニウム•オニオン》はチタン並みの強度だぞっ…」


「バカね、あなた。私の太陽を操るゴボウのチカラが有ればあらゆる物質を太陽の温度で熱することが可能なのよ。あなたのそのチンケなネギだったら一瞬で焼き焦げてしまうわ。」


と、牛蒡娘が赤いゴボウを持ち、勝ち誇った表情でそう言った。


「でもおぉぉぉwwwそれってぇぇぇえぇぇwww太陽の光がとどかなけりゃあwwww良いんすよねぇぇwwww」


と良い、瓦礫の山と化した店内から集めてきた100本の1.5リットル入るコーラのペットボトルとメントス50本を開けてメントスコーラを始めた。

その泡は空を覆い、日光が遮断されその3人の空間だけが夜となった。


「何故加勢してくれたのかは知らないが助かったぞ!小娘ぇぇ、くらえ!」


と葱雄の第3のネギ、《マグナム•オニオン》を取り出しチタンに覆われたネギの弾丸を牛蒡娘の体に撃ちつける。しかしそれは牛蒡娘の氷の障壁の半ばまでのめり込ませることしかできなかった。


「このシベリアの大地で悠久の時を刻む氷はシロクマのすみかを犠牲にして私を守るのよ。」


さらに彼女は透明な青のゴボウを振りかざし言う。


「この男に氷の裁きを《アイシクル•ゴボウ》」


「ぐわぁぁぁ!」


牛蒡娘のゴボウから出てきた氷の礫は手榴弾の破片のように葱雄の体を打ちつけていく。


「ふん、その程度で俺が負けると思ったのか?」


葱雄がそういうと、第4のネギ、《ヒール•オニオン》を取り出し体に擦り始めた。

ネギの辛み、痛みが葱雄の皮膚を襲う。そしてネギの緑色の液が浸透し、傷を癒していく。


「もうこれじゃあ何も盗めそうにないからズラかるぜ!」


と言い、アタッシュケース片手に走って逃げていった。


「ということでぇぇwwww今回の配信はこれで終わりたいとおもいまぁぁあすwwww面白いと思った人はこーひょーかとチャンネル登録、おなしゃーーーっっっすwww」


と言い、お気に入りの一眼レフカメラとメントスコーラ、ゴボウを手に帰っていった。


「あの盗みをした奴ら、絶対に捕まえて社会の闇を消してやる‼︎」


その決意を胸に牛蒡娘は情報収集へと向かっていった。

クソ、続編決定‼︎

アニメゴボウvsネギvsYoutuber第二期放送決定‼︎

2030年一月放送開始

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