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知識チートと解析スキルで無人島を『理想の都市』に創り上げる  作者: 佐藤 凛


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魔力の巣窟

アレクは、湖に満ちる淡い魔力の気配を感じ取りながら、回復したばかりの魔力を使って水を調べようとしていた。

洞窟上層の空間は、天井の裂け目から差し込むわずかな光と、足元を照らす魔気苔の微弱な輝きが混じり合い、幽かな青緑色の世界をつくり出していた。


「『素材解析』」

《了解しました》


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【解析結果】


[名称] 魔素水

[危険性] 中


[基本情報]

魔力泉から地脈を伝い湧き出た水。自然界では極めて貴重で、常時魔力を放つ。


[特性]

魔力を回復させるが、高濃度のまま摂取すると体力を削る恐れがある。希釈すると安全性が増す。


[採取難易度] 中


[備考]

魔素濃度は空気に触れると低下するため、密閉保存が必須。一日に一回しか効果がない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「なるほど……この湖は魔力泉の水が湧き出してできたのか。だから周囲の植生も独特なんだ。」

「この水があるから、この森みたいな空間が保たれているってことだね。」

ステラは湖面を覗き込み、揺らめく淡い光に目を細めた。


「ただ、この水は一日に一回しか効果がないみたいだ。それに薄めれば安全に飲めるけど、濃いままだと体力が削れる。」

「でも、安全に使える方法があるならよかった。……絶対に体力があるときにだけ飲んでね。」

「わかってるよ。」

ステラが少し安心したように息をつくと、突然思い出したように言った。


「そういえば、まだ一回スキル使えるよね?」

「そうだ。」

「なら、この木が素材に使えるか解析しようよ。」

アレクは首を横に振った。


「いや、まずはあそこにあるキノコを解析するべきだと思う。」

「え? どうしてキノコ? 木材探してるんじゃないの? あのキノコ、見た目毒っぽいんだけど……」

「理由はよく分からないんだが……そんな気がしてならない。」

その瞬間、アレクの脳裏に、今まで抜け落ちていた何かが静かに戻ってくるような感覚が走った。


「『素材解析』」

《了解しました》


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【解析結果】


[名称] 魔力菌

[危険性] 低


[基本情報]

魔力濃度の高い洞窟内に群生。魔力泉から流れる魔力を吸収し、菌糸に蓄積する。


[特性]

魔力を50%回復し、魔力量の上限を3上昇させる。


[採取難易度] 低


[備考]

高濃度魔力地帯にのみ成長。一日に一度のみ有効。体力が低下することは絶対にない。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「どうだったの?」

「なんと……魔力の上限が3上がるらしい!」


「いや、それでも食べたらダメだからね!?」

「いやいや、体力が減ることはないって書いてある。しかも絶対って。」

「いやいやいや、信用できないって!」

「いやいやいやいや、これ食べなきゃ明日まで魔力上げられないんだよ!」

その言葉が終わると同時に、アレクは勢いよくキノコを口に放り込んだ。


「ちょっ……! あーーーー!!」

一瞬後、アレクの表情が凍りつく。


《報告します。魔力の上限が3上昇し5となり、魔力が50%回復し3となりました》

ステラが心配そうに覗き込む。


「大丈夫……?」

「……っ! これは……食べ物の味じゃない……!」

強烈な苦味とえぐみが舌を容赦なく襲い、アレクの目は涙で潤んでいた。


ステラは口元を押さえながら笑ってしまう。

「元気そうでよかった……ふふっ」


アレクは肩を震わせながら、なんとか言葉を絞り出した。

「うッ……まぁ……魔力のためなら……」

そこへ追い打ちのように通知が響く。


《報告します。「味が恐ろしく不味い」ことの記述が一時的に非表示になっておりました》

「いやいやいやいや、そこ大事だろ!」

「え、どうしたの?」

「……いや、なんでもない。」

「じゃあ、今度こそ木の解析をお願いね。」

「はいはい……『素材解析』」


《了解しました》


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【解析結果】


[名称] 魔力樹

[危険性] 低


[基本情報]

魔力泉の魔力を水分や栄養と共に吸収しながら成長する。


[特性]

腐食・虫害・劣化に強く、強度も高い。加工後も変形しにくく、木材自体が微弱な魔力を保持する。

魔力や熱を遮断する作用がある。


[採取難易度] 中


[備考]

高濃度魔力地帯でのみ成長。建築材・魔道具素材・魔力回路の補助材として優秀。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「この木、かなり使えるな。丈夫だし、魔力伝導もできる。家づくりには最適だ。」

「それは良いね。でも……どうやって持って帰るの?」

「それは……『アイテムボックス』」


《了解しました。対象と大きさを選択ください》

「目の前の木を一本」

直後、木が根ごと周囲の岩と共にふっと消えた。


《完了しました》

・魔力樹(一本)


ステラは絶句した。

「……えぇ、そんな雑に抜けるの……?」

「最大魔力が低いから一本が限界だけどな。」

「寝床作るだけなら十分だよ。」


アレクがにやりと笑う。

「ステラもキノコ食べていきなよ。」

「いやいや……遠慮するよ……(バレないと思ったのに)」

「遠慮しなくてもいいのに。」

「数も少ないし……私、魔力量のステータス高いし……!」

「料理したら美味しくなるかもしれないよ?」

「………………そ、そうかもね。『料理生成』」


《了解しました。食材と完成品を指定してください》

「このキノコを……味が最大限消えるように料理して!」


直後、キノコは粉々に刻まれ、大量のチーズと香辛料に埋もれた“何か”へと変わった。

ステラは震える声で呟いた。

「これなら……きっと……」


覚悟を決めて口に運んだ瞬間――

キノコの味だけが増幅されて舌を襲った。


数十秒の沈黙。

そして。


「……もう、一生食べない……」

アレクは微笑む。


「さぁ、毎日少しずつ食べて魔力上限を上げていこう。」

「いや、意味がわからない……」

「そのうち慣れるよ。」

ステラはゆっくりと天を仰いだ。


「…………きっと……そうね。魔力は大事だし……」

アレクは洞窟を見上げて言う。


「魔素水も回収したいけど、アイテムボックスがいっぱいだ。後でまた来ればいい。……ひとまず拠点に戻ろう。」

洞窟を出る頃には、外の空はほんのり赤く染まり始めていた。

二人は夕暮れの光を背に、森の道を歩き戻っていく。


「ここだね。なんだか色々あったのに、もう懐かしい感じする。」

「ステラ、さすがにそれは早すぎるだろ。」

「いいじゃない、別に。」

「まぁいいけど……よし、作業するぞ! ……って言いたいとこだけど、まずは飯だな。」

「うん、朝から何も食べてないし。」

ステラの「料理生成」で食事を済ませると、二人はこの島で初めてとなる人工物の制作に取り掛かった。


洞窟前の少し開けたスペースに立ち、アレクは手をかざした。

「じゃあまず……『アイテムボックス』」


《了解しました。対象と大きさを選択ください》

「魔力樹を一本」


現れたのは、洞窟で見たあの五メートルほどの魔力樹。根の岩ごと姿をあらわにしている。

「魔力も限られてるし、まずは洞窟の入口部分から仕上げよう。」

「わかった。私は何をすればいい?」

「俺が加工するから、ステラは組み立てを手伝ってくれ。」

「う、うん……わかった……(あれ、結局どうやって加工するんだろう)」

アレクは息を吸い込み、手を掲げる。


「『素材加工』!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

[名前] アレク

[年齢] 18

[レベル] 2

[職業] 開拓者

[スキル] 土地解析 素材解析 国家解析

アイテムボックス 素材加工

[魔力] 2/5 → 1/5

[体力] 1/2

[攻撃力] 1

[防御力] 1

[素早さ] 1

[政治力] 100

[交渉力] 100

[洞察力] 100

[ステータスポイント] 0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

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