希望と現状
転移が完了したような感覚が走った。
ゆっくりと目を開けると、見たこともない自然豊かな景色の中に、自分は立っていた。
「ここが……」
この場所が自分にとって第二の人生の出発点となるのだと、静かな確信が胸に生まれる。
それと同時に、長らく枯れていたはずの前向きな感情が湧き上がり、しかし過剰とも言える期待の裏側に不安も顔を覗かせた。
総じて――失われていた“人間らしい感情”が戻ってきたのだろう。
視線を落とすと、着ている服は元のままだったが、自分の姿が以前よりも若返っているのが分かった。湖面に映る自分の顔を覗き込むと、前世で死んだような目をしていた頃の面影はすでになく、かつて希望に満ちていた頃の表情を取り戻していた。
「昔は、こんな顔をしていたんだな……」
懐かしさが胸に広がる
そして――気がつけば、ずっと気になっていた言葉が自然と口をついていた。
「ステータスオープン!」
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[名前] 未設定
[年齢] 18
[レベル] 1
[職業] 開拓者
[スキル]
・土地解析
・素材解析
・国家解析
[魔力] 1/1
[体力] 1/1
[攻撃力] 1
[防御力] 1
[素早さ] 1
[政治力] 100
[交渉力] 100
[洞察力] 100
[ステータスポイント] 0
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「これがステータスか。なんで政治力と交渉力と洞察力だけ100なんだ……まあいいか」
どうやらレベルが上がるとステータスポイントが得られ、能力に割り振れるらしい。
「次はスキルの確認だ。――スキルオープン」
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・土地解析
島の地形、地盤、水源、埋蔵資源などを瞬時に高精度マップとして表示。
・素材解析
未知の植物・鉱石・魔獣素材の成分、用途、加工難易度、毒性の有無、代用品などを解析。
・国家解析
住民数、健康状態、資源在庫、建築進捗、犯罪発生率など、国運営に必要な情報をリアルタイムでデータ化。
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「なるほど、これは便利そうだ。回数制限があるみたいだし、必要な時に使おう」
周囲を確認しようと身を巡らせると、海の方に何か漂着しているのが見えた。
「あれは……?」
近づくと、人の姿が目に入った。
「うぅ……たすけ……て……」
かすかに聞こえる声に反応し、体が勝手に駆け寄っていた。倒れているのは黒髪の長髪でスーツ姿の女性。見慣れた現代風の格好だった。




