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知識チートと解析スキルで無人島を『理想の都市』に創り上げる  作者: 佐藤 凛


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18/23

港作成

夜が明けると同時に、ヴェルセリアの執務室にミドロア王国からの連絡が届いた。

「…なるほど。貿易準備を早く進めろ、というわけか。」


王国は、ヴェルセリアとの正式な貿易開始に向け、島に港と街道を整備すること、そして必要な資材や技術支援については最大限協力するという意向を示してきた。


アレンは昨晩の会議の内容を思い返す。貿易対象となる物品の選定、価格帯、港湾での検査ルールなど細部はすでに取り決め済みであり、友好都市として関税を一旦は無くし、使用する船は護衛隊に割り当てられている小型船一隻でよいと結論づけていた。残る大きな課題は、両国で使用できる共通通貨の調整である。


この連絡を受けたアレンは

「ここはステラの交渉力がものを言うな。」

そう考えステラとガランを呼び寄せた


「通貨制度の協議ですね。王国通貨の流入量、交換比率、管理方法……。

 交渉材料はこちらでも準備してく。任せて。」

「護衛は俺でいいんだな?」とガラン。

「もちろんだ。今回は外交使節団扱いだ。頼む。」

ガランは軽く胸を叩き、自信満々に答える。

「二人の支度ができ次第、出発してくれ。俺は先に港の整地に向かう。」


ステラは落ち着いた表情で了解し、ガランは護衛として随行することを即答した。アレンはその場で返信文をしたため、王国へと送った。


面談を終えると、アレンは単身で島の外縁部へ向かった。ミドロア王国に最も近い海岸を目指し、そこで新たな港の建設候補地を再度見定めるためだ。


朝霧が薄く漂う静かな海辺に到着すると、

「ここなら、潮も穏やかだし、地盤も悪くない。」

アレンは海流、潮の満ち引き、海底の傾斜、地形の安定度を順に確認し、港として最適な区画を決めた。彼は深呼吸をし、掌を大地へとかざす。


次の瞬間、地面が低く唸りを上げ、砂利混じりの地盤が滑らかに隆起し、港湾用の土台へと形を変え始めた。


アレンは慎重に、しかし迷いなく地形変動によって海底を均し、港湾予定地を半月状に整え、さらに津波に備えた分厚い防潮堤を外側に築き上げる。


一連の作業が終わる頃には、まだ太陽は天頂近くにも昇っていなかった。

「これで港の基礎は整った。あとは皆で作る部分だな。」

港と住宅区を結ぶ街道、桟橋、貨物倉庫、検査所、警備詰所など――これらは一人ではなく、仲間たちと共に形にする必要がある。


アレンはまず、これらを建設するための木材や石材を集め、素材加工まで施し、組み立て可能な状態に仕上げた。その後、島の中心部へ戻る。


ちょうど朝の訓練を終え、昼食をとっていたミランや近衛隊の面々の前に姿を見せると、アレンは港建設の概要を説明した。「素材はすでに揃えている。配置図に沿って、今日中に港の基本的な機能を完成させる。」


「相変わらず……とんでもない量を一人で集めてきますね。」

「必要な分だけだ。建てるぞ。」


アレンは素材の割り振りを行い、建設指揮をとった。

「ミランには警備隊の編成と部隊の動きについてまとめておいたからそれを教えておいてくれ、頼む。」

ミランは力強く頷いた。

「任せてくれ。すぐにでも仕事をできるようにしてみせる。」


近衛隊の兵士たちも緊張した面持ちで立ち上がり、作業の準備に移る。

その頃、ステラとガランは支度を整え、再びミドロア王国へと旅立つことをアレンに告げた。アレンは二人を見送り、港予定地へ戻って指揮を続けた。


午後に入ると、建設作業は本格的に始まり、近衛隊員たちは加工済みの木材を次々と運び込み、桟橋の基礎を組み上げていった。アレンは全体の最終調整を行い、荷重計算から配置角度まで逐一指示を送り続ける。ミランは新たに編成された警備隊を連れて巡回動線を確認し、巡視本部の配置を決め、詰所の内部配置や装備の支給についても即断即決していった。


日が傾き始める頃には、港湾設備はすでに「機能」として成立していた。

船を停泊させる桟橋、荷揚げ場、貨物検査所、仮設ながら堅牢な倉庫、警備詰所――すべてがひとつの流れとして完成し、人が動けば即座に貿易が実務として可能な状態であった。


 ただし、港から住宅区間までの輸送手段は引き続き検討が必要だ。近衛隊を一時的に運搬補助として派遣するにしても、長距離運搬の効率化のためには、車両や簡易的なレールシステムの整備も視野に入れなければならない。これらは本格的な貿易開始までの課題として残された。


とはいえ、アレンはなんとか今日中に形にできたことに安堵し

「よし、今日はここまでだ。みんな、よくやった。」

 ミランが腕を組みながら口を開く。

「本当に、たった一日でここまで形になるとはな。アレン、お前の力はものすごいな、それに皆もよくやった。」

 近衛隊員たちは誇らしげに胸を張り、互いに成果を語り合っていた。

 そうして作業を終えた一同は夕食をとり、そのまま疲労の中で眠りについた。


 一方そのころ、ミドロア王国に到着したステラとガランは、到着した港でグランデ商会の商人たちの盛大な歓迎を受けていた。


「ステラ殿、ガラン殿! よくぞお越しくださいました!」

代表代理のロシュが嬉しそうに手を振った。


「本日はお忙しい中、お出迎えしていただきありがとうございます」

ステラは礼をして答える。


ガランは周囲を見渡し、

「王国の港はさすがだな。うちの港も、いずれこんな風になりたいものです」

ロシュが誇らしげに案内を始める


「こちらが貨物仕分けの動線です。

船が到着すると、まず検査所を通過し、その後倉庫へ仮置きします。

その後、我々商会の輸送陣が街道を使って王都に運び込みます。」

港のクレーンが動き、商人たちが忙しなく荷を運ぶ中、二人は王国内での物流の流れを案内される。ステラはその効率性に深く感心し、ガランは巡回している警備隊の動線を興味深く観察している。


 案内を終えた後、二人はグランデ商会が用意した宿に通され、そこで温かい食事を振る舞われた。部屋に案内されると、ロシュが改めて言葉をかける。

「長旅でお疲れでしょう。どうか今夜はゆっくりお休みください。」

ステラは静かに礼を述べた。

「ありがとうございます。明日は通貨制度の正式な協議をお願い致します。」


ガランは大きく伸びをしながら、テーブルの食事を見た。

「……いや、いい香りだな。アレンの飯も旨いが、こっちも負けてない。」

ロシュが笑う。

「それは嬉しいお言葉です。では、ごゆっくり。」

ステラとガランはその夜、グランデ商会の宿で静かに眠りについた。


 その言葉にステラは安堵し、ガランもまた小さく頷いた。

 その夜、二人は王国の夜灯りを眺めながら、明日の会議に向けて精密な打ち合わせを始めた。


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