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scene.07 生徒会と最強のラスボス


 入学式が終わった直後


「オーランド=グリフィア!召喚に従い………えっと…?」


 シャーロットから呼び出しをくらった俺は生徒会室の扉を開けたのだが……


「待っていましたよ、オーランド。貴方は将来的に私の護衛騎士になるのですから……そうです、常に行動を共にするのであればこれも必然でしょう」

「オーランド様!これで私たちはまたずっと一緒ですね!」

「ははは!君がケルシーの側に居てくれると僕としても助かるね、なんとお似合いの2人なんだろうか!」

「……あのなぁ、オーランドは妹の婚約者だ。お前らはもうちょっと自重って言葉を覚えろ」

 


 式の挨拶で何か余計な事を言ってしまったのか、最後の言葉はまずかったのかとビクビクしながら生徒会室に向かった所……絢爛豪華な生徒会室には………


 生徒会長  シャーロット=ラーガル 

 副会長   ダニエル=アトワラス

 風紀委員長 フレドリック=リンドヴルム

 書記    ケルシー=アトワラス

 

 シャーロット、ダニエル、ケルシー、フレドリックの4人……『グランドフィナーレの向こう側』の生徒会メンバーが妙に楽しそうな雰囲気で待ち構えていた。


 ダニエルは家名の通りケルシーの兄であり、アトワラスの次期当主。現在は三年生だ。

 フレドリックはフェリシアの兄でありリンドヴルム家の次期当主。ダニエル同様に現在は三年生である。


「そんな所に立っていないで中に入りなさい、オーランド」

「私の隣にどうぞ!オーランド様!」

「ははは!やはりオーランド君はケルシーの横にいるのが一番しっくりくるね!」

「俺の話聞けよーダニエル?……喧嘩なら買うぞー?」


 入れと言われたものの俺は扉の前で少し固まった。


 そうだ……学園には彼等が居た……


 ダニエルもフレドリックもどちらも何度となく会っている……どちらも優秀な人間でありそれぞれがアトワラス、リンドヴルムの当主になる男だ。

 2人が学園に入ったここ2,3年は顔を合わせるくらいだったし、護衛騎士補佐に就任するにあたって最近忙しかったこともあってすっかり失念していた。



 ケルシーの兄……銀色の美しい長髪のダニエルはとても頭がキレる男だ。そんなアトワラスの次期当主であるダニエルとは何度となく話をして幾度となく手合わせもした。正直な所、俺が覚えている限りゲームではそんなに存在感のある人物ではなかったが……この世界では違う。

 いつも何も考えずに楽しそうにしているケルシー同様にダニエルもまたいつも涼やかで楽しそうな笑顔を浮かべているが、ケルシーと違い彼は笑顔の裏で常に何手も何十手も先を読みながら会話を組み立てている策略家だ。

 もちろん、それは別に良い。若きシャーロット様の周囲に優秀な人材が集まることは非常に喜ばしいことであり、ラーガルから逃亡する俺としても頼れる人がラーガルに居るのは安心が出来て大変ありがたいことではあるが………


 問題は、そんな優秀な頭脳を持ったキレ者のダニエルが、妹のケルシーのやる事を全肯定するかなりヤバイ奴だという点だ。


 ケルシーが俺と遊びたいと言えば俺がケルシーと遊ばないといけない状況を作り出し、ケルシーが俺を家に招待したいと言えば俺が家に来なければならない状況を作り出す。ケルシー自身もゲームと違ってかなりアグレッシブではあるが、ダニエルはそんなケルシーの望みを叶える為にあの手この手を使ってくるとんでもなくヤバイ奴だ。

 気が付くと色々な約束をさせられて予定表にケルシーの名前がびっしりなんて事もあったので、俺はダニエルと1対1で会話をしないようにしている。何を話してもポンコツな俺の頭では会話の主導権を持っていかれてしまうので、今ではダニエルとの会話はリリィかフェリシアが居る時だけしている。



 そして、もう一人は両手を頭の後ろに置きながら椅子に踏ん反り返って座っている男……常にフェリシアが開眼している時と同じような鋭い紫の眼光と貴族にしてはやや短めの紫の髪をしている男……


 フレドリック=リンドヴルム


 この男だけは絶対に忘れてはいけない……

 うっかり失念していたでは済まされない重要な人物だ。


 なんせフレドリック=リンドヴルムはフェリシアルートの実質的なラスボスだからな。

 それも全ルート中で最強と言われるラスボスだ。


 まあ……フェリシアルートに進めば兄でありリンドヴルム家次期当主であるフレドリックが敵として立ちはだかるのは考えて見れば至極当然だ。多分俺がフレドリックの立場でも主人公の前に立ちはだかる。


 それもそのはずだ、ただの平民の男が妹と共に……身から出た錆とは言え……グリフィア家の婚約者を蹴落とし、更にはそのただの平民の男が大事な妹と結ばれようとするのだからな。

 グリフィアとの繋がりが消えたのみならず、フェリシアがどこの馬の骨とも知れぬ平民の男と結ばれるようなことになればリンドヴルムの評判はガタ落ちだ。

 ゲームの時はそこまで深く考えてプレイしていなかったが、これを『はいそうですか』と受け入れられる貴族が存在するはずがない事くらいは今の俺ならわかる。むしろ主人公がよく殺されなかったなとすら思う。


 そんな、本来ならば殺されて然るべき主人公ではあるが……

 リンドヴルム次期当主であるフレドリックは見極めようとする………それだけの価値が主人公にあるのかどうか、妹が惚れた相手が一体どれほどの男なのかを。

 

 普通ならただの平民である主人公が貴族の(まつりごと)に口を出した時点で有無を言わさず殺されるが、フレドリックはそれでも妹の気持ちを優先した。周囲の声を全て捻じ伏せて、大事な妹がそれほどまでに望むなら機会をやろうと決めた。


 そして、2人の気持ちを確かめる為に戦う事になる。

 叶えたい願いがあるのなら覚悟を示せ、と。


 相手はフレドリック1人、対してこちらは主人公とフェリシアの2人……2対1の戦闘が始まるわけだが……こいつがまぁぁあぁぁああ!強い!!とにかく強い!この戦闘考えた奴は頭おかしいんじゃねぇのってくらいに強い!


 それもそのはずで、1周目データだろうが10週したデータだろうが、周回データに合わせてフレドリックのステータスも変わるからだ。

 フレドリックはいつ戦っても常に主人公とフェリシアよりも格段に強くなるように調整されている。それ故に最強のラスボスと呼ばれるようになった。仮に周回を重ねてあらゆるステータスをカンストさせたとしても、フレドリックのステータスはカンストの更に上に行く。それを倒すためにフェリシアのステータスも文字化けみたいになってバグるわけだが………正直いって反則級の強さだ。


 故に、ルートとしては個人的にはアイリーンルートの方が苦労はしたが、それでも最強の敵は誰かと問われれば間違いなくフレドリックだと答えられる。


 初めて戦った時はそのあまりの強さに序盤のオーランド戦のようなただの負けイベだと思ったくらいだ。まあ『グランドフィナーレの向こう側』は勝っても負けてもギャルゲパートは攻略できるようになっているゆるーいギャルゲーなのだが……それでも、フェリシアルートのトゥルーエンドを迎えるにはフレドリックの撃破が必須条件になる。

 考えて立ち回らなければ一瞬で負けるし……考えても運が絡むし……とんでもない難易度なんだよな………


 仮に主人公ギルバート君がフェリシアと恋仲になるとして、フレドリックお兄様に勝てるのだろうか……

 ゲームでも頭がおかしくなるくらいに強かったラスボスは現実となったこの世界でもその強さは健在だ。

 なんせ、15歳にして上級冒険者にまで至り巷では天才だとか言われている俺ですら、フレドリックと手合わせすれば毎回殆ど手も足も出ないでボッコボコにされるからな。めちゃ強いんだが……



 大丈夫だろうか……主人公(ギルバート)……

 この世界がフェリシアルートの場合は修羅の道だぞ……


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