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scene.26 優しい時間は緩やかに



 一体どうしてこうなった……



 思い出せ、俺が生存する為の戦略はなんだ?


 ひとつ、強くなる!

 そうだ。

 誰よりも強くなってこの世界を1人で生きていくための第一目標だ


 ふたつ、ヒロインと関わらない!

 そうだ。いくら悪役だからと言ってお互いに干渉しなければ少なくとも殺される事はないからだ。


 みっつ、主人公には優しくする!

 そうだ。主人公と仲良くなれば困ったときに助けて貰えるかもしれないからだ。



 では、今俺の置かれている状況はなんだ?




「オーリーはい、あ~んッ!!いったいですわね!なにするんですの!」


「カラドリアの女!ここは生徒会室だ。部外者は立ち去れ!」


「騒々しいですよケルシー様、私とて部外者なのですからマリアと同じですよ」


「わははは!お前はオーランドの婚約者だからな!なーに気にすんなって、どうせ生徒会室なんてだだっぴろいだけで何もねーしな!フェリシアは存分にオーランドとくっついてればいいぜ!」


「こらこらフレドリック君。彼はいずれ僕の義弟になるかもしれない子なんだ、あまり干渉しないであげてくれないか?」

「そうですそうです!いってあげてください!お兄様!」


「いやいやおかしいだろ?!それを言うならあいつはもう俺の義弟だろうが!?ダニエルお前喧嘩売ってんのか?」

「お兄様は静かにしていてください。ほら、早く学園の見回りにでも行かれては如何ですか?」

「なんでお前まで俺の事邪険に扱ってんだよ!」


「はいはい!みなさんもう少しだけ静かにしましょうね」


 生徒会室はもはや収拾がつかない魔境と化していた。

ケルシーとマリアが俺の左右を固め、背後にはフェリシアが陣取っているせいで身動きすら取れず、正面にはシャーロットとダニエルとフレドリックがいて、


「つまりここの数字がこっちに入って?」

「正解です。次はこちらの応用問題を」


 俺の目標であったギルバートの教育は少し離れた所でリリィがやっている。




 なんでだよ!!なんでこうなってんだよ!!




「ちょちょっと落ち着いてください。ケルシーもマリアもすこし離れろって」


「嫌です!」

「やんっ」


「わははは!おうおうオーランドさんよー?遊ぶのは好きにすりゃいいが、フェリシアを泣かせたらどうなるかだけしっかり考えて楽しめよ?わははは!!……っと!エリーがこえぇし俺は校舎の見回りでもして遊んでくるわ、んじゃな!」


 フェリシアの兄、フレドリック=リンドヴルムはそう言うと爆笑しながら生徒会室を後にした。


「ちょちょっと離れろっての!いやいや、君らの言い分ではここにはギルに勉強を教えに来たんだろ?だったら俺じゃなくてギルのほう行くべきだろ」


 生徒会には関係ないがっつり部外者であるマリアとフェリシアは、ギルバートに勉強を教えるからという理由で放課後は生徒会室に入り浸るようになった。初めこそみんなで教えていたのだが、1週間もしないうちにこうなった……こうはならんだろ。真面目に勉強教えろよ。


「ですから私たちが順番で教えているのではないですか。4人5人から一斉に話しかけられても理解できるわけもないですし、結局勉強する教科は1つずつです。だったら」


「1人ずつ教える方がいいですわ」


「そうです!だから待ち時間にこうしてお隣にいるんです!」

「ははは!ケルシーは上手に待てる子だからね、オーランド君の邪魔にはなっていないだろう?」


「いや………はい、そうですね」


 ダニエル=アトワラス副会長はケルシーがやる事を全肯定するやべぇやつだ。

 そして俺はそんな彼の言葉に頷く事しかできないひ弱な悪役だ。


「それに私達は友の為を思って生徒会で勉強を教えているんですわ」


「そうですよオーランド様。勘違いをしてはいけません、たまたま私たちが近くにいるだけであって、たまたまオーランド様と話しているだけです。ですのでどうぞ、オーランド様もギルバートとの勉強を存分に楽しんでください」


 なんでこんな事するんだい?俺が悪役だからかい?

俺はただ殺されたくない一心でヒロインや主人公に気を遣って生きてきて、生きる為に必死に頑張って時間を作ってはダンジョン攻略をして、魔術や剣技の修行をしたいだけなのに、どうしてなんだい?


「ギルも何とか言ってやってくれよ、こんなに教える人間いらないだろー?あ!!なんなら俺が抜けても問題ないだろこれ!」


 そうだよ!ここから俺が抜ければ理想郷が完成するじゃないか!

主人公とヒロインが室内に揃っている環境。しかも彼女達(ヒロイン)主人公(ギルバート)に1人ずつ勉強を教えてくれる。単純接触効果というのもあるわけで、これを繰り返せばギルバートとこの中の誰かが結ばれる日だってくるかもしれないじゃないか!

 なんてことだ……知らず知らずのうちに最高の環境を整えてしまった自分が恐ろしいな。


「ダ!ダメです!!お願いだからオーランドさんはいなくならないでください!!!」


 いつも通り、僅かでも楽観的な事を考えるとこの世界は即座にそれを否定してくる。


「お、おう。ギルがそこまでいうなら…ここに居るよ」


「ほ、本当にお願いします!オーランドさんが居なくなったら……いえ!」


 なんだ?ギルのあの慌てっぷりは………ヒロイン連中の顔を見て顔を背けたように見えたが……

 美少女だらけの環境で照れてしまうとかそういう感じか?


 ダニエルもフレドリックもちょくちょく顔を出すんだから気にすることはないと思うが……

 とは言え、主人公のお願いは極力全部叶えるのは俺の戦略の1つだからな




 


 1つ、強くなる

 達成率60%くらいだろうか?悪くない進捗だ


 1つ、ヒロインには関わらない

 ま、まあ、リリアナとアイリーンには会ってないし………

 達成率2%くらいだな


 1つ、主人公に優しくする。

 達成率100%だ!だというのに……

 主人公に助けてもらうどころか助けを求められる始末だ




 どど、ど、どうしてこうなった?


 入学前より悪化している気がするのは気のせいか?

俺の計画では入学と同時にヒロイン連中が俺から離れて主人公にメロメロになるはずだった。

 付きまとわれる事がなくなり時間が出来た俺は主人公がどのヒロインを選ぶかを見極めつつ、リリィと2人で学園のダンジョン攻略に勤しむ予定だった。



 入学前より自分の時間無くなってんじゃん!?

 この3ヵ月、何も進んでいないぞ。

 ど、どうする?どうすればいいんだ? 


 こいつらと敵対せずに上手に別れる方法は何かないのか……



 頼むから主人公もヒロインもお互いに興味をもってくれ……

 誰か俺に時間をくれ!







 悪役転生者の生存戦略 第ニ部

 一章 悪役と主人公・完


お読みいただきありがとう御座います!

誤字脱字報告や感想ありがとう御座います!



2部一章はここで終わりです。

これで役者は全員揃いました。

引き続き2部二章をお楽しみください。

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[良い点] 笑いながら読んでるけど可哀想w [気になる点] 作品内、現実両方においてタラレバだが、父親は使用人に指示して他所から子供を持ってきてるはずなんだから、父親か家令と血筋と成人の儀について話し…
[一言] いっそオーランドの出生の秘密を今暴露すればヒロインから逃げられるのではないですかね。
[一言] あぁ・・・役者がそろったってことはアイリーンのこともう隠す気ないのね?
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