scene.10 すれ違い……からの~?
主人公との邂逅によってもう戻ってこないと思っていたマリアは
「これがギルバートとやらの選択している授業ですわ!お役に立てましたか!」
午後の授業が始まる前に普通に戻ってきた。
どうやって調べてんだ?てか、早いな。
直接会って聞いてきたのだろうか?
そもそも、ギルバートのオーラに当てられてもう戻ってこないと思っていたが……まあこういうのは直接渡してくれた方が助かるし、いいか。
「ありがとうマリア、本当に助かったよ」
「お役に立てて光栄ですわ!」
金も払わずに言う事を聞いてくれるマリアに違和感しかないが、それよりも貰った紙に目を通した。
「ふむふむ……」
主人公も全部の授業を満遍なく取っていたのか……
いやいやどんな偶然だよ……全部1コマずつ綺麗にずれてるじゃねぇか…ま、まあいい。これさえわかってしまえばこちらのものだ
「その人間がどうかしましたの?その男がオーリーに何かしたのでしたら、明日には学園から姿を消してもらえるように動きますわよ?いえいえ!大丈夫ですわ!バレるようなヘマはしませんし、バレれば揉み消しますわ!」
「やめい!」
いくら今居る場所が人の居ない空き教室だからってさらっとヤバイ事を言うな、しかも声がでかい!
「そうですの?」
それはともかく、やはりおかしい……
いや、マリアはいつだっておかしいんだが。
それでもやはりおかしい。
「こいつがどうってわけじゃないんだが……それよりもギルバートは見なかったのか?話したりは?」
「見ましたわよ?話はしておりませんわ」
見た………んだよな?あれ?
「じゃあなんでここに居るんだ?何で話さなかったんだ?なんか感想とかないのか?」
「質問の意味はわかりかねますが……この教室に居るのはオーリーがこの情報を内密に欲しがっているような感じがしたからですし、話をしなかったのは話す理由がなかったからですし、感想なんてありませんわ。そもそも何の感想ですの?」
「あ、いや、うーん……ギルバートをみた感想とか、何かない?ほら……こう、なんていうか……金のない平民の人生を大金で買い取って奴隷にして側に置きたい、みたいな?」
「な、なんですの……その質問は?オーリーが調べて欲しいというから調べただけで、それ以上もそれ以下もないですわ。オーリーが私を奴隷にしたいとかそういう事ですの?その、まあ……オーリーがそうしたいというのなら……奴隷にはなれませんが、そう言う遊びでしたらいつでも——」
「ちがうわ!!!え?なに?マリアはギルバートを見てなんとも思わなかったの?!」
「え?えっと……仰ってる意味がよくわかりませんわ?」
「超イケメンだったろ?!欲しくならなかったのか!」
「な!なりまわせんわあんなの!さっきからなんなんですの!?オーリーが調べて欲しいっていうからお調べ致しましたのに、どうしてそのような事を聞かれるのですか!あの男のことなんてどうでもいいではありませんの!私は………私は……どうすればよかったのですか?」
そうしてマリアは怒ったかと思うと、段々と落ち込み始めた。
どういう事なんだ……?
わけがわからん……
ギルバートに一目惚れしていないのか?
どうなっている?
奴隷イベントはどうした?
意味不明だが……
でも……だが……
「……いや……すまん。本当に感謝してるんだ、今の質問は忘れてくれ。悪気はなかったんだ、その……悪かった……」
不安そうな顔のマリアを見ればわかる。
この場で間違えてるのは俺のほうだ。
確かにわけわからん状況ではあるが、マリアは俺のお願い通りにギルバートを調べてそれを報告してくれただけ、ただそれだけだ。
ギルバートに何も感じていないならそれでいいじゃないか、彼女を責めるのはどう考えてもおかしい……どうかしていた……
「……悪いとお考えでしたら……態度で示してくださいまし」
そうだな……マリアがギルバートに反応しなかったのは想定外だったが、それがどうしたというのか。それは別に彼女が悪いわけではない。心配しなくともヒロインは他にも居る。それに、もしかするとこれから少しずつ仲良くなっていくのかもしれないじゃないか。
そうだ、今はまず礼を尽くすべきだ。本来なら俺が直接主人公に話しかければそれで済むような事を喜んで引き受けてくれたんだ……今のは完全に俺が悪い。
「わかった……すまん。何をすればいい?ギルバートについて調べてくれたのは本当に感謝している」
謝罪や感謝は口ではなく態度で示す。
それは当たり前だもんな
「キッ…キキ、キスを……所望しますわ!」
なんなんだろうなコイツは……
もう男なんて食いまくってるだろうに……
顔を真っ赤にして。
「……手の甲でいいならな」
手の甲はセーフってリリィが言ってたし、まあいいか。
実際よくやるしただの挨拶だしな。
「唇!」
「ダメだ」
「頬っぺた!!」
「ダメだ」
「お、おでこ!」
「はあ……」
「わ…わかりましたわ……手の甲でいいですわ」
2人だけの空き教室、時間は昼過ぎ。
外からは僅かに生徒の声が聞こえてくるような静かな教室
俺がマリアの前に跪き手を取った所で
「この雌兎がぁあああぁあああ!!!!!」
轟音と同時にドアを破って突入してくる猛獣が現れた。
お読みいただきありがとう御座います!
誤字脱字修正に感謝を!




