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知識チートと解析スキルで無人島を『理想の都市』に創り上げる  作者: 佐藤 凛


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22/23

学園祭開催

夜が明け、窓の外にはすでに賑わいの気配が満ちていた。

アレンが外の景色を確かめると、学園都市全体が活気に包まれ、学園祭の準備に奔走する人々と早くも訪れ始めた来訪者たちで通りがごった返している。


祭り特有の華やかな匂いと声が街に満ち、今日の盛況を確信させる朝だった。

宿の一階へ降りると、すでにステラたち四人が食事を取っていた。


アレンが同じテーブルに座り朝食を注文すると、ステラが真っ先に尋ねてくる。

「アレン。今日の学園祭、出店の準備は間に合いそう?」


アレンは落ち着いた口調で返す。

「素材自体は揃っている。仕上げるには手伝ってもらわないとだけど」

「それはもちろん。で、何を売るの?」

「ヴェルセリアから持ってきた物がある。現地で見てもらったほうが早い」

その答えにステラは小さく首をかしげながらも、それ以上は踏み込まなかった。


食事を終えた一行は、昨日ペドロ学園長から割り当てられた出店スペースへ向かった。

アレンがアイテムボックスから取り出したのは、明らかに“ただの屋台の材料”とは言い難い品質の素材だった。特性が付与された魔力樹の木材や細部に装飾を施すための金属パーツ。

「アレン……本当に出店よね?」


ステラが呆れ混じりに問うと、アレンは淡々と頷く。

「出店だ。立派な外観のほうが集客につながるだろう」


そうして五人で作業を進めること一時間。

完成した出店は、まるで王都の商業区に昔から構える老舗の雑貨店のような重厚さと気品を兼ね備えていた。通りを行き交う人々も目を丸くし、「こんな店あったか?」「新規出店か?」などとざわめきが起こる。


準備を終え、学園祭の開会式へ向かう。

会場ではペドロ学園長が挨拶を述べ、続いて王の代理として宰相ベリアルが来賓席に姿を現した。来賓紹介の後、学園祭の開会が宣言されると、都市のあちこちで一斉に店が開き、展示会や研究発表が始まった。


アレンたちも急いで自分たちの店へ戻る。

到着すると、アレンはアイテムボックスから次々と商品を取り出して並べ始めた。その種類は多岐にわたる。

・魔力苔を用いた高効率の照明具

・快適度を劇的に引き上げた特製ベッド

・収納空間が拡張される魔道袋

・保温・保冷機能が付与された衣服や容器

・ヴェルセリアの素材を活かした生活道具類


ロシュは驚きながら問いかける。

「アレン、こんな物まで売ってしまっていいのですか?」


アレンは首を横に振り、微笑を浮かべる。

「心配ない。一番の目玉は王都へ行った時用に取ってある」


やがて開店の時間となり、アレンが外を覗くと――すでに列ができていた。

店を開けると、どっと客がなだれ込み、ロシュが驚異的な速度で接客と会計を処理し始める。ステラ、ケリー、ヒルダも最初は戸惑いながらも、徐々にロシュに倣って対応を覚え、動きが洗練されていく。

アレンは裏で商品の補充と新規加工を行い続けた。


しかし、それでも追いつかない速度で商品が売れていく。購入した客は、商品に付与された機能に驚嘆し、口コミは瞬く間に広がった。

四時間後――用意していた商品も材料も完全に売り切れた。

五人はどっと疲れを感じながらも、圧倒的な達成感に満たされていた。


昼食をまだとっていなかったため、一行は経済・商業研究区の学生が運営する店へ向かう。

入店してみると、待ち時間をほとんど作らない計算された動線、丁寧な接客、注文後すぐに提供される料理――すべてが高い完成度だった。


食事を終える頃、店を任されている学生が近づいてきた。

「ヴェルセリアで支店を作られると教授から聞きました。今回の出店でもすごいと評判です。いつかご縁があれば、ぜひ働かせてください」


アレンは嬉しそうに答える。

「募集をするときは、ぜひ来てほしい」


店を後にした一行は、魔力・魔装具研究区の展示会へ向かった。

そこにはアレンたちの店で商品を買った学生らも多く、展示よりもアレンに質問攻めが集中する。


「あの照明、どういう仕組みなんですか?」

「ヴェルセリアの魔力の流れは本当に島全体なんですか?」

「あのベッド、どういう加工してるんです!?」

アレンが展示を見たい旨を伝えると、生徒たちは申し訳なさそうに案内してくれた。


入り口の近くには魔力の流れている分布や魔力が及ぼす影響など魔力についての展示がされていた。


展示の中心には、新理論をもとに開発された“魔力を動力エネルギーに変換する装置”があった。これは工学研究区と魔装具研究区が共同で作成した目玉の成果であり、実用段階まで到達したのはここが初めてだという。


そこへガルド――昨日再会した工房長――が現れ、興奮気味に話し始めた。

「アレン君! 昨日君が話してくれた内容で、ずっと解決できなかった部分に突破口が開いたんだ! 徹夜で試作して、なんとか今日に間に合わせた!」


アレンも驚きつつ、心から喜んだ。

「すごい……。これなら、例の輸送機械の動力源に使えるかもしれませんね」

「もちろんそのつもりだ。学園都市の許可も取り、ヴェルセリアで共同研究を進めることを正式に承認してもらったよ。それから……工房の連中も、一緒にそっちへ行きたがっていてね。連れて行っていいか?」

「もちろんです。みなさんの力はヴェルセリアの発展に不可欠です」


固い握手を交わすと、展示会を後にした。

こうしてアレンたちの学園祭一日目は幕を閉じ、明日のケリーが出場予定の武術大会を控え、宿屋へ戻って休息を取るのだった。


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