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知識チートと解析スキルで無人島を『理想の都市』に創り上げる  作者: 佐藤 凛


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8/23

制作開始



アレンは持ち帰った魔力樹の幹や樹皮を前に、静かに息を整えるとスキルを発動した。

洞窟の前に広げられた素材は、木漏れ日のような魔光を受けて淡く輝き、ひんやりとした風が森の奥から吹き抜けていく。


「『素材加工』」

《了解しました。加工する対象と完成像を指定してください》

「この魔力樹の幹、樹皮、葉を最大限活かして、快適な寝床が作れるように加工してくれ」


《了解しました。付与する特性を選択してください》

「あ、そうか。じゃあ……断熱の特性をつけてくれ」

《了解しました》


スキルが発動した瞬間、素材が淡い光に包まれ、構造が書き換わるように変化していく。

幹は滑らかな寝台フレームへ、板材へと形を成し、樹皮は薄く均一に伸びて防湿・防風材に変わる。葉や繊維はふかふかとした綿状の素材となり、枕やクッションへと姿を変えた。


「おおおーー! アレク! すごいじゃん!」

ステラが子どものような声を上げると、アレンは満足げに頷いた。

「でしょ。あとはこれを組み立てれば完成するはず」


《レベルアップを報告します。それに伴いステータスポイントの付与とスキル『集団統率』を取得しました》

「お、レベルアップしたみたい」

「何かスキル手に入った?」

「集団統率というスキルみたいだ。どんなスキルか、ちょっと見てみる。『スキルオープン』」


――――――――――――――――――――――――――――――――――

・集団統率


特定の協力関係にある人物に指定した役割において能力が引き出され作業効率が上昇し、連携が向上します。なお、指定した役割と適性が一致してない場合には効果は発動しません。


2/2

――――――――――――――――――――――――――――――――――


「なるほど…役割を指定することで能力を上昇させるものみたいだ」

「もし人数が増えてきたら重宝しそうね」

「だな。ひとまず作業に取りかかろう」


そこからの作業は、魔力樹の扱いやすさも相まって驚くほどスムーズだった。

木槌の音もほとんどしない。組み立てるたびに木材同士が吸い付くように接合し、数分もかからずベッドは完成した。


「やったーー! 本当に簡単につくれちゃうんだね!」

「これで硬い地面で凍えながら寝ずに済む。断熱材も効いてるはずだ」

ステラは枕を押し込んだり、寝台を軽く叩いたりして感心したようにうなった。


「この木だけで作られたとは思えない。どうやったらこんなフカフカになるの?」

「木を繊維にして綿状に加工したんだろうな。素材加工は相当優秀だよ」

「すごいね。もうなんでも作れちゃいそう」

「なんでもではないけど、できることは多そうだ。――さて、もう一個つくろうか」

「……そうだった」


余った素材を使ってもう一台を組み立てると、こちらは初回の倍以上の速さで完成した。


「二回目はすぐだったね」

「ああ。慣れたな」

こうして、二人の最初の建築作業は、わずか二十分ほどで終わった。


「こんなにあっさり終わっちゃっていいのかな?

「いいさ。これから作りたいものが山ほどある」

そうだね。今はスキルを頼るしかないし」

「魔力も尽きたし、そろそろ寝ようか」

「うん。おやすみー!」

「おやすみ」


作ったばかりのベッドは驚くほど暖かく、二人は疲れと安心感に包まれながら、まるで気絶するように深い眠りへ落ちていった。


──────────────────────────────

翌朝。

アレンはステラを起こさないよう、静かに拠点を抜け出していた。


洞窟の入口は早朝の冷気に包まれ、薄明の光が岩肌を淡く照らしている。

ひっそりとした空気の中、アレンは足音を殺して奥へ進んだ。


(また来ちゃったな…。まだ持ち帰りたいものがいくつかあるし)


アイテムボックスから魔力回復用のキノコを取り出し、魔力を増やすと、魔力樹や魔素水、魔気苔を次々と収集していく。


そのときだった。

洞窟奥の空気が、急に重たく、冷たく変質した。


「……ん? あれは……なんだ……?」


低い衝撃音が、地鳴りのように洞窟全体に響き渡る。

壁が軋むような音。振動。

そして、上層と下層を隔てていたはずの壁の一部が、砕け落ちていた。


崩れた隙間の闇から、太く、異様に発達した腕がぬっと突き出される。

緑色の肌。

獣のような荒い呼吸。


オーク――

その名が、アレンの脳裏に鮮明に浮かんだ。


「……っ」


喉が凍りつき、身体は震え、逃げようとしても足が言うことを聞かない。

圧倒的な敵意と殺意が、壁越しに流れ込んでくる。


オークは棍棒を振り下ろし、壁の残りを粉砕した。

崩落音が洞窟に反響し、アレンの心拍が限界まで跳ね上がる。


逃げ場はない。

この距離、このステータス――勝てるはずがない。


「……くそ」

その声は、かすれていた。


振り上げられる棍棒。

迫る死。


終わった――

そう確信した直後だった。


「下がって!」

鋭く澄んだ声が、洞窟内に響き渡った。


そして次の瞬間、

オークの巨体が轟音とともに吹き飛ぶ。


「……?」


理解が追いつくよりも早く、アレンは背後に引き倒された。

振り返ると、息を切らしながらステラが立っていた。


心配で潤む瞳。

震えた声。


「な……何を……」


問いかけようとした言葉は、最後まで口にできなかった。

ステラは一瞬だけアレンを確認すると、目を鋭くして言った。

「説明は後。あの、こじ開けられた壁を修復してくれないと」


オークは吠えながら後退していく。

アレンは膝をついたまま、理解した。


自分は――無力だ。

真正面から勝てる可能性は、一つもなかった。


しかし、このままではまた別の魔物が上がってきてしまう。

アレンは震える手で散らばった破片を集め、スキルを発動した。


「素材加工……!」


粉々になった岩は瞬く間に接合され、壁はぎりぎりのところで修復された。

「アレク! 一人で危ないところに行くから!」

「……そうだね。ステラ、助けに来てくれて本当に感謝する」

「間に合ってよかったよ」

「どうしてここに?」


「起きたらアレクがいないから。――アレクなら好奇心で下層に行っちゃうかもって思って、急いで来たの」

「そんな馬鹿じゃ……ない、はずなんだけどな」


ステラは小さく笑った。

「さっき使ってたの、なんなんだ?」

「あれは結界スキル。殺意を持った相手を近づけないようにするの。範囲も指定できるよ」

「……使い方次第で、かなり強力なスキルになりそうだな」

「かもね。――疲れてるでしょ? 拠点に戻ろう」

「そうだな。材料も回収できたし」

「楽しみにしとくよ」


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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


[名前] ステラ

[年齢] 20

[レベル] 5

[職業] 冒険者

[スキル] 料理生成 バインド 結界

[魔力] 100/103

[体力] 2/2

[攻撃力] 3

[防御力] 3

[素早さ] 100

[政治力] 1

[交渉力] 100

[洞察力] 1

[ステータスポイント] 0

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