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scene.13 アピールポイントは何でしょうか?



「エリー、ケシー、マリア……内密どころか、むしろ君たち3人には知っていてもらいたい」


 教室に座っている3人の名前を呼びながら順繰りに見ていく


「そうなんですか?いいですよ、さあ私に話してください。オーランド様の事は私が全て受け止めてさしあげます」


 フェリシアは目を閉じていつものニコニコふんわりフェリシアに戻ってくれた。よかった……フェリシアに睨まれると身が竦むんだよね。


「ああ、俺はマリアに頼んで今年入学してきた平民について調べて貰っていただけだ。ギルバート=スタインって名前なんだが、知ってるか?」


 ふるふると首を振るフェリシアと……


「私はついさっき知りましたわ」

「知ってます!あッ!」


 興味なさそうに答えるマリアと、

 元気よく知っていると答えた後に、急いで口を閉じてフェリシアを見たケルシー……


「……もういいですよケルシー様、喋ってもらっても…」


「ギルバート=スタインは3ヶ月ほど前にロティーが言っていた子だと思います!魔物の群れに襲われた時に近所の村に住んでいた男の子が助力してくれたのでお礼に学園に招待した人の名前です!でも別に役には立たなかったとも言っていました!」


「そ、そうだ……良く覚えてたなケシー」


 役に立たなかったとまでは言ってなかっただろ?

 主人公が可哀想だろ?


「シャーロット様が?なにか特別なスキルを持った平民ですか?」


「いや、そういうわけじゃない。寧ろその逆だ。」


「どういう事ですの?」


 聞き返しながらさりげなく俺の手を触ろうとしたマリアだったが


「逆とは?」


 同じく聞き返してきたフェリシアに叩き落とされていた。

 話は真面目に聞こうな、マリア。


「ギルバートは本当にただの平民だ。ただ、3ヶ月前に王女様の一団を襲っていた魔物の群れの討伐に助力したというだけの功績でラーガル学園に招待された人間だ。強いだとか優秀なスキルがあったとかそういうわけじゃない、学園への招待はただその勇敢な行動に対する報奨……うーん、そうだな、自分の弱さを承知で誰かを守ろうと立ち上がったその高潔な魂への報奨だ。魔物の集団と言っても護衛には父上もいたし…実際ケルシーが言ってる通り、居ても居なくてもなんら問題はなかったらしいしな……」


「無謀な事をする方ですね」

「馬鹿な平民ですわね、理解に苦しみますわ」

「何がしたかったんでしょう?」


「い、いやいや……そう言うなよ……エリー達はそう言うが、俺もシャーロットと同じでギルバートの行動にはとても感動してる。俺達のように戦える人間が魔物の前に立つのと力のない人間が魔物の前に立つのではわけが違う。自身の命を省みず誰かを助けようとするギルバートの行動を本当に素晴らしいと思っている」


 お前ら本当にヒロインか?!

 自らの身よりも誰かを守ろうとした主人公の行動に対してもっと賛辞を送れよ!!!普通にかっこいいじゃん!ちょっと興味もとうよ?ちょっとでいいんだよ?

 もうちょっと興味もってくれよ頼むから!


「言われてみればそうですね。素晴らしい行動です」

「平民にしてはやりますわね」

「偉いと思います!」


 なんだこいつらは………

 いや…まあ、いいか。


「そんなギルバートだが……その、シャーロット王女殿下が招待した、という事実がまた善し悪しと言う感じでな。」


「それはどういう?」


「エリーもマリアもギルバートの事を知らなかったとは言うが、一部界隈…というか、平民の間では期待の星のような扱いを受けている」



 王女殿下肝いりの平民の凄い平民……

 ゲームでの主人公はこの噂のせいで人一倍苦労する。


 主人公が王女殿下から学園に招待されたのは紛れもない事実だが、だからと言って主人公は凄いスキルを持った人間でもなければ凄く頭が良いわけでもなければ凄く強いわけでもない。普通だ。ごくごく普通の平民だ。


 学園に招かれている平民というのはそう多くはないが招待された平民というのは例外なく優秀だ。武芸に秀でた者、魔術に秀でたもの、商才に溢れたもの、それもただ優秀だと言うだけではなく突出した才能をもつものばかりだ。彼等のような優秀な平民は遅かれ早かれ貴族と繋がるようになるし、学園に入学する時点で既に何処かの貴族に囲われている者が殆どだ。


 そしてそんな中……

 シャーロット=ラーガル殿下が招待した平民、だ。

 

 シャーロットは誰かれ構わず言いふらしていないし、実際にフェリシアやマリアですらその存在を認識していなかったが……この情報は徐々に広がるようになる。



「シャーロット様がご招待された平民ですからね、否応にも期待はします」


 フェリシアが頬に手を当てて首を傾げながら答えた。


「そうだろうな。その認識が普通だし俺だって何も知らなければ一体どんな凄い奴なんだろうと変な期待を感じていただろうな。だが、実際は……」


「役立たずということですね!」


 はい!と大きく手を挙げて元気よくケルシーが言う。


「ち、違うぞケシー?」


 なんて事を言うんだこの子は!?


「そう……今のケシーみたいに、みんな本質を見誤っているんだ」


「本質、ですの?」


「確かにギルバートに凄い能力と呼べるものはないかもしれないが、彼のとった行動は誰にでも真似できるものではない。エリー達もそうだが学園の連中も外面の情報に流され過ぎている。いいか?さっきも言ったが、俺が思うにシャーロット王女殿下が見出したのはギルバートの内面だ。貴族と平民と言えば本来は強者と弱者だ。ギルバートはそんな弱者であるにもかかわらず、ただ強者に守られるだけの自分を善しとせずに必要とあらば強者を守らんと行動できる素晴らしい奴だ。」



 斯くして悪役(オレ)による主人公(ギルバート)のアピールタイムが始まった。


お読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] いかに主人公君が良い人だとプレゼンできても本質を理解できるオーランドへの評価が上がるだけ
[一言]  なぜが自分の敵役を褒め称えなければならない悪役(主人公)w  どうしてこうなったw
[一言] 中身は良いらしいけど実力と身分がないギルバート、中身良くて実力も身分もあるオーランド、ヒロイン視点でどっちがいいかとなればそりゃあオーランド選ぶわな。 まあ大前提としてそもそも攻略済みだし…
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