表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/59

scene.27 ギルバート=スタインは夢を見た?



 どうして……

 どうして私を置いて……

 私には……




「………と……」


 暗闇から浮上すると



「お?どうした、起きたか?」



 目の前にオーランドさんの顔があった。


「あ……………はい!!ごめんなさい!その…」



「おいおいおいマジか、すまん。悪かったって、でも泣くほど怖かったか?」


 え?


「い、いえ!ちょっとびっくりしてしまっただけです!」


 目が覚めると涙が流れていた。


「そうか?なら、もうちょっと頑張れるか?ダンジョンは慣れが必要だからちょっとずつ経験を積んでいかないとなんだが……心配しなくてもお前には傷1つつけさせねぇよ。な?リリィ」


「お任せください。私とオーリーであれば敵の殲滅は容易です」


 振り向けば赤い髪のリリィさんが、そして目線の先にはオーランドさんがいる……そうだった……そうだ、ここはラーガル学園にあるダンジョンだった。

 僕がうっかり変な地面を踏んで、そしたら煙が出てきて……


 なんだっけ……足を引っ張ってしまった……?



「はっは!トラップくらい初心者なら誰だって踏み抜くから気にすんなって」


 オーランドさんはいつも通り、素敵な笑顔で僕の事を気遣ってくれる。


「はい、我々も冒険者になりたての頃は数々のダンジョンで数多のトラップを踏み抜きました。我々に比べれば1度や2度などまだまだでございます」


「ふふ」


 リリィさんも励ましてくれているのだろうけど、面白い励まし方だ。


「おっし!笑える元気があるなら大丈夫そうだな。」


「はい!いけます!」


 いつまでも座っていないでダンジョンを進もう。


「いいか?学園の実技は突き詰めればダンジョンの攻略だ。魔法の授業も剣の授業も、魔物を想定した訓練で、全部が全部ダンジョン攻略の為の勉強だ。これは何度も言ってるからわかるな?」


「はい!」


 オーランドさんはグリフィア家という凄い貴族の人間だと言う。どうして僕のような平民に構ってくれるのかまるで理解ができないけど、そんな人にこれだけ目をかけてもらっているのだから頑張って期待に応えたい。


「ここはラーガル学園の敷地内にあるから学園ダンジョンなんて呼ばれているが、正式名称はダンジョン<アンドレイア>と呼ばれている。学生の勇気を示す為の場だそうで、難易度も中級の下のほうだな。油断すれば命を落とす事だってありえるっちゃありえるが、ラーガル学園に来るような人間がそこまでのヘマをすることはまずない」



 ラーガル学園を卒業するには1つ以上の教科で卒業ラインに到達する必要がある。

僕は現状全く勉強についていけていないので、テストの全てを落としている……卒業時に一定の成績さえあれば問題ないとは言え、各学期毎にあるテストの全てを落とすのは流石にまずいらしく先生にもどうにかするように言われてしまった。

 そんな事を言われてもすぐに頭はよくならないのでどうすれば良いのかまるでわからず困って居た所に、オーランドさんがまた救いの手を差し伸べてくれました。


『勉強はそのうち追いつくから今は気にすんな。でもそうだな………実技の成績だけでも取っておくか。俺とリリィでサポートするから、ギル、お前がリーダーになって学園ダンジョンの攻略をしろ。いつか必要になる時が来るかもしれないからな……』


 生徒会に所属していて、放課後は毎日勉強を教えてくれて……

 本当に頭があがらない……



「ただまあ、ギルはダンジョン経験もないからまずは慣れが必要だ。こればっかりはダンジョンに関する知識をいくら頭に突っ込んでも実際に経験しないとどうにもならないってことは…………俺とリリィで実証済みだからな」

 

 オーランドさんはそう言うと何処か遠い顔をした。

 ダンジョンで色々あったのかもしれない……


「はい!」


 オーランドさんとリリィさんは15歳にして上級冒険者<(オース)>へと昇格した、今のラーガル王国で……ううん、大陸で最も若く最も才能ある冒険者だと聞いた。そんな人達がわざわざ僕のことをサポートしてくれているんだから、多少怖くても頑張ろう!


「本当はもうちょっと戦闘技術を叩き込んでからダンジョン訓練に移行したかったんだが、のんびりしてたらその前に1学期が終わっちまうからな。ギルだって夏季休暇は実家に帰りたいだろ?」


「あ…はい!」


 実家は……別に帰りたくはないけど…


「学園ダンジョンで10層までいけば1年の実技はクリアだ。今日中に終わるから心配すんなって。とりあえず1年分の実技だけ前借しとけば2学期も3学期も退学の心配はなくなるし、その間に勉強と剣術、魔術をみっちり鍛えるぞ!」


「ご指導よろしくお願いします!」


「うむ。ギルが泣かない程度にギリギリの所で鍛え上げてやろう」


「も、もう!さっきのは本当になんでもないです!」


「はっは!そういう事にしといてやるよ」



 罠に引っかかったのが怖くて泣いてしまうなんて情けなさ過ぎるけど……何か…何か悲しい夢を見たような気も……する……

 でもどんな夢だったのかまるで思い出せない……

 昔よく見た夢……だと思うけど……


 ううん、思い出せないって事は思い出さなくても良いってことだ!

 

 今の僕はオーランドさんとリリィさん、他にもオーランドさんの回りに集まった色んな人達と楽しく過ごしている。こんな毎日が続くのなら、勇気を出して学園に来てみて本当によかった!



「い、いきます!」


 

 そうして僕はダンジョンの奥へ足を踏み入れた。


 10層を攻略して帰還する頃には、夢を見た事なんてすっかり忘れてしまっていた。


お読みいただきありがとう御座います!



2部二章開始です

ここからも楽しんでいただければと思います

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目を通してくださりありがとうございます!
もし気に入ってくだされば評価いただけると嬉しいです!
他の作品も目を通していただければとても嬉しいです!
― 新着の感想 ―
[気になる点] > どうして……   どうして私を置いて……   私には…… ーーー あ、隠しヒロイン!? って。 某ゲームで、ひたすらフィジカルを鍛えまくると迎えるエンドを思い出した。
[気になる点] 耳じゃなかったっけ? [一言] 冒頭のはまさか…?!
[一言] 主人公君も完全にオーランドに懐いてますね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ