あとがき
この作品は私の一番初めの作品です。
一番初めなのもあって、かなり未熟な完成度でどう最後に収束させていくか、相当悩みました。収束しきれてないと思います。
もう何年も前、この話を作ったときと自分の価値観が変わりすぎたのもあり、どう収束させるかと、どう間の話を膨らませていくのかということで筆が何度も止まりました。
区代表の全員の過去話を書くかどうかで悩みましたが、達美と妃澄以外はあまり触れませんでした。
ただキャラの名前だけ出しても、読んでいる方は覚えられないですし、どうしたものかなと……。
個性を出したいからと言って喋り方を変にする(絶対そんな喋り方しないでしょっていうアニメや漫画特有の喋り方)のは嫌だったので、難しかったです。
一番難しかったのは沢山出てくるキャラをそれぞれ引き立てることでした。台詞を言わせるにしても、誰がどのタイミングで発言するか等、本人たちの性格を考えるとよく発言する人もいれば、あまり会議の場でも声を出さない人もいます。
全員が発言すると収束させるのが困難になるのでさせませんでした。
《世界観について》
■区別け制度について
徹底的に悪人を排除するための制度です。
前科を抱えていても何度も何度も罪を犯してしまう人とか、前科がつかないまでも人様に迷惑をかけ続ける『悪』というものを、もう限りなく排除していくという国になってます。
最初は、罪の重さごとに顔に刺青か何かを入れて行って、その合計値が10になったら処刑される制度くらいに漠然と考えていたのですが、もう、犯罪者、迷惑者は完全に自分たちの社会から隔離していこうという考えでした。
私の人との付き合い方が、相手に悪いところを直してもらうよりも限りなく遮断していくという付き合い方(それは付き合ってるとは言えないですが)なので、それに近いですね。
自分の行為によって、自分が死刑に向かっていくというのは因果応報システムなので、自業自得かなと思います。
しかし、そのやり方は無情すぎるんですよね。罪を犯す方も何かしら問題を抱えているわけですから、根本的なその問題がそもそも起きないようにしなければならないんですよ。生まれながらに悪人っていうのはいないと思うんです。周りの人間如何で悪い方向にもいい方向にもいくものだと思います。
やってしまったからと言って排除するというのは簡単ですけど、人間と言うのは過ちを犯してしまう部分もありますし、本当に悔い改めて更生することもあります。
緋月のように1度の過ちでどんどん排除していくのは乱暴なやり方だと思います。
18歳までは子供区にいるので、子供区にいる間は過ちを犯しても子供区内で矯正が施されます。現代における少年法に守られている児童のような状態ですね。この国では18歳までは保護されている状態です。非行を行えば子供区内で厳重に注意が入ります。
ある意味でずっと監視しているので、悪いことをする余地は殆どないわけです。
ただ、子供区を出たら守ってくれるものは何もなくなります。悪いことをしたら多少は情状は考慮される余地はあるにしても容赦なく区間移動です。
緋月がそのルールを作っているのに、勝手に色々捻じ曲げてめちゃくちゃをしているので達美にしょっちゅうキレられてます。
特例をいくつもいくつも作って、ラファエル、渉、光、智春と次々に勝手に赤紙に入れているので普通に怒られて当然です。
■飲酒、タバコについて
この世界ではタバコは全面禁止になっています(タバコは禁止薬物扱い)。飲酒についても認可制です。
飲酒して他者に迷惑をかけた事のある人は許可証を剥奪されます。
歩きタバコ、路上喫煙、ポイ捨て、酩酊しての迷惑行為、この世からなくなってほしいです。
タバコとお酒については色々思うことはあります。
個人的に、私は酒もタバコも好きではありません。
特にお酒については、酔っ払いに何度も嫌な目に遭わされてきたので、酩酊している人には極力近寄らないようにしています。飲み会にも絶対に行きません。
酩酊して迷惑をかけてくるそういう人の常套句は「酔ってたから覚えていない」です。
自己責任で飲酒しているのに、人様に迷惑をかけておいて「覚えていない」で済まされるわけがないんです。だったら初めからそんなもの飲むなと。睡眠薬で健忘を起こすのは不眠症の治療の為なので仕方ないと思いますが、飲酒による健忘は完全に自己責任なので情状酌量の余地はないと思います。
タバコもお酒もそれぞれ依存症というものがあり、簡単にやめられない場合もあります。覚醒剤などの違法薬物などでは「もうしない」ではなく「辞め続ける」ということをしなければなりません。
つらいことがあったときに対処する方法は人それぞれです。タバコを吸う人もいますし、お酒を飲む人もいます。それはそれでいいと思いますが、この国ではそれらは自由に許可されてません。
達美はバーに入り浸ってお酒に溺れていますが、達美は強迫性障害のつらさを紛らわせています。しかし、お酒は治療の妨げになってしまうそうです。
何にしても、この国ではお酒を理由に人様に迷惑をかけたら飲酒する権利が剥奪され、許可証がないのに飲酒すると罰せられます。
1度許可証を剥奪された人向けに『飲酒免許』というものがあり、厳重に飲酒に関する免許講習、実習があり、適正検査もあります。
■時系列について
『罪状は【零】』(0年)→『ウロボロスの指切り(別END)』(700年)→『メンタル・ディスオーダー』(1200年)の順番になっています。
話を繋げる気はなかったですが、全部繋がっている話にしようと考えました。
初めは完全に独立した話で水鳥麗もシャーロットも出てこない話でしたが、全部繋げました。ただ、『ウロボロスの指切り』は別エンドになってます。別エンドというよりは、ただただ最悪の方向に向かって行ってしまった世界というか……。
初めはシャーロットはいつになっても不老不死の魔女にしようかと思ったのですが、いくらなんでも寿命がこないのは変かと思い、寿命が近いという設定にしました。
■苗字制度の撤廃について
私は苗字というものが好きではありません。
物凄く自分の苗字が嫌いなわけじゃないですけど、ありきたりな苗字で田舎者っぽい苗字なのですが、どうにも好きになれません。
系譜によって少なからず縛られることってあると思うんですよ。お家柄とかに縛られる人もいると思いますし、大昔の話かもしれませんけど苗字で差別されたりっていうこともあったと思います。
今は自分で苗字を考えて名乗れていた時代ではなく、名前変更の手続きよりも苗字変更の手続きは審査が厳しいそうで、簡単には自分の苗字を変えることは出来ません。
「そんな縛られるものは撤廃だ!」と、この国では撤廃しています。
夫婦別姓っていう事自体にすらならないです。誰も苗字無いわけですから。
■不倫の罪について
この国では、不倫は刑罰対象です。
他の国では姦通罪がありますが、日本はありません。昔はあったらしいですが、今(2021年3月現在)はありません。
映画やドラマの中で不倫というのはよく取り上げられるテーマですし、不倫や浮気をすると世間的に物凄いバッシングを受けるのは世の常ですが、一部の人たちの言い分としては「不倫は文化だ」的な風潮があるじゃないですか。正直、これについては納得いかないんですよ。
100歩譲って、浮気はわかります。気持ちが色々移り変わるのは仕方がないと思います。それでも、別れてから別の人のところに行くのが普通だと思います。普通……というか、礼儀だと思うんですよね。
気持ちが変わるのは仕方ないので、フッた、フラれたはあるのは当然あることですが、結婚というのはそういう軽いものではないと思うんですよ。
ありがちな誓いの言葉で「死が二人を別つまで、愛すると誓いますか?」という言葉がありますが「神に誓ったんじゃないの?」って感じてしまいます。せめて離婚してから他のところに行けと。
我慢できないなら、最初から結婚するなと。
遊びたいなら、遊んでるのは別に咎めないからと。
でも、解るんですよね。結婚ってなると本当にこの人しかいない・この人以上の人はいないって人を選ぶわけですけど、それが覆ることって普通にあることなんですよ。私もその感覚に陥るのは今まで生きてきて2回ほどありました。でも、人生長いですから、それが覆ることも容易にあると思うんですよね。異性は何十億人もいるんですから、絶対その人よりいい人なんて現れるんですよ。歳をとっていく中で価値観も変わりますし。
顔が好きで好きになっても、顔が良ければそれだけでいいっていう時期はすぐ過ぎて、他に色々求める要素が増えてきたときに、中身が伴ってないと続いては行かないと思うんです。刺激的な人でも、刺激があるのは最初だけです。
まぁ……結婚に何を求めるかは人それぞれなので、需要と供給が一致して、誓約に恥じない意思を持ち続けられるならいいと思います。
「嫁(夫)は家族になっちゃったから(性的対象に見えない)」とか、そういう理論を振り回して自分を正当化するのはやめましょう。
そういう方は優輝の経営している遊郭へ行ってください。ご利用は20歳からです。
禁止している理由の一つとして不倫相手との子供ができた場合、中絶したり、産んですぐ殺してしまうという事象に繋がってしまうからです。
この国では中絶はできません。子供ができたら生むしかない。だから軽率な性行為をしてはいけないということを子供区にいる間に勉強します。
それでも望まない妊娠によって子供ができた場合でも、育てるのは国なので「育てられないから殺そう」という考えには繋がりづらくなっています。
ただ、国に預ける際にDNA検査が行われ、母親が誰なのか、父親が誰なのか分かります。嘘をついて「夫の子供です」と言っても絶対にバレるわけです。結局そこで不倫の罪に問われます。
そもそも、避妊の有無にかかわらず不倫罪に問われます。
結婚しているかどうかというのは、誰かと性的関係を結ぶ際に必ず確認しなければなりません。
「知りませんでした」とか「結婚していないと言っていた」とかは適応されません。
未成年との淫行で「知りませんでした」とか「成人していると言っていた」とか、知らなかったら不起訴になる例は現代ではありますが、この国はありません。
必ず、既婚、未婚は確認します。確認方法としては、国が発行している身分証を確認するというものです。既婚の場合は身分証に「既婚」と書かれるのでそれを見るということになります。
身分証は結婚・離婚する際に必ず更新するので「知らなかった」とか、そういう言い逃れはできません。
ちなみに、遊郭の利用では不倫罪は成立しません。
ただ、遊郭の人とプライベートで会って性行為をする場合は不倫罪になります。
■マスコミ、つきまといの罪について
この国では、報道の自由というのはありません。
報道目的であっても、付きまとい行為をすることは許されていません、ストーカー禁止法に基づいて罰せられます。
なので、例えば区間移動になった人の家族にインタビューが行ったりとか、被害者の人にインタビューが行ったり、そういう行為は、報道される側が望まない限りは禁止されています。
緋月が街にいるからといって付きまとったりできないわけです。あまりに悪質な場合は2区どころではなく、3区、4区への移動もありえます。
それに、事実と異なる報道をするとすぐさま名誉棄損となり、罰せられます。なので、記者は物凄く慎重に取材行為をしているんですね。
それから、罪を犯した人の姿や名前は報道してはいけない決まりとなっています。
現代社会では「容疑者」の段階で顔も名前も公開して報道され、無罪や不起訴になると名前と顔が伏せられたりしますよね。それって変だと思うんですよ。「容疑者」っていうのは所謂、疑われている状態じゃないですか。刑が確定してから名前が出るならまだわかりますけど、散々言いたい放題報道されて「犯人じゃありませんでした」なんて、洒落にならないですよね。
だから、事件関連の報道というのは本当に慎重に行うようにというお達しが出ています。事実は事実として報道してもいいが、名前や姿は映したり報道したりできません。
例えば渉の脅迫されていた事件については「赤紙職員が青年の弱みを握って脅迫し、殺人を強要させていた」というようなふんわりした内容になっています。
処刑の発表と共に実名や顔などが報道される。
口伝いで誰が区間移動になったのが誰なのかというのはバレるでしょうが、大々的に報道するのは禁止になっているんですよ。犯罪者にも人権がありますからね。
ただ、罪を犯していくごとに人権は剥奪されていきますが。
■文明の発展度等について
何度か人類が滅びかけているので、人も動物も少ないです。諸外国は汚染されていてもう生き物が住める状況ではありません。
住める範囲でいうと日本の都道府県でいうと岩手県くらいの大きさしかありません。人口はそうですね……7万人~10万人くらいでしょうか。
緋月が容赦なく人間を間引いていくのでバランスが取れていますが、この国土でひたすら増え続ける一方だったら、輸入とかもできないですし、確実に食糧難で滅んでしまうでしょう。子供区の発表後は子供を隠す親が増え、やっと子供区が馴染んできた頃は出生率がかなり下がっていました。子供が欲しくて産んでも国に取り上げられるんですから。それに対して、緋月は子供を1人産むといくらという手当を出しました。そうすることで再び出生率は回復しました。
人が住んでいる場所は偏っていて、後は家畜の放牧地帯だったり、畑や田んぼ、ビニールハウス等です。食料が不足しないようにかなり頑張っています。
携帯は一応ありますが、スマホではなくてパカパカですし、ゲームができるわけでもなく、SNSができるわけでもなく、本当に電話とメールの機能しかついてません。
■子供区01と02について
この国では、子供の教育に差が生まれないように、18歳までは子供区で生活します。子供ができたら国に申請して、子供を国に預けるんですね。
1区以上の人は子供と暮らすこともできますが、基本的に家族と一緒に暮らしているのが主体ではなく、国が管理しているのが主体です。国が子供を管理して、平等な教育を受けさせています。子供一人ひとりに合った教育をしています。
全然しつけも教育もできない無知な親が育てるより、国が一括管理すればそういう問題もなくなるという目的もあります。
貧困層と富裕層で教育のされ方が違うのは現代では当然です。生まれてくる家や親が選べないですが、それによって残念な結果にならないような制度になります。子供の潜在能力が親によって潰されることがないようになってます。
まして、7区から10区までの人は境遇がかなり厳しいので、子供を育てることなどできません。
親から子供を取り上げる制度については、当然ですが強い反発があります。でも、子供を育てられないのに産むというのは無責任だという理念からそういった制度にしています。
産んでも結局、虐待したり、ネグレクトをしたり、子供を利用して悪いことをしたり、挙句の果てには殺してしまったり……そういう親はいくらでもいます。
特に、この国では不倫罪が刑罰としてあるので、不倫の末にできた子供をなんとかして証拠隠滅しようとする人がいます。しかし、不倫罪を隠蔽するために子供を殺した場合はかなり厳しい処遇になります。不倫罪だけなら一番軽くて2区、重くても4区です。
それに、自分の子供の病気に気づかない親もいます。
知識がなければ対応できないのは当然ですが、「対応できませんでした」で済まされない場合もあります。この国では教育のプロ中のプロが子供の教育、育児を行っています。
教育者にもバラツキがありますが、赤紙は教育者の教育を徹底しています。不適切な事象があればすぐに第三者委員会を交えて協議の上、教育者に懲罰があります。
ただし教師は子供たちにとって絶対的な存在ではありません。
子供は日焼け止めを塗ったら駄目とか、前髪は目にかかったら駄目だとか、地毛が茶色いのに黒く染めろとか、髪の毛が肩に着いたら縛らないといけないとか(体育のときに危ないから縛るとかならわかる)、衣替えで夏は長袖を着たらいけないとか、男だから髪を伸ばしたら駄目とか……出したらきりがないですが、そういった拘束(校則)はありません。
(※ここからしばらく愚痴)
私は紫外線恐怖症(主に日光)、醜形恐怖症があり、夏でもいつも長袖を着てます。長袖を着ないと外に出られません。それを無理やり半袖を着せるというのは本当に子供時代のトラウマです。
誰の迷惑にもなっていないのに、どうして長袖を着たらいけないのか理由も説明してもらえません。本当に義務教育は苦痛でしかありませんでした。なんで怒られているか全く分からないのに、一方的に「校則だから駄目だ」と言われても納得できませんでした。
ある程度は社会のルールを学ぶ為だとしても、ルールがあるのは理由があるから納得できるのであって、ただひたすら「駄目だ」と言われても納得できないのは当然です。
私が着ていた長袖は私服ではなく学校指定の長袖ですし、寒がりな人もいれば暑がりな人もいますし、日焼けが好きな人もいますし、嫌いな人もいます。
ただ私の場合は寒いとか、日焼けが嫌だとかじゃなくて、恐怖症です。
紫外線が恐ろしくてほんの数秒外に出るだけでも夏でも分厚い上着を着て手袋をして日傘をささないと外に出られないんです。
昔、『ボタン恐怖症』というものを患っている人の番組を見たことがあります。ボタンというのは服のボタンのことです。「それが怖いってどういうこと?」って思う人もいるとは思いますけど、その人は本当に怖がっているんですよ。
周りの人は理解できなくて面白がったりする人もいますが、「見るのも嫌」というほど怖がっているんです。それを無理やり「害はないから」とか「なんで?」とか、そういう理論じゃないんですよ。
大体の人ゴキブリ怖い(嫌い)だと思うんですけど「気持ち悪いから」とか「健康被害があるから」とかいろいろありますが、健康がどうのこうのよりも真っ先に「生理的に受け付けない」っていうのが多いと思うんですよね。猫はペットとして人気ですけど、猫からも感染症があったり寄生虫があったりしますけど、でも「可愛いから」って理由で皆そんなに気にしてないと思うんですよ。(私は動物は可愛いとか可愛くないとか関係なく触りません。引っ掻かれたり咬まれたりして自分が感染症になるのは嫌です)
そのボタン恐怖症の人にとっては、ボタンが生理的に受け付けないものだったんですよ。それを面白がったりするのはおかしいことなんです。ゴキブリ投げつけられて笑って許せないのと一緒です。
私にとっては紫外線(主に日光)は空からゴキブリが永遠に降り注いでるのと一緒なんですよ。部屋に光が入らないように窓に全面にアルミを貼って遮光して、それに遮光カーテンをつけて部屋を真っ暗にして、それでも光がまだ漏れるからカーテンレールの上にタオルを乗せて遮光してるんですけど、まだ漏れてるのが気になるくらい恐ろしいです。
ブラインドの開いている窓の近くに座っていられないし、日に当たれないので会社に入るときには必ずそう言っています。とはいえ、恐怖症だと言って冷やかされて物凄く嫌な思いをしたので「肌が弱くて紫外線に当たれない」という嘘を周りについています。それでも「我慢して」というような言われ方をすることはあります。
社会に出れば、理不尽があっても我慢しなければいけないこともありますが(理不尽に屈してはいけない部分もあります)、自分の中で折り合いがつくのか、会社側と折り合いがつくのか、結局自営業でもない限りは他の人が決めたルールを守るしかありません。それは仕方がないことです。なんでもかんでも自分の意見が通るわけではないですから。
自分がそれが嫌ならそれを打開するように自分が進んで行けばいいと思います。それができない内は従うしかないのかも知れません。
ただ「我慢して」というのは、身体疾患なら言わないのに、精神疾患は我慢しろというのには全く納得できません。我慢が足りないとかそういう事じゃないんですよ。美白の為とかじゃないんです。
というか、それについても疑問ですが、大人になって散々美白、シミ消し、黒子消しって大人が奮起してますけど、子供の内からケアすればいいだけの話じゃないですか。紫外線の有害性について研究がいくつもあるのに、訳が分かりません。教師は顔に化粧して腕カバーして日焼けしないようにしているのに。
私だけ特別に許可すると不公平感が出るとか、社会のルールの勉強にならないとか、そういう意見もあるかもしれませんが、そもそもその「夏場は半袖を着る」というルール自体にどれほどの意味があるんでしょうか。夏は絶対に半袖を着なければいけないという社会のルールはありません。
「授業中に静かにする」とか
「テストに向けて勉強する」とか
「時間を守る」とか
「暴力や暴言を言ったり振るったりしない」とか
「協力して1つのことを成し遂げる」とか
「個人のアイデンティティを尊重して侵害しない」とか
「嫌がっていることを強要しない」とか
そういう社会のルールは分かりますし、教えなければいけないことだと私も思います。
ただ「日焼け止めを塗ってはいけない」とか「夏は半袖にならないといけない」とか、本気でそれが「規則だから」で守らなければいけないものなんでしょうか。
自分以外の人が「長袖か」「半袖か」「七分丈か」「日焼け止めを塗ってるか否か」ということで風紀が乱れるほどの弊害はないと思います。学校で定められている服を着崩さずに来ている訳ですから。
真冬に半袖着てる人もいますし、真夏でも長袖を着ている人もいる。ただそれだけのことじゃないんでしょうか。紫外線が気になりすぎて授業どころではない人が長袖を着ることで多少落ち着いて授業ができるなら、そうすればいいじゃないですか。
それを執拗に「ルールを守れる大人にする為」という大義名分で言われても、ただただ嫌な思いをしたという記憶しか残りませんでした。その教育のありがたみを今になっても感じることなんてできません。
自分がなんとも思ってないからといって、相手がトラウマになるほど嫌がってることを強要するのは教育としても間違いだと思います。
「命は平等で大切なもの」という教育の為なら、自分の不利益になる虫や動物と同居することは仕方ないことなんでしょうか。
自分の生きる為に他の生き物を犠牲にするっていうのは当然なんです。
食べ物に対して「いただきます」って言おうが感謝されてるとかされてないとかは、殺された側は関係ないんです。殺されたくないっていうのは本能ですから、それを「感謝しなければいけない」とかってまとめることは好きじゃないです。感謝すれば許されるわけじゃないですから。
自分が豊かに生活するには自分以外の人が支えてるからです。
自分が豊かに生活している下には、人も他の動物も見えない犠牲が数えきれないほどあるんです。
感謝する気持ちとかって言うのは自己満足の領域なので、したければすればいいし、しなくてもいいと思います。命のやり取りを綺麗事で片付けられないじゃないですか。感謝する姿勢を見せられたって、私が殺されて食べられる側だったら嫌ですよ。死んだあとにその辺に捨てられようが、感謝して食べられようが分からないです。
そもそも、「いただきます」という単語をとりあえず言ってるだけなら言っても言わなくても一緒だと思います。感謝してないのに感謝してるふうを装うのは、反省してなくても謝罪するのとあんまり変わらないと思います。
(※話が逸れます)
「こんにちは」も「今日はご機嫌いかがですか?」っていう意味じゃないですか。こんにちはこんにちはって、今日はなんなんですか。
「おはようございます」って言いますけど、「お早いですね」ってことじゃないですか。早く来てない人に向かって「お早うございます」って、変だと思います。
相手との共通言語なので、不自然に思っていても角が立たないようにそう言いますけど、あんまり起源とか本当の意味とか気にしてないんだなって思います。
そうなってるからそうするとか、良く解んないけど自分もそうするみたいな。多数派同調バイアスですね。
(※話戻ります)
精神疾患だと分かりづらいのかもしれませんが、身体的疾患でいうと紫外線に極度に弱いアルビノだったら許されるのでしょうか。
身体疾患は「仕方ない」と許されて、精神疾患は「我慢が足りない」と糾弾されなければならないのでしょうか。
刑務所だって精神疾患があれば処遇困難者として特別扱いをせざるをえません。集団生活が困難なのです。それは事件を起こしてしまったときに有罪無罪を争う為に、出生から生い立ちまで洗い出して本人に専門家が向き合い、精神鑑定をしてどういう疾患があるのかというのは明確にされますし、刑務所には医師がいて不調を訴える者に診察を行い、必要なら投薬をします。
幼少期から社会人になっても「健康診断」ってありますよね。身体の健康診断はして、精神的な健康診断は無いも同然だと思います。ストレスチェックは徐々に浸透してきましたが、それはあくまでストレスチェック止まりです。最近の小学生、中学生にはストレスチェックあるんですかね。どういうことに対して生徒がどの程度ストレスを抱えているのか、定期的に知る必要があるんじゃないでしょうか。
学校はそういった専門家はいません。スクールカウンセラーはいますけど、私はほとんど取り合ってもらえませんでした。他の学校のスクールカウンセラーはキチンと向き合ってくれるんですかね。スクールカウンセラーは補助的な立場だと思うんですよね。投薬がどうとか、診断がどうとかってなると精神科医じゃないとできないわけです。
保護者の中には「精神疾患なんて放っておいて大丈夫」とか「気合いが足りない」とか「そんなわけない」とか、良く解ってない親だと、スクールカウンセラーが親に報告をしても、親で止まってしまいます。
「差別をなくそう」「皆平等」みたいな話を大体どの教師も言いますが、少数派を排除して多数派の意見を押し付けて「差」自体をなくそうとしています。
生まれた時から男女の差というのはありますし、外交的な子もいますし、内向的な子もいます。向き不向きがあります。平等な事なんて「いずれ死ぬ」ということ以外は何一つ平等なことなんてありません。
体形、顔、性別、生まれた場所、肌の色、健康の差、経済的な差、色々な「差」があります。
耳の全く聞こえない人が医師をしているという話を聞きました。昔の医師法では耳の聞こえない人には医師免許を与えないという規則がありました。
「それは偏った考え方だ」と何百万人もの署名が、集まり、改正されました。
当人は医療の現場で、口元が見えないと何を言っているのか解らず、マスクをされている状態だと会話が困難だと困っているようでした。でも、口元が見えるようなマスクを相手にしてもらったり、文字におこしてもらったりして歩み寄りながら治療を行っているようです。本人ももちろんアプリを使って会話が円滑になるようにしたり、様々な努力をして支え合って仕事に向かっているそうです。
医師法で「駄目だから」と言われて「規則だから」「ルールだから」といって従ってたらこうはならなかったでしょう。
旧優生保護法も、50年弱続いていた法律です。でも法律だから「絶対」ということはありません。「従わなければ罰を受けるから」といって理不尽を許してはならないのです。
私は当時『紫外線恐怖症』とか『強迫性障害』って自覚がありませんでした。
親も理解していませんでした(親も強迫性障害はありますが自分が正常だと思っています)。
教師も理解していませんでした。
相当嫌がっているのに「もしかしたら強迫性障害かも」なんて少したりとも考えようともしませんでした。第一に校則が正義です。校則に抵抗する子供は不良品として扱われてレッテルを貼られるだけです。子供に向き合うのではなくて、ただ「どうして守れないのか」「自分勝手だ」「駄目だ」と言われるだけです。
まだ私が中学生のときはインターネットに触れられない状態でした。自分がどういう状態なのか知る術なんて親か教師か友人かしかありませんが、その誰も気づかないならずっとそのままになってしまいます。
「駄目だ」と否定され続け、症状を必死に抑えて隠すようになり、それが更に悪循環に陥ります。
一度大問題を起こして私は精神科に行きましたが、私は自分の症状を上手く説明できませんでした。親もどういう疾患なのか、可能性があるのか説明できません。そうすると医師には正確に症状が伝わらず、結局何の解決にもなりませんでした。
私は「薬で考えが変わるわけがない」と飲むのを勝手にやめて、薬をため込むようになりました。
大人になってから調べて分かりましたが、治療に使われていた薬は私の症状に適応のある薬ではなかったものの、勝手に薬をやめるのは一番やってはいけないことです。今ならそれはわかりますが、子供の私にはわかるわけがありません。
結局血液検査で薬を飲んでいないのが医師にバレてしまい、怒られます。教師から理不尽に怒られてトラウマを抱えていた私は、とにかく怒られるという行為に恐怖を感じて「もう来ません」と、通院をやめることになりました。
どんな病気でもありがちな話ですが、本人の意思で通院をやめるということはしてはいけません。親はそれを分かっていなければなりません。勝手に通院をやめると症状が悪化することもあります。というか、大体の場合悪化するでしょう。
人のせいにするつもりはありませんが、大人になってから自分で色々勉強して知って「あの時、症状について正確に説明できれば診断書をもらって学校側に証明できたら、あんなに嫌な思いをしなくて済んだのかもしれない」
と思うようになりました。本当に嫌な思いをしました。生きているのを苦痛に思うくらい周りの大人に絶望しました。
自分が無知だったことが悪かったのでしょうか?
私は、子供の周りの大人が知っているべきだと思います。
子供というのは善悪の判断が未熟だからという理由で少年法と言うのがありますよね。子供の不手際は親の不手際なんですよ。
精神疾患も同じです。大人だって自分のこと正常だって思ってることがあるんですから、子供には判断できないんですよ。まして自分がとらわれ行動をして半ば混乱しているのに、正確に判断できるわけないんです。まして、それを正確に自分で医師に伝えることもできません。医者だって超能力者じゃないんですから、正確な診断がいつもできるわけじゃないです。
子供が「これは強迫性障害だから」なんて、周りが知らなくてなんのきっかけもないのに、その情報を仕入れるのは無理です。だから大人が知ってるべきだと思います。
何かしらの精神疾患を発症した人の周りの人がきちんと理解していないと、本人も苦しみますし、周りの人も苦しみます。
給食も無理やり食べさせられたりしたことが本当に嫌でした。口に合わないと吐き戻してしまうので、無理やり食べさせるのは本当にやめてほしかったです。
幼稚園の頃から保育士に無理やり食べさせられて、口に入れて食べたと思わせてお手洗いで吐く、食べたと見せかけて上手く散すということを幼いながらに学習してしていました。食べられないのに無理やり食べさせるより、食べられる人が食べた方がいいです。食べ物の無駄です。
好き嫌いをなくしたいっていう思想なんでしょうけれど、「食べたくても食べられない人もいる」とか「病気になるよ」とか、どんな大義名分を振り翳されても無理なものは無理です。そもそも他人の好き嫌いにどうして干渉してくるんでしょうか。
ここぞとばかりに引き合いに出されますが「食べたくても食べられない人の為にあなたは何か具体的な支援をしているんですか?」と思います。そう言うくらいなら、廃棄処分される食べ物を自分で買い取ってなんとかして食べ物に困っている人に届けてあげた方が建設的でいいんじゃないでしょうか。それを強要の口実にするのは失礼だと思います。嫌がりながら無理に食べるという行為によって、食べたくても食べられない人たちはどのように救われるのでしょうか。
食品ロスはもったいないですけど、最初から「いらない」と拒否できれば他の人が食べたりできますよね。
病気になる云々は本人の自由です。それで生活習慣病になろうが、他人様にどうのこうの言われる筋合いはないと思います。正常な判断ができる大人なら、本人の責任です。
私は小さい頃から偏食で今もそうですが、背は伸びましたし、特に内臓疾患ありません。痩せてますし、別段肌荒れにも困ってません。骨折したこともありません。至って健康で日常生活に何の支障もなく、それに長生きするつもりはありません。
「好き嫌いしてると大きくなれないよ!」は真っ赤な嘘です。大きくなる(身長が伸びる)かどうかは遺伝だと思います。
元々食事に関心がないです。食事が楽しい人もいるでしょうけど、私は食事が楽しいという感覚はありません。誘われたくないですし、自分から「食事に行こう」という話は絶対にしません。
人が食べてる姿をあまり見たくないので、向かい合って座るのも苦手です。
「食事が楽しくないというのは人生を半分損している!」とか言う人もいますが、損得というのは個人の裁量なので人様が関与することではないと思います。
もう、とにかく放っておいてほしいです。
「偏食の人と付き合うのが苦痛」という意見については「こちらも苦痛」としか言えません。
自分に合わせてもらうのも嫌ですし、自分が相手に合わせるのも嫌ですし、勝手にしましょう。偏食、悪食、大食い、なんでもあれ。
小学生のときに担任に理不尽な理由で何度も怒られた記憶しかありません。
図書室で借りた本の数がクラスで一番少なかったからとか、ドッジボールでボールが取れなかったからとか……今思い出しても、何も言い返せずにただ頭ごなしに上から怒られたことに憤りと悔しさを感じます。私に何か落ち度があったならまだしも、そんなことでクラス全体の前で晒上げられるように怒られる筋合いはなかったと思います。
本当に学校に行くのが苦痛で、毎日「行きたくない」と言っていました。行きたくないと言っても、親は学校に送り出します。結局学校に行くしかありません。行くしかないんですが、何かと理由をつけて(主に仮病)で保健室に逃げ込み、そのまま早退することが多かったです。
この国ではそういうことはないように徹底的に管理されています。
私は子供時代のことは殆ど嫌なことしか覚えてません。嫌なことというのは記憶に残りやすいです。
小学校の卒業文集で「嫌な事しかない6年間だった」という内容で提出したら「これじゃ文集に乗せられない」と言われて書き直させられました。
本当に学校に行くのは苦痛でしかありませんでした。それが事実です。事実を伏せて「楽しかった」ということを無理やり書かせるっていうのは正しいんでしょうか。
(※愚痴終了)
この国ではそういうことはありません。理由のないことを強制はしませんし、国で管理しているのでバラツキはないです。
化粧も自由。私はあまり化粧をする方ではありませんが、化粧をして顔のコンプレックスを隠したい人は沢山いると思うんですよ。子供の時に「ブス!」とか言われて、それが心の傷になることもありますし。
この国ではそういうことを教師も理解して、教育に当たっています。
大枠のルールや規則は決まっていますが、子供たちと一緒に規律は考えていくようになっていて、ただひたすら「駄目だから!」と押し付ける教育ではありません。何がどういう経緯で駄目なのか、理解しながら成長していけるようにカリキュラムが設定されています。
赤紙にも「これはおかしい」という声を上げて、法改正には積極的に取り組んでいます。ただ、それは緋月が認めたものだけなので、あくまで緋月の大枠の意思に反しないものだけ採用しています。
はい。民主主義ではなくて、あくまで独裁なので。
性同一性障害なら、無理に女の恰好をさせたり男の恰好をさせたりもないです。ただ、人というものはどうしても自分とは異なるものを排除したがります。
渉も自分の性に悩んでいたところをつけこまれて脅されていました。そういう事はあってはならないことだと思います。自分が多数派だからと言って少数派を攻撃していい理由にはなりません。
自分の感想として思想の自由はあるので、価値観が違う相手を「気持ち悪い」と思うのは自由ですが、それを口に出して傷つけて良いわけではありません。
ヘテロセクシャルでも、ホモセクシャルでも、バイセクシャルでも差別されないのが当たり前の国を目指して、日々赤紙は努力をしています。
先陣を切っているのは優輝、蓮一、琉依、渉。徐々に改善はしていってますが、完全になくすにはまだまだ時間がかかるでしょう。
子供区がわかれているのは、優生思想的な理由があります。
親が凶悪犯罪者だろうと子供に罪はありませんが、気性が荒く、問題行動が多い子供は特別に隔離したり、個別対応するなどして、イジメなどが起こらないように厳重管理してます。
ゲノムに関する科学雑誌を読んでいた時に、先天的にあるホルモンが作られない疾患がある人の家系は気性が荒く、家系図全体で見た時に犯罪率が多かったという話が取り上げられていました。
教育のせいなのか、遺伝子のせいなのか、科学者ではないのでわかりませんが人それぞれ個体差があるのはなんとなくわかります。ただ、精神科にかかると「家族に精神病の人はいますか」と聞かれることもあります。やっぱり遺伝するんだろうなーって思います。
あと、妊娠中の母親が過度のストレスにさらされたりなどして、胎児にアンドロゲン(男性ホルモン)に晒されると、女児であっても男児が好むような遊びや玩具を好むようになり、粗暴な性格になるという研究もあるそうです(大学の講義で聞いただけなので、真偽は不明)。
そういったことも考慮して、子供区は01と02に分かれています。
(※ここから少し世界観の話)
この世界の過去ではゲノム編集が活発に行われたことがあります。しかし、技術として未熟で弊害が出始めました。水鳥麗の一件から焦って始まったので、まだ技術的に早かったわけです。
水鳥麗の一件で、精神疾患者についての考え方が大きく変わることになりました。「精神疾患者を更に弾圧しようとする派閥」「精神疾患者を積極的に保護する派閥」「そもそも精神疾患者を生まれないようにする派閥」の3つがありました。
当時は生まれなくする派閥が実権を握ってゲノム編集が活発になりましたが、手に負えなくなって保護する派閥と弾圧する派閥がかなり争うことになりました。
ただ、その争いも、世界中に致死性の高いウイルスが蔓延して人口が激減し、争っている場合ではなくなりました。
各国は輸入輸出などもとりやめにして鎖国。深刻な物資不足で飢饉が訪れます。
世界的には、現代世界の地球よりも陸が少ないです。過去に別の対戦があって海に沈みました。それでも、残された地に人は住み、住める場所を拡充していきました。まだ歴史も浅いので、当時の諸外国の言葉の壁とかはないです。
現代社会では鎖国なんて簡単にはしないですけど、この世界では鎖国します。今(2021年)新型コロナウイルスで外国人観光客などの規制をしていますが、この世界は新型コロナ以上の脅威がありました。
感染力、致死率が高く、抑え込みができませんでした。人権を無視するような隔離行為を政府がするわけにはいかなかったのもあります。現実世界の日本は民主主義ですし。
でも、もう民主主義がどうのこうのとか言っている場合ではなくなり、強制検査、強制隔離、治療の強制を行ってやっと収まりました。
……という矢先にアダムの同族が発見されて、人類対悪魔の戦いが始まって、各国が善武力を持ってやっと悪魔たちを駆逐しましたが、人類が住んでいた地域は戦いによって汚染されて住めない地になってしまいました。
人類もあと一握りというところまできて、過去の色々な爪痕が残る中、人類の絶滅を回避するべく非情と言える子供区政策を実施したのです。
(※世界観の説明終わり)
緋月が設立した当初は光のように子供を隠す親が沢山いましたが、緋月は申告しない親を全員2区に移動させました。
子供区の設立には相当に反発がありましたが、緋月は強行突破で決行し、今に至ります。
それによって虐待や教育の偏りはなくなり、結果としてこの話のケースでは前よりは良くなっていきました。
(親から引き離して愛情を与えずに育てると、長生きせずに成人する前に死亡するという話を聞いたことがありますが……あれは本当なんでしょうか?)
子供区01よりも、子供区02の方が子供が多いです。
3区以下の人は娯楽が少ないこともその一因となっています。下位の区になればなるほど、食べる、寝る、性行為くらいしかすることがないのです。
子供は生まれても国が保護しているので、養育費というものがかかりません。なので子供が生まれたことによる手当を狙って子供を出産し続ける人もいます。
純粋に子供がほしいから、親になりたいから子供を作るという人ももちろんいますが、そういう人も中にはいます。
現代社会では、会社に仕事はしないけど出産・育児休暇での手当だけもらうために何人も生んで休み続ける人いますよね。それと似ています。
なるべく子供に寄り添って国は子供を育てますが、子供区からの逃走者は毎年何人かいます。雪尋もそうですね。
「親と暮らしたい」「こんな場所嫌だ」等、理由は様々ありますが逃げ出して戻らない子供については、無理に連れ戻すということはありません。ただ、逃げ出した子供が何か不祥事を起こした際は容赦なく連れ戻され、隔離されます。
それでもその中を逃げ出した子供は、確固たる意志があって逃げ出すわけですから、赤紙としては深追いはしないわけです。
逃げ出した子供は1区に登録されている人と違って定期的にお金や物資をもらえるわけではないので、食事に困ることになることが殆どです。親が1区に住んでいれば家に入れてもらえるかもしれませんが、その場合は親が国に申告しなければなりません。この国では親族であっても隠せば蔵匿罪に問われます。申告すれば連れ戻されないけれど、どこにいるのかは常に把握され続けます。
もし食うに困る状況がずっと続くようなら、18歳を過ぎても子供区に戻ることは出来ます。そして逃げ出した歳から本来18歳になるはずだった年数分子供区で勉強し続けることで、正式に子供区を出ることができ、1区の住人として登録されます。
子供区に入らなくてもいい特別措置というのがあり、それは優良市民にしか与えられない権利です。
9区代表の妃澄は金色区近くの1区に住んでいましたが、身内も犯罪に程遠く、人様にも迷惑をかけず、真っ当に子供を育てていけると判断され、子供区から出るに相応の理由があり、より多くの税金を国に納めることによってようやく手にすることのできる権利です。
養育環境も精査されます。防音環境はあるかとか、教育の行き届く環境があるかとか、とにかく審査は厳しいですが子供区を出て生活することもできます。
そうして出られるのは本当に1%くらいです。
自分が子供のころに物凄く嫌な思いをしてきたので、一人ひとりに合った教育をしてもらえることに対して物凄く羨ましく思います。
1区は働かなくても生活ができるので、働きたくない人は働かなくてもいいですし、働きたい人は働いてもいいので、善良な人なら働かなくても生きていける国……いいですね。
《登場人物について》
各キャラについて、色々思い入れがあるので話したいと思います。
■智春について
気が弱く、染まりやすい語り部の主人公。
智春は悪魔細胞の完全適合者という以外は特に取柄のない真面目な青年です。
他の区代表の人が多才な故に、自分が何も取柄がないことに劣等感を抱いていました。
不老不死というものの恐ろしさを十分に理解する前に適合してしまったため、これから長い間智春は苦しむことになると思います。
世の中は不老不死に憧れる風潮がありますが、死にたくても死ねずに、自分の周りの大切な人が先に全員死んでいくことはつらいと思います。シャーロットや緋月は実際そのことにかなり心を痛めてました。
結婚したとしても、伴侶がどんどん歳を取っていくのに、自分は青年の姿のままというのは違和感を感じるでしょう。
それでも彼は、ほとんど滅びてしまった人類の再建を目指して努力していくと思います。
しかし……もし、自分以外のすべてが滅んでしまっても生き続けるのは本当に絶望ですよね。
この国の外の世界は悪魔たちとの戦争で汚染されて住めない環境になってしまっています。それほど大きくないこの国で、人類が途絶えないようにするのは物凄く気を使います。
それをうまくやっていけるのか?
できなければ眠り続けるアダムと、メフィスト、智春だけの世界になってしまいます。
■緋月について
暴君、独裁者です。
この国では緋月を止められる程の武力は持ってません。悪魔細胞を神経毒で動きを鈍らせることはできても、殺すに至るかどうかは非検証です。
悪魔細胞の適合者を殺す為には、愛する者の手でしか成しえません。緋月は自分の顔に傷がついたときから、その疑念を持ち続けていました。
茜を生き返らせようとしたのは、自分が死にたいという願望もあったからです。一緒に生きて幸せになっていきたいという気持ちもありますが、生き返らせても茜の方が先に寿命で死んでしまいます。
なら、一緒に最期を迎えたいという気持ちを強く持つようになりました。
ただ、緋月は水鳥麗を生き返らせた際に記憶をなくしていたことで、生き返らせることをかなり躊躇うようになりました。
「自分のことを覚えていなかったらどうしよう」
「性格が大きく変わり、別人のようになってしまったらどうしよう」
「自分以外の人の元へ行ってしまったらどうしよう」
と、かなり頭を悩ませていました。
戦いが終わった後に、どんな結果になろうと生き返らせようと考えていましたが、光が致命傷を負った瞬間に緋月の覚悟は完全に決まりました。自分も致命傷を負っていたのもあり、自分は茜と生きる未来を捨て、光に自分の人生を全部差し出しました。
茜の為だけに研究や仕事をずっとこなしてきましたが、いつの間にか自分の周りには沢山の大切な人ができて、緋月の抱えていた孤独は昇華されていました。
特に光に対しては茜を重ねている部分もあり、他の人よりも特別な感情を持っていました。
最期、緋月は幸せな気持ちで逝けたと思います。
ただ、緋月のせいで人生が狂った人は数知れずいます。『死神』などと呼ばれ、恐れられているのはダテではなく、排除することもできない暴君なわけです。
同じ区で生活している家族が犯罪行為を行った際に、容赦なく区間移動されて、下手をしたらもう二度と一緒に住むことすらできなくなるわけです。本人の更生度合によって上の区に戻ることはできますが、1区には戻れなかったりします。
面会に行けば合うことは出来ますが、現代社会の刑務所と同様、月の面会回数も決まっていますし、時間も決まっています。
家族を永遠に引き裂かれるという無情な処遇に怒り心頭になる人も当然いました。そういう人が集まって緋月を降ろそうと考えているのが黒旗ですね。
しかし、その黒旗ですら緋月が利用していた訳ですから、本当に黒旗の人たちは救われません。
緋月は人類を取るか、大切な人(恋人)を取るかという選択を迫られて、本当は両方取りたいけど、本心としては茜を取りたいっていう気持ちの方が強いんですよね。
茜がいなくなった世界というのは緋月にとって今まで生きてきた意味を見出せないんですよ。茜が生き返った時に、生きやすい国、2人で幸せになるために国を良くしようっていう一貫した思いがありますから。
世界か、恋人かっていう選択ってベタですよね。でも実際、大切な人が1人助かるか、その他全員が助かるかっていう選択を迫られたときに、自分の大切な人を差し出してまで生かす価値をそれ以外に見いだせないと、大切な人を選ぶと思うんです。特に恋って基本的に盲目ですしね。他から見てそれほどの価値がないように見えても、その人にとってはかけがえのない人なんですよ。
恋人じゃなくても、例えば自分の親とか。親は絶対代わりいないじゃないですか。育ての親でもいいですけど、その人にとってはかけがえのない存在なんですよね。
「恋人は替えがいるじゃん」っていう意見もあると思いますし、私もそう思う節はありますけど、大切な想いが強いときに亡くなってますから、その人の中では永遠に大切な人なんですよね。それに、緋月にとっては茜は小さい頃から一緒に育った兄弟みたいな感覚もありますし、まして緋月は「気持ち悪い」「バケモノ」って虐げられてきましたし、現代でもそう言われますから、虐げてくる人たちと茜だったらやっぱり茜をとりたいって思うんですよ。
緋月は他に大切な人たちは沢山いますけど(光とか)、茜だけは本当に特別な存在なんです。固執してるというか、固執せざるを得なくなっているというか、愛情なのか狂気なのか、もはや区別はできなくなってます。
だから、緋月は誰とも身体の関係を持ったことはありません。処女です。なので葉太に強引に迫られてビックリしてます。
緋月がいなくなり、イヴもいなくなった国で、これからもっと罪人に寄り添っていける国になっていくといいですね。
■アダムについて
5歳児程度の知能を持っていますが、難しいことは分かりません。
自我を持って生まれたときにはずっと閉じ込められていました。
緋月がイヴを殺す為に開放したとき、いわゆる緋月について行くのが普通に感じていました。ヒナが生まれて初めて見た者を親と思うような感覚に近いです(親とは思ってないですけど)。
どんなに虐げられても緋月について回っていましたが、緋月は初期の頃は自分の大切な人を全部奪っていった「悪魔」という存在に烈火の如く怒り狂ってましたから、本当に虐げられていました。特にそれについてアダムは傷ついたりはしません。緋月が怒っていることすら、当時のアダムは分かっていませんでした。
緋月の血の裁量を少し取り込んで、5歳児程度の知能がつきました。
知性が少し芽生えたところで、緋月はアダムに対して「食事」と「同化」は別の物だと何度も強く言いつけます。「食事」はしてもいいが「同化」はしたらいけないと念押しで何度も言いました。「同化」をしていくと、瞬く間に知能がつき、イヴのように悪い方向に行ってしまうと考えたからです。
善悪の判断ができないアダムに、緋月は熱心に教育をしました。善悪の判断ができてきた後も、緋月はアダムに同化は許しませんでした。
アダムは基本的に緋月の命令以外のことはしませんし、自分で物事を考えて行うということは殆どありません。ですが、茜の身体ごとイヴを食べた時、茜の身体の部分だけは「同化」をアダムの意志で行いました。
アダムが死んでしまった緋月の側から離れなかったのは、茜の気持ちを知ったアダムの戸惑いと悲しみがあったからかもしれません。
緋月の「死」を受け入れられなかったのは、今まで知らなかった「悲しい」という感情を理解してなかったというのもあると思います。
アダムは緋月、茜、シャーロット、ノエル、その伴侶、ラファエルの皆を取り込むことで、莫大な記憶と情報を得ました。所謂、頭をフル回転させなければならなくなりました。脳細胞というのは物凄くエネルギーを消費します。
そんな莫大なエネルギーを必要とするようになってしまったアダムは、重複する思考で頭の中で処理がし切れなくなりつつありました。色々な人の価値観や記憶、知識を同化することで突然手に入れたので仕方ありません。
そしてアダムは急激な眠気を感じるようになりました。抵抗できないほどの眠気に、アダムは永い眠りにつくことを考えます。眠ることで急激に同化した全員の情報をゆっくりと統合していく目的もありましたが、何よりももう二度と自分が利用されて緋月と茜のような悲劇を繰り返さないということが重要でした。
まして、色々なことが分かりすぎてしまうためにつらいということもあり、アダムは長い間の眠りを願い、意図的に目覚めないという選択をしました。
もちろん、何か重大な出来事が起こった際は目覚めるでしょう。
それがいつになるのかは、まだわかりません。
■渉について
緋月はずっと側近は雇おうとしなかった中、やっとのことで自分の方向性を変えて「側近を雇いたい」と思っていた矢先に渉の事件があっただけなので、緋月が渉を雇ったのはただの偶然です。
緋月のきまぐれがなければ、順当に行くなら渉は脅されて利用されているとはいえ殺人を犯している訳ですから、7区以下の区に行くのが妥当なんですよ。
それを緋月がいきなり「この子助手にするから」と勝手に赤紙に入れてしまったので、赤紙の区代表たちは怒り心頭です。
いくら渉が元々優秀な人材だからと言って、正式な手続きもなくいきなり側近として入れてしまったので、入った当初は当然ですが他の赤紙の職員たちからは白い目で見られていました。
特に、緋月の側近になりたい人は腐るほどいるわけですから、不平不満があるのは当然です。
しかし、渉は自分の人生を救ってくれた緋月の為に一生懸命働きます。周りの人のやっかみにも負けずに本当に、努力は惜しまず、懸命に緋月の側近を勤め上げ、徐々に周りの人に認められて行きます。
本人は性同一性障害に悩んでいますが、緋月の側近として周りの目を気にしているのもありますし、渉本人は女性の恰好をすることに対して強い抵抗感を感じています。それをネタに脅されてたのもあって余計ですね。
区代表の蓮一と友達になった後は、徐々に女性の恰好をしてもいいのかもしれないという考えに向かって行きますが、馬鹿にされたり蔑まれることがやはり恐ろしくてなかなか女性の恰好はできませんでした。
仕事熱心な渉は色っぽいことは何もなく、仕事一本でずっと努力していました。その姿に、第三者委員会の御剣は見惚れ、連絡先を交換したりしています。
ただ、渉はとにかく自分に自信がないので、御剣のことは塩対応でした。
「きっと冷やかしだ」くらいの扱いで、放っておいたのですが、御剣は渉のことを熱心に口説こうとします。
それでも、葉太のような軽薄なものとして回避していたのですが、どうやら御剣の気持ちは本物だと渉は気づきます。しかし、渉は人間不信な面もあるので容易には御剣を信用することは出来ません。
まして、自分に酷く自信がない渉は、何度も何度も御剣の申し出を断っています。
そしてやっと渉は御剣の熱意を受け取り、結婚することとなりました。
緋月がいなくなって少しの期間はかなり生活も荒れていましたが、そんな渉を支え居たのは御剣です。御剣は第三者委員会なので渉の仕事を直接手伝うことは出来ませんが、他の生活面ではかなり御剣を心の支えにしていました。
今後は2人で孤児などを引き取って育てていくことでしょう。
■光について
小さい頃はとにかく酷い虐待を受け続けて育ってきました。
殴られる、蹴られるのは普通。食事もろくに与えてもらえない、とにかく国に子供が見つからないように閉じ込められる……泣くことすら許されない。
光の父親が不特定多数の女性との性行為の結果としてできた子供なので、父親は何人もいる女の誰の子なのか分からなくなっています。母親の方も光が生まれた直後に失踪したのでもう誰なのか光には分かりません。気づいたら父親の家の中にいて虐待を何度も受けていたという状態でした。
入れ替わり立ち代わり来る女性に性的虐待を受けることも何度もありました。
光の父親は違法薬物を作成している者から販売を任されています。だから光の家には違法薬物がとにかくたくさんありした。幸いなのは、光がそれを摂取しなかったこと、光の父親が光に違法薬物を試したりしなかったことです。
父親がその仕事を始めたのは、緋月に取り締まられるほんの数か月前のことです。小さい頃からそれをしていたら、光も薬漬けにされていたかもしれません。
光を保護した直後、光は衣食住の世話をしてくれる緋月に少しずつ心を開いていきます。ただ、光は緋月が怒らないことをいいことにどんどん我儘になっていきます。そして渉と何度も何度も衝突し、その度に緋月は渉と光の間に入り、仲裁をしながら光にまともな教育を施そうとしました。
緋月は光に常識などを教える為に教師を雇ったりしましたが、光はいずれの教師ともまともに取り合わず、追い返してしまいます。医師との面談も行いましたが光は出会う人ほぼ全員に敵意を向け、まともな話し合いができない状態が続きました。
その件に関して相当緋月は頭を悩ませましたが、結局緋月本人が教育をすることになりました。
光は最初は勉強することに対してかなり消極的でしたが、緋月と会話をしていて相手の言っていることが分からないということに羞恥心がありました。
表向きは嫌がっているように見せましたが、意外と字が読めるようになったり、算数ができるようになったり、化学の実験をしたりするのは楽しかったようです。
とはいえ、ある程度の知識がつくと光は率先して勉強をしなくなり、ジムにばかり通っています。光は緋月が現場の仕事に行くときについて行く程度で、書類整理もしませんし、報告書も書けません。要は現場の荒っぽいこと担当なわけです。
とはいえ、緋月は1人でいれば荒っぽいことはほとんどアシストはいらないので、これは光の為の社会経験として連れていっていただけでした。
光が突然赤紙の緋月の側近として現れ、この国の誰もが思ったことがあります。
「緋月の恋人なのではないか」ということです。
渉のときも同じような噂は経ちましたが、渉は仕事もできて、常に礼儀正しく、緋月に対して敬意を払い、一定の距離を保って接していたのですぐにその噂は消えました。
しかし、光の場合はそうではありません。
仕事については内密な話なので公表されておりませんが、礼儀作法もまったくできず、緋月に対して横暴な態度をし、緋月との距離感も近いとなれば、緋月が囲い込んだ男だということは誰もが思いました。
これに対して緋月は「恋人ではない」と明言しています。ただ、光に色々な経験をしてほしいという思いから、ケーキ屋をはじめとして、一緒に色々な場所に行っています。一般人からは「デートをしている」という目は消えません。
しかし、それについて緋月は周りの冷やかしについては気にしていません。緋月は周りの目というのは気にしていないんですよ。光と恋人の疑惑が浮上しても「事実じゃないんだからどうでもいい」と思ってるんです。
それで、緋月が亡くなって恋人がいなくなったと思った(ちょっと不謹慎な)女性たちが光さんに沢山アプローチをかけてきたわけですね。
光は緋月が死んでしまった原因が自分にあると強く思い込んでいましたが、メフィストによるカウンセリングを何度も受けるうちに、その考えから解放されていきます。
光が助けに入らなかったら緋月はあの場で死んでいた訳ですから、助けに入った光の選択は間違いというほどではなかったんですよ。しかし、光は今でも「自分が油断しなければ緋月と今でも一緒にいられたのに」という考えが頭にあります。
緋月が幼少期からの性的虐待や、暴力によるトラウマの治療を行っていましたが、それを他の医師が代わることはありませんでした。光は自分自身で何とかしようと考えました。
結果として乱暴な方法ですが、とりあえず、光は嫌がりながらも女性と関係を持とうとします。しかし、好きでもない女性に身体を触れられると幼少期の嫌な思い出がフラッシュバックし、嫌悪感から吐いてしまいます。それで何人も何人も女性を怒らせてしまっています。
女性の扱いはとにかく雑。緋月は心が広く、光に多くを求めていなかったのでうまく関係を築いていけていましたが、光に多くを求める女性とは誰ともまともな付き合いができません。
光は「求められる」ことが大の苦手です。「もっと連絡してほしい」「デートに行きたい」「他の女と会わないで」等々……かといってそう言ってこない女性とは簡単に消滅してしまいますし、めちゃくちゃです。
それでも、その荒療治は少しずつ功をなして、徐々に女性に対して馴染んでいきます。しかし、緋月以外の女性に対してはやはり好意を持つことはないようです。それに、相変わらず性的な行為に関してはかなり後ろ向きです。
緋月の一周忌にわたると大喧嘩をして以来、仕事を真面目に行うようになり、女性関係も落ち着いた様子。
緋月が願っていたように、光には幼少期の闇を克服して幸せになってほしいですね。
■水鳥麗について
人物としては『ウロボロスの指切り』の主人公だった人ですね。
ただ、ミイラとして保管されていた彼女が半ば無理やり生き返らせられたことで、記憶が失われて感情が平坦化し、冷たい人間になってしまいました。
この世界線の水鳥は死刑判決の出た木村冬眞を強奪し、世界を震撼させる殺人鬼になってしまいました。それがちょっとしたカルトに発展し、それを元に黒旗という組織が発足。
水鳥は自分が失っている記憶を取り戻そうと、生前に木村と撮った動画を見たり、黒の教典を読んだりしますが、思い出すことはありませんでした。
何故木村と撮った動画が今残っているのかと言うと、生前に撮影した動画を現代で言うところの動画サイトに載せて公開していたからです。
そこで「冬眞に対して死刑は重すぎる」と主張を繰り返ししたり、何気ない2人の日常を動画にしていました。それは木村が無罪になったときに自分との思い出を残す為でした。200人以上を殺している水鳥は死刑確定ですが、木村には妄想型統合失調症で無罪になる余地があったからです。
しかし、逃亡生活が長引くにつれてそれは現実的ではないと考えた水鳥は、血眼でどうにかならないか調べました。そこでシャーロットのことを知り、藁にも縋る想いで彼女の元へ赴き、木村の統合失調症を治してくれるよう頼みました。
世間を騒がせている脱走者だとシャーロットは知っていたので、水鳥と木村を説得します。しかし、水鳥は土下座して頼みこみます。
結果としてはそれをシャーロットは承諾。木村の妄想型統合失調症は治癒魔術で治りました。
「自首をするように」とシャーロットから言われます。水鳥はこの頃、木村の死刑が無罪になるなら自首しようと考えていた為、その旨話したところ、シャーロットは了承しました。
しかし、いつになっても木村の死刑判決が覆ることはありませんでした。水鳥の心には木村を許さない社会を許さないという憎しみが強く芽生え始めます。
そして、ある日水鳥が木村のお手洗い待ちで外で待っていたところ、軽薄な男に絡まれます。断っても断っても迫ってくる軽薄な男に、水鳥の中でギリギリもっていた理性の糸は切れてしまいます。
「どうして冬眞は無罪にならないのに、冬眞は死刑判決を受けるような子じゃないのに、こんな男は野放しになっているの?」
その強い思いが引き金になってしまい、水鳥はその男を殺すことにしました。
木村は当然反対しましたし、止めようとしました。
統合失調症の治った木村は、今の2人の幸せな一時を大切にしようと提案しましたが、水鳥は腸が煮えくり返っていた為にそれを拒絶。
それからほぼ毎日水鳥は悪事を働いている者の前に現れては手にかけていきます。変装をしたり、被害者を油断させるように演技をしたり、とにかくあの手この手で警察の手を逃れました。
社会悪を排除する目的と、とにかく自分の声が通るように重大犯罪を起こそうと心に決めていました。
結局、一番声の通りがいいのは重大犯罪を起こした歴史に名前が残るような犯罪者だと水鳥は考えました。ちまちまと一般人が声をあげていても、誰の耳にも届きません。しかし、重大犯罪を犯した犯罪者というのは、自分の人生を代償に想いを届けることができると思っていた水鳥は、何百人も殺す計画を立て、そして実行に移してしまいました。
それももちろんありますが、木村を殺したと見せかけて逃がすという計画を考えていました。たくさん殺せば殺すほど、木村を殺したことへの真偽のほどが曖昧になって行きます。実際に殺した相手を海に沈め、行方不明にするということも行っていました。
死体が出てこない死者の一人として木村を認識させ、逃がす作戦もありました。
木村の日記にも出てきたように、水鳥は木村のことになると我を忘れてしまう傾向があり、無我夢中で悪人を手にかけ続けました。
そして、木村に自立した生活ができるように指導をし続け、やっと準備が終わったころに水鳥は注射器で木村の血液を採取し、ナイフや手、服にもべったりとつけました。そして一度洗い流し、証拠を捏造。
別れたくなかった2人は泣きながらも別れました。
そして、水鳥は死刑判決後に『ウロボロスの指切り』を書き、出版社を通して出版しました。そう、『ウロボロスの指切り』の著者は水鳥麗本人です。
こうなっていればよかったのになという願望を小説にして出版しましたが、それが色々な意味で大反響を与え、その印税で拘置所の中ではそこそこいい暮らしができていたようです。
何よりそのお金を、母向けに送り、そのお金が木村に渡るようにしていました。
事件も落ち着いてきた頃、木村は名前を変えて知らない地で細々と働き始めます。人と関わらなくて済むような清掃の仕事などが多かったようです。
給料はそれほど多くありませんが、水鳥の本の印税が入ってくるのでそれほど生活は苦しくありませんでした。
面会に来るな、手紙を出すなときつく言っていた水鳥でしたが、毎日毎日木村のことが気がかりでした。
もう二度と会うことがないと思っていた木村が面会に来た時には本当に嬉しく思ったことでしょう。
一瞬の幸せを感じながら、水鳥は永遠に別れ、拘置所ではほぼ廃人のようになっていました。毎日毎日、絵を描いたり、本を読んだり、何もせず1日中眠っていたり、そんな毎日でした。
死刑囚は外部との接触が極端に制限されるので、目新しい情報も入ってこない中、日々は悪戯に過ぎていきます。ただ、水鳥は早く死刑にしてもらえるように弁護士に申請を出し続けていました。
自分が死ぬことですべてのことを精算できると考えていたからです。
そうした日々がずっと続いて行って、やっと水鳥の元へ死刑執行の日が訪れ、水鳥は心の底から笑顔になりました。
ずっと持ち続けてきた希死念慮を叶えることができる瞬間であったし、これで自分の口から木村のことが漏れることは二度となくなるからです。
生き返ってからの水鳥は強い希死念慮のせいで、何度も何度も自殺未遂をします。悪魔細胞と中途半端に適合している水鳥はそう容易に死ぬことはなく、何度も何度も生き返っています。
それに対してかなり苛立ちを募らせています。
とにかく何事にもやる気が出ず、1日のほとんどをベッドで過ごしていて、食事が運ばれてきて、それを食べるにしてもかなり消極的。
緋月とシャーロットには何度も何度も衝突しますが、少しずつ諦めも混じって打ち解けていきます。その中、アダムだけは水鳥にとって癒しであり、アダムはよく水鳥の部屋に訪問して遊んであげていました。
これは持論ですが『ペット』というものは賢いと務まらないものだと思うんですよ。犬や猫が自分以上に賢くて、流暢な話し方で「君の言っていることは何の根拠もない不合理なことだ」なんて言ってきたらどうですか? 可愛がれますか?
多少の知性はあれど、人間以上に賢くないから『ペット』という概念が成立するのです。だから、アダムはそれなりに知能はあっても人間で言うと5才程度だったので水鳥はアダムを可愛がれていたんです。
だから、アダムが緋月のように賢くなってしまった後、物凄くショックを受けました。
結婚式が終わった後に、水鳥はアダムと融合しようと考えていましたが、木村の日記に書いてあった「生きていてほしい」という言葉で、水鳥は心を揺さぶられます。
ずっと死ぬことばかり考えていた彼女が、寿命を全うして生きた木村の日記を見て「もう少し、頑張ってみようかな」という気持ちになります。
偽り続けていた自分の名前を、本名に戻しました。記憶を失った自分は水鳥麗ではないと思い、その名前で呼ばれることに違和感をずっと感じていた為(あと、水鳥麗という名前はあまりにも悪名高過ぎた為)日下部れい華という名前で生活していましたが、自分の素性を偽らずに生きていくことを決意しました。
その後、審問会にかけられ、一時的に聖ラファエル病院の閉鎖病棟に幽閉されます。
過去の殺人事件の経緯もそうですし、処刑人をしているということもあって厳重に隔離されました。
抵抗する気になれば出ることは出来ましたが、水鳥は抵抗しませんでした。
そこからしばらくは10区の人間は処刑されない状態が続きました。緋月が亡くなったという情報は各区に報道されましたから、もう自分たちが処刑されないのではないかと思った10区民は、もう失うものが何もないという強気の姿勢で自分たちに対する非道な処遇を改善するようにと一致団結し、暴動が連日起きていました。
赤紙や国では処刑制度の見直しも始まっていたので、容易に殺すという選択をすることもできず、暴動は日に日に激化。収めようとする赤紙員も重傷を負わされたり、問題が多発しました。これは10区だけにとどまらず、9区や8区でもその暴動は広まるようになっていってしまい、収拾がつかない状態が何日も続きました。
国王は10区や9区、8区の処遇改善に応じようという姿勢を見せましたが、それを区代表たちは「頭に乗るからやめた方がいい」と牽制。10区に行ったのだから処刑して黙らせるのが今のルールだということで赤紙勢は満場一致しました。
ただ、人を手にかけるには本人に物凄く精神的負担がかかる為、容易に行うことは出来ませんし、やりたがる人もいません。
そこで、水鳥は暴動を治める目的で解放されました。
そうして10区での暴動は水鳥の手によって鎮静化することに成功します。再び処刑人が現れたことで、9区、8区での暴動もなくなりました。
その後、水鳥はメフィストの監視下なら自由が与えらることになりました。元々それほど外に出ることに積極的ではない水鳥はその条件に不自由をすることはありませんでした。
10区の処刑人の顔を持ちつつも、表向きの管理は智春が行っています。
処刑する以外のことは一切しないですが、一応死刑に相当するような事件の裁判の場にも呼ばれたりしています。
処刑後継人を探していますが、適任者がなかなか現れないのが現状です。
誰もやりたがらないですし、その技量もないですし、逆にやりたがる人はどうしようもないサディストで人格に問題があったり……。無感情で人を殺せる人なんて、そうそういないですから、当然なんですけど。
生き返って感情が平坦化している水鳥が適任というわけです。
■シャーロットについて
『罪状は【零】』に出てきたキャラですね。『ウロボロスの指切り』でも出てきます。
1200年以上も生きているのは相当な苦労があったと思います。
とはいえ、ノエルの伝承を受け継ぐ以外のことについてはシャーロットは世の中と関りを持とうとしません。教会の教祖として、ただノエルたちを見守り続けます。
世界で悪魔との戦争があっても、シャーロットはずっと歴史の影に隠れて出てくるということはしませんでした。自分が唯一この世界に存在する魔女だったので、魔女だとバレるようなことがあれば、古に行われたような魔女狩りに遭うかもしれないと恐れました。
シャーロットは魔術のことを誰も信じなくなった頃、時々神に縋るように訪れる重症の疾患のある者を時々「神の奇跡の力」として治療をすることをしていました。
ノエルの伝承を途絶えさせたくないという気持ちもあり、シャーロット本人も苦しんでいる人を助けたい一心でした。しかし、大々的にそれを行ってしまうと、やはり表舞台に引きずり出されてしまう為、時々しか魔術を使うことはありませんでした。
しかし、水鳥麗はこの神の奇跡の力を見つけ、シャーロットを頼ってきます。
シャーロットは水鳥麗や木村冬眞が真に悪だとは思えずに、治療を施します。ですが、水鳥麗には裏切られるような形になってしまいました。
しかし、木村を治療した、しないに関わらず、水鳥はこうなってしまったと思います。
もしかしたら、木村を治さずに放っておいたとしたら、本当に水鳥は木村を殺して身体の一部を食べたのかも知れません。
シャーロットは水鳥麗の一件があってから、自分の魔術を更に隠すようになります。
ただの教会の司祭として活動を続けますが、ある日イヴに「特殊な人間」だと嗅ぎ付けられます。シャーロットももう随分歳をとったので、全盛期のような魔力を放っている訳ではないのですが、その微少な違和感のようなものをイヴは気づき、つけ狙われるようになります。
初めは「私の下につけば、なんでも願いを叶えてやる」というような交渉でした。
イヴは得体のしれない力を持つシャーロットを警戒して、初めから襲ったりはせずに、交渉という方法を取りました。
しかし、シャーロットはそれを拒否します。シャーロットがイヴの動きを封じた後にシャーロットは逃げ、身の危険を感じて緋月に助けを求めました。
赤紙内部で隠れ続けるのは外に出られないこともあり、容易ではなかったですが、死者を生き返らせる研究を緋月と共にずっと邁進していました。
そしてついに魔術と悪魔細胞による死者の蘇る法を編み出しました。しかし、道徳的、倫理的な問題、まだ初期段階で成功するかどうかが怪しかったというのもあり、誰にそれを試すのかという議論になります。
ネズミや犬などを生き返らせる実験は成功していましたが、人間がということになると色々勝手は違ってきます。
そこで、緋月は黒旗内部に保存されていたミイラ状態の水鳥麗を提案。シャーロットは生前の殺人鬼であった彼女を知っているので反発しましたが「私が厳重に管理するから」という強い押しにシャーロットは負けました。
それに、水鳥麗が生き返った後に「どうしてあんなことをしたのか」ということを問いただしたいとシャーロットは考えていました。『黒の教典』を読めば大体のことは書いてありますが、その真意をシャーロットは確かめたいと思ったのです。
しかし、蘇生した水鳥麗は記憶がなく、以前の表情豊かな彼女はもういませんでした。それにシャーロットも緋月同様に酷くショックを受けてしまいました。
シャーロットはノエルとその伴侶を生き返らせようと考えていましたが、感情が平坦化してしまい、記憶すらなくしている彼女を見て、ノエルを生き返らせるのは間違いなのかもしれないと思うようになりました。
結局、彼女は最期の最後までノエルを生き返らせることはしませんでした。
それに、自分の寿命が間近であることは本人は分かっていました。次に大掛かりな魔術を使う時は自分の命を差し出すことになると。
緋月の恋人を生き返らせることが自分の最期の使命だと思い、戦いに同行しましたが、緋月が光を生き返らせてほしいという願いを彼女は最期に受け入れます。
そうして最期、シャーロットは命を差し出し、光を生き返らせました。
本当に1200年もの間、お疲れさまでした。
■雪尋について
当時の彼は所謂、反抗期でした。
自分の母が死んでしまったことについて、それは赤紙のせいだと強く思い込みます。これは雪尋に対して塩対応をした赤紙員に非の一端はあると思います。
ただ、母親が生きていた頃は、母親が調査に来た赤紙員を「なんでもないです」と拒絶したことも一因です。
借金で働きづめの中、それでも香苗(智春、雪尋の母)は夫を愛していました。自分が一生懸命働けは、戻ってきてくれると信じていたので、香苗は赤紙の人に帰ってもらったんです。
雪尋は香苗の死後に子供区から飛び出してしまい、黒旗の宿舎に住み込み、グレます。
黒旗は一応赤紙に雪尋の届け出は出していたので、もめ事にはなりませんでした。雪尋は赤紙に多大な不信感を抱いており、反赤紙の思想に共感しました。
雪尋が子供区から逃げ、黒旗に滞在していたのはほんのわずかな間でしたが、その際に無理やり渉と光に引きずり出され、物凄く怒りました。それによって尚更赤紙に反抗します。
もう、水鳥麗がどうだとか、黒旗の理念がどうとか、深い部分はどうでもいいんです。とにかく赤紙が気に喰わない、緋月が気に喰わないという気持ちが先行しています。
当時の雪尋はまだ16歳だということもあり、善悪の判断が明確にできている訳ではありません。
緋月が教祖の雉夫として雪尋に緋月の暗殺を任せたのは、仮に殺人未遂となっても年齢の免罪があるとも考えていたからです。若い雪尋の精神的負担ももちろん考えましたが、雪尋の話を教祖として聞く中で彼なら立ち直れると判断したからです。兄の智春もしっかりしていますし、それもあって立ち直ると思ったのも大きいです。
これがもし黒旗患部の30歳、40歳の人が執行人だったなら、間違いなく国家反逆罪と相まって処刑になっていたでしょう。
雪尋は緋月が教祖だったということ
イヴという悪魔が存在し続けていて、それと戦う為として黒旗という組織は利用されていたこと
兄が緋月と同じ“化け物”になってしまったこと
それは雪尋にとっては受け入れられない現実でした。
実際に国家反逆罪と殺人未遂罪で捕らえられ、裁判になりました。しかし、まだ若年層で善悪の判断が未熟だったこと、智春がその後の監督をするということ、本人が反省の意を述べていることなどが考慮され、保護観察処分となりました。
子供区の特別クラスを出て、今は1区の元の家で生活しています。償う為に仕事もしています。
黒旗はいきなり教祖が失踪し、大掛かりな暴動を起こしたことで解体されることとなりました。その元黒旗員のメンタルケアの仕事を雪尋はするようになったのです。
黒旗がどういう目的の組織だったのかということは一部公開され、1区で起きたイヴと緋月の戦いに黒旗が関係あるということだけは分かっています。
ただ、教祖が緋月だったということは伏せられています。あれだけ大掛かりに赤紙に対してヘイトを掲げていたのに、その実は緋月だったというのはあまりにもショックが大きすぎるからです。
真実を知る雪尋は元黒旗の人間から、独裁ではなく民主主義になりつつある赤紙への要望をまとめた書類を作って、赤紙が改善していけるように努力しています。
その仲介役として自分の兄をパイプとして使っていますが、その後は智春と2人で父親の面会に行ったりとそこそこ上手くいっています。
■妃澄について
ヴァイオリンの才はありますが、メタルの方の才能はイマイチのようで密かにやっているバンドの人気はあまりない模様。
当初は意地悪なキャラにするつもりはありませんでした(そんなに意地悪でもないか……?)。
妃澄という名前は私の好きなバンドのヴォーカルの名前を取ってるんですよ。字は違いますけど。そのバンドが本当に好きで、正直本人の性格はどうなのか知らないですけど、多分こんな感じではないです。
妃澄は親を殺されているからもあって、かなり罪人には厳しい措置を取ります。9区の代表ですから、かなり厳しいのは仕方がない面もあります。逆に厳しくしないと9区では秩序を保つことができません。
しかし、9区はもう後がない区なので、生活している人も「生きていたい」と強く思っている人は悪いことはしません。見つかればすぐに10区に移動になり、死あるのみだからです。
ただ、厳しい生活環境でヤケになった人が襲ってきたりします。特に新入りの人が発狂しやすく、危険視されます。食事が1日1回しかないので、発狂するのも無理はありません。
9区は空腹との戦いです。食事は制限されますが、強制労働はさせられるので空腹で倒れそうになる者もしばしば。入った当初は太っていた人も、9区での生活を続けているとどんどん痩せていきます。
空腹に耐えられなくなった者が人間を襲って食べるということもあり、かなり危険です。強制労働先の0区の農作物を盗んで食べようとする者が後を絶たなかったので、作業内容は部品の組み立て等の作業がメイン。
食事の配給は1日1回ですが、仕事のノルマをこなせば更にもう1度質素な食事の配給があります。それがほしいがために9区の人間はがむしゃらに働きます。
妃澄は罪人に厳しいですが、時々諭すように罪人一人ひとりと向き合う時はあります。それは、更生したかどうかを見て、必要に応じて8区に移動させる手続きをしなければならないからですね。
妃澄には罪人のおべっかやゴマすりは通用しません。常に素行チェックの報告書が一人ひとりに存在し、その総合を見て判断するからです。
大体、2年、3年程度9区にいて真面目に仕事をして大人しくして、自分が犯した罪に対しての謝罪文を提出しているような模範囚が8区移動の許可を得ます。
妃澄は厳しいですが、更生している者については少し優しくしたりします。
8区の達美も妃澄の鑑定眼には信頼を置いており、納得しています。
特技のヴァイオリンは時々、コンサートを開催して披露しているのだとか。
妃澄は徐々にヴァイオリンを弾く機会を増やし、緋月の慰霊碑の前でも引くこともしているようです。
■達美について
元『ゲルセミウム・エレガンス』のトップデザイナー。今は『クライム・クラウン』のデザイナーとして活動している。
緋月の死後11年で達美は区代表を降りて、デザイナーの方の仕事をメインに仕事をしている様です。赤紙の区代表補佐的な立場ですね。
達美が赤紙に入るときに言っていたように、以前の赤紙の制服というのはテキトーなデザインで服の素材などにもこだわりなどはありませんでした。
しかし、達美が赤紙に入って、緋月は赤紙の制服のデザインを頼みました。入って間もない達美にそんな話が来たので、当時の達美の上司は驚いたことでしょう。
達美は緋月に制服の要件を聞いたとき、あまりにも緋月がテキトーだったので相当怒ったようです。……というか、達美は常に緋月に対して怒ってばかりですね。いや、緋月に対してというより、達美は怒りっぽい。
強迫性障害もあって、同じ作業を何度も何度も繰り返してしまったり、気に入らないと気に入るようになるまでなんとかしようとします。
8区の達美の下につく職員たちは軍隊のように鍛えられていますが、それについては「やりすぎない程度に」と緋月から言われています。
達美がかなり厳しいので8区に入りたいと志願する人は少数ですが、『クライム・クラウン』のファンだったり、達美に憧れて入る人が殆どです。少数精鋭と言った感じでしょうか。
厳しすぎるとパワハラがどうだという問題になるので、時々緋月が視察に来ていました。「それは達美の主観が過ぎるんじゃない? それは仕事と関係ないよね?」と軽く注意すると「確かにそうだな」と思い直すこともあるようでした。ただ、強迫性障害もあり、なかなか思い通りにいかないと癇癪を起してしまうこともしばしば。その度に緋月が達美の不安を取り除くように懸命に達美と向き合ってきました。専門医も交えて、達美も治療も進めていました。
光のように達美も素直ではないので、緋月に感謝の言葉を伝えてはいませんでしたが、本当に内心では感謝していました。
8区は達美が区代表から外れ、少し厳しさが緩和されるかと思われましたが、8区は厳しいのが名物となって緩和されなかったとか。
緋月の慰霊碑に時々『クライム・クラウン』の新作の服が置かれているのを、優輝が羨ましそうに見つめる姿が何度も目撃されているらしい。
■佳佑について
持病の鬱病で具合が良くないですね。
真面目に仕事に打ち込みすぎていて、ストレスの発散ができないタイプ。
まして7区の代表というのは大変です。7区は凶悪犯ばかりですし、新規で来る人は荒れ狂っている人も少なくなく、逆に9区や8区から上がってきた人は極力静かに暮らしたいと考えているので、派閥のようなものができてしまっています。
大人しくしている人からの略奪行為が絶えない問題ですし、7区に来て荒れている人はすぐに8区や9区に移動になることが多いので、せわしない区となっています。
とはいえ一番多いのは強姦罪でしょうか。
性犯罪者が多いのもあって、ここにいる女性というのは常に標的に狙われていました。あまりにも性犯罪が多く報告されていたので、希望を出す女性は7区の中に女性のみの区が作られていたりします。
佳佑は緋月の側近になりたいという気持ちが強くありました。
しかし、佳佑は選ばれずにどこの誰なのかもわからない渉や光、そして智春が採用されて内心苛立ちを募らせていました。
特に智春に対しては納得ができず「どうして自分じゃないのか」という疑問を緋月にぶつけることもありました。
佳佑は選ばれるべくして区代表になったんだという話をします。非常に優秀で真面目に仕事に打ち込む姿勢は素晴らしいと。本当は自分の側近を雇う必要はなく、特別な理由がある子しか雇っていないということを説明します。
佳佑は「どうして自分は悪魔細胞の適合者ではないのか」と自分を責めるようになり、強い劣等感を感じます。
佳佑は物凄くいい人で、周りからの期待に必要以上に応えようとする性格の為、鬱病になってしまいました。
緋月は精神的不調を訴える者に対して直々に面談を行うこともありました。その時佳佑と緋月は出逢ったんです。
自分の許容範囲を超えてお願いを聞く必要はないよということを言われ、佳佑はその言葉に救われました。
緋月がいなくなって佳佑もかなりショックを受けましたが、それでも緋月の意向を継ぐべく仕事に打ち込んでいます。
■蓮一について
渉と同様、性同一性障害です。
男ですが女性の恰好をしています。元々の顔も整っていて可愛い方だったので自然に女性の恰好をし始めたような感じですね。
渉が緋月様付きになってしばらくたった頃、渉から性同一性障害について蓮一は相談を受けました。
警戒心の強い渉が蓮一に相談したのは、緋月に「蓮一は優しいし相談にも乗ってくれるよ」と背中を押されたことがきっかけです。
蓮一は渉に「自分らしくいれば大丈夫」と言いますが、渉はそう大らかに物事を捕えることができずに結局アドバイスはそれほど役には立ちませんでしたが、それをきっかけで仲良くなり、一緒にカフェに行ったりする仲になりました。
少しふわふわしていますが、仕事面は几帳面で正確な仕事をします。
猫耳のついているモコモコの長いフードを愛用していて、それがないと不安になってしまいます。髪の毛の色は優輝の濃いピンクとは違って淡いピンク色をしています。
そんな髪色繋がり、女性らしいところを優輝も気に入っており、優輝とも仲が良いです。
なかなか本編で出番が設けられなかったキャラですね。
渉と蓮一の話を挟んだりしても良かったのですが「長くなりすぎる」「話の進行に関係ない」という理由で割愛しました。
それぞれの個性を生かした本編に関係のある話を書いていくのが腕の見せ所なのでしょうが、私は個人的に話が全然進んで行かないのはストレスなのと、全員が特別に思い入れのある思い出があるわけではないと思うので、仕方ないとも思います。
優輝と蓮一と渉の女子会的なほのぼのした話があってもいいかなとも思いますが……。
私個人は『性同一性障害』は病気とかではないと思います。
それに対して「肉体と自認している性別が違うから、自認する性別を肉体性別と同じにしたい」とか「治したい」「(自己完結する範囲で)苦しんでいる」っていう気持ちが本人が持っていない限りは「病気」とか「障害」じゃないと思うんですよ。周りがわーわー言うことに苦しんでいるのは付加的な苦しみですから。
自分を捨てて(抑えて)生きていくか、自分と共に死ぬか、それだけだと思います。
自分の中で苦しんでいるなら専門家の意見を聞いて治療をしていくのは手段の一つだと思います。
■葉太について
本人は『性嗜好障害』でした。
性的満足を得る為に、とにかく性行為をしないと落ち着かなかったり、生活に支障をきたしても尚、性行為を繰り返してしまうことを指すようです。
WHO(世界保健機関)でセックス依存症を『強迫的性行動症』という精神疾患であると認定したという記事を見かけました。
反復的な性的衝動の抑制が上手くできない、性行動が生活の中心になって他の物事が疎かになってしまう、不利益をこうむっているにも関わらずにやめることができない等々、そういう疾患です。
葉太は生活が破綻するほど性行為に溺れていたところ(遊郭で払うお金もないのに利用する等)、元々は区間移動の対象者でしかありませんでした。……が、性的行為についての異常なまでの執着が見られ、精神疾患として認定されました。
治療を行っても葉太は思ったような治療成果は得られませんでした。葉太はほぼ毎日自慰や性行為をしていないと不安で仕方ない状態でしたが、病院で隔離されてそれを阻まれます。
薬で落ち着くように治療がされて、やっとのことで少し強迫観念が少し収まっていた頃に緋月と直接対面しました。
入院生活で長らく女性と接触していなかった葉太は、緋月に襲い掛かろうとします。
緋月はこのとき、驚きすぎて思い切り突飛ばして葉太を骨折させています。
葉太は元々容姿でモテますし、女性関係でそれほど苦労することなく今まで来ましたが、あまりにも強い拒否をされた緋月に対して葉太は「絶対に自分のものにする」という覚悟を決めさせました。緋月は他の女とは全然毛色が違う希少価値があったので尚更です。
緋月は病気を認め、葉太に病状が落ち着いたらお金を稼ぐことを勧めました。遊郭を利用するにはお金がかかります。お金もないのに利用したらいけないという当然の話です。
何にしても病状が落ち着かなければ仕事も何もできないので、葉太については治療を最も優先にしましたが、やはり思うようには治療は進んで行きません。
緋月の頭には葉太のことは強く印象に残っていたので、再度病院に訪問しましたがやはり病状は良くなっていませんでした。
葉太は一日中自慰行為に耽る生活をしていて、緋月が警戒しながら病室に入ると、葉太は泣きながら「ここから出してくれ」と懇願します。治療もうまくいかず、自殺未遂にまで発展してしまいました。
葉太を哀れと思い、どうしたものかと考えた緋月はシャーロットに相談しました。思い切り突飛ばして骨折させてしまったことに対して負い目も感じています。
シャーロットとしては葉太だけ特別に治すということはしたくありませんでした。なので、葉太に効きそうな薬の調合をシャーロットが考えて新薬を葉太に試すことになりました。急務であったために臨床試験などは満足にはできませんでした。
葉太は新薬に対して「薬はもう嫌だ」と嫌がりましたが、緋月は葉太をなんとか説得し、暫く薬を投薬して経過を観察しました。シャーロットの調合した薬は葉太の症状に効き、性的衝動は徐々に落ち着いて強迫的に自慰をしたり、性行為をしたりしなくても済むようになりました。
苦しんでいた葉太ですが、緋月のおかげで普通の生活を少し取り戻しました。
そうして通院はしながらも強制入院させられる前に戻りましたが、葉太は緋月のことが忘れられずにいました。
以前は強迫的に性行為に及ぶために遊郭に通っていた葉太ですが、自分の予算内で済むようにまた遊郭通いをしていました。
でも、どんな女を抱いてもどうしても緋月を忘れられず、緋月を抱かなければ気が済まない。そういう感覚が葉太にはありました。それには緋月の近しい人間になるしかない。
当時の緋月は側近などは雇っていないので、赤紙に入って上に上がっていくしかないと葉太は考えました。葉太は赤紙に入って努力し、区代表にまで上り詰めました。ですが、緋月に近づくことには成功したものの、緋月に強引に迫りすぎてそれ以来緋月には嫌われているようです。
事あるごとに下ネタに走る葉太は、純粋に緋月は苦手らしい。
■園について
病的に緋月が好きで、好きすぎて殺したいとすら考えていました。
園は緋月の気を引きたいと思っています。葉太のように過剰にアプローチはしませんが、とにかく緋月にとっての特別になりたいと思っていて、そのために黒旗とも通じています。
緋月のすべてを知りたいと思っていて、いい面も悪い面も全て知りたいという貪欲さがあります。緋月にとって困ることでも、探求心が園を突き動かします。
なぜ園が緋月にそれほどまでに固執するのかというと、緋月の見事な残忍さに惚れ込んでいるからです。
園は先天的にサディストで、相手が苦痛を感じている姿に興奮するタチです。ただ、一般人は人を手にかけることは許されていません。だから処刑権限のある赤紙に入って処刑をしたいと思ったのでした。
赤紙の職員の違法行為に処刑をする緋月の姿に惚れ込み、処刑のその残忍さに園は興奮を抑えきれませんでした。
子供は基本的に処刑場に入れませんが、遠くから見える位置まで行き双眼鏡で園は処刑を見ました。処刑が楽しみで仕方がなく、暇があれば園は処刑場の広間に行ってぼんやりと思い出してはニヤニヤと笑うという少年期を過ごしました。
その後は赤紙に入るべく勉強し、試験を受け、赤紙に入りました。
表面的には優秀な園はどんどん昇進し、区代表になるときの面接をすることになりました。面接のときに緋月と対面した際に自分の本性を見破られてしまい、ますます緋月にのめり込んでいくことになります。
「君、回答が模範的過ぎる。何か隠したいことでもあるのかな?」
と緋月に言われ、表情に出さないようにしてたが心の底からニヤッと笑ってしまいました。
「冷酷な判断をする緋月様が好きです」と今までずっと秘めていた気持ちを素直に緋月に話しましたが、緋月の表情は曇りました。
そのとき、園はすぐに緋月が自分に対して嫌悪感を持ったことに気づきました。しかし、その表情にゾクゾクしていました。
緋月の泣き叫んでいる姿、苦痛に表情を歪めている姿を見たいと思った園の思惑は、緋月には見透かされていました。ですが、緋月は園をあえて区代表にしました。
緋月の死後、園は重い罪を犯したということで区代表からは外され、処罰されることになりました。
赤紙の区代表でもあった彼が罪を犯したということは国への影響力は大きいという意見もありましたが、赤紙の職員を処刑するという過激なやり方に反対する意見も多く、緋月の独裁が終わったその矢先、園の処罰の仕方は注目が集まりました。
国王、赤紙、第三者委員会の話し合いと本人の供述を踏まえ、処刑ではなく区間移動となりました。
緋月に処刑されることを望んでいた園にとっては緋月の死は大変ショックな出来事でした。それに、処刑されるということは園にとっては重要なことでした。緋月の無慈悲な処刑制度に自分も大いに賛同していたわけですから、変に温情をかけられて生き永らえさせられるというのは園にとってはかなり屈辱的な仕打ちだったと思います。
元区代表でしたから、区民には受け入れられるわけもなかったですし。園はすぐさまその残虐性を表面化し、残虐非道な方法で区民を何人か虐殺しました。
それは自分に温情を見せて屈辱的な仕打ちをした赤紙に対する仕返しの意図もありました。
結局、園は10区に移動になり、残虐な殺人鬼になり、まもなくして水鳥麗に処刑されます。
最期は処刑のとき、園は全力で戦いました。
殺されたくなかったから抵抗したのではなく、殺し合いが楽しかったからです。
園は心からの笑顔で逝きました。
■薫について
緋月教、あるいは緋月狂です。
薫は周りと違う子供でした。集団行動をしてもどこか意見がずれてしまったり、孤立してしまったり、友達がいなかった子です。
イジメなどはなかったものの、薫は自分に真剣に向き合ってくれる人はいないと感じていました。
薫は自分が周りと違うということに気づくのは遅かったです。自分が周りと違うということを自覚したのは大人になってからです。
本人はそれに悩んでいましたし、周りに馴染もうと努力したこともありますが、自分がどう間違っているのか解りませんでした。とはいえ、自分を曲げて周りに合わせるとかなりのストレスを感じ、薫は精神に不調を来たしたり、ひきこもりがちになっていました。
薫は摂食障害と睡眠障害で精神病院を受診している際に、偶然緋月に会いました。
げっそりしていた薫は、長い銀髪を隠しもせず、好奇・委縮の目にもものともしない堂々としたその姿に感動しました。
思わず緋月に薫は声をかけました。緋月は忙しい身でしたが、薫のことを邪険にすることなく一生懸命話す薫のとりとめのない話を聞きました。
「法を犯さなければ周りと違っても自分の個性を大切にしていけばいいと思うよ」
と言われた薫は、今までの自分がずっと悩んでいたことが昇華されました。他でもない国の実質トップがそう言ったということもあります。
「でももう本当の自分が分からない」と薫は不安を示します。それに対して「自分が正しいと思う人のいいところを自分に取り込んで行って、焦らずに自分らしさを作って行けばいい」と緋月は言います。
緋月は「色々な人のいいところを取り込んでいく」という意味で言ったのですが、言い方が悪かったので「一人の正しいと思う人のいいところを取り込んでいく」という解釈を薫はしてしまいます。
やっと自分を肯定してくれた人を正しいと感じた薫は、それがどんどんエスカレートしていって緋月が絶対正義という感覚になって行きます。
妄信的になっていった薫は赤紙に入って緋月に近づけるように努力しました。集団生活は薫にとっては苦痛でしたが、赤紙の意思は緋月の意思として受け入れることができて、どんどん上に上がって行きました。
薫は緋月を見つけると、積極的に声をかけました。ゴマを擦るわけじゃないですけど、とにかく緋月に認めてほしいという承認欲求がありました。
顔の星のタトゥーは区代表に選ばれた日に入れました。特にそれについては緋月は言及してません。タトゥーは個人の自由とコメントしています。
薫は緋月と話して何か感動するようなことがあると、その軌跡として色々外見を変えています。ピアスの穴を空けたり、タトゥーを入れたり、髪の色を変えたり、色々しています。
できるだけ緋月に似せるように髪を伸ばして銀色にしたり、赤色のカラーコンタクトを入れたり、緋月が普段つけているマントをつけてみたり、色々です。
絶対的に妄信していた緋月が亡くなって、薫は自分が築き上げてきた緋月に全面的に依存している正義感が崩れていく感覚が耐えられないものでした。
生活の全部をかけて崇拝していた緋月がいなくなって、再び自分というものがなくなってしまいましたし、緋月にのめり込みすぎて取り返しがつかないところまでいってしまいました。
薫は抜け殻のようになってしまい、自分の生活が自分でできなくなってしまい、入院することになりました。
最初はただ抜け殻のようになって脱力していた薫ですが、緋月がいなくなったことによって緋月の作った規律が改変されていくことに意を唱えます。それがどんどん苛烈になっていき、暴れることも多くなっていきました。緋月の正義=自分の正義が崩れていく感覚が、自分を否定されているという感覚に陥って行ったからです。
薫の場合は妄執というか、固執というか、盲目的崇拝というか。自分の神がいなくなって混乱し続けている状態ですかね。悪気はないんですけど、価値観を突然変えられないんですよね。
長年の価値観っていうのはそう簡単に変えられないですから。
「老害」とかって言い方は好きじゃないですけど、時代の流れとかありますから、それを汲み取って行かないといけないんですが、それができないんですよ。
この国は民主主義ではなくて緋月の独裁ですから、それで回ってます。緋月を落そうにも何をどうしても勝てないわけですから、実際に緋月が暴力でまとめているわけじゃないですが、絶対的な暴力で抑圧している状態ですね。現代社会で言うところの軍隊を持っているから他の国に攻め込まれないっていうような抑止です。
「あの時は良かったな」って思うのは自由なんですけど、人が変わっていけばルールも変わっていくのは自然なことだと思います。
ただ、それができない人はいるわけです。
薫はそうだったってことですね。
■琉依について
前向きで明るくてガーデニングとジムが趣味のゲイです。
琉依は童顔だということが恥ずかしくて髭を生やしてます。
特に緋月に助けられたとか、緋月に憧れてとか、そういうことはありませんでした。優秀だったから区代表になってます。赤紙に入って区代表をしているからには、厳しい一面もあります。厳しい考えもありますが、基本的には温情的に区民に接します。
2区はまだ微罪ですし、迷惑をかけたことを真摯に反省し、更生する可能性も十分高い区なのでここでの接し方は重要なターニングポイントになるわけです。
犯罪者予備軍もここで発見されることもよくあることなので、2区というのは他区に比べて暗に責任が重いんです。それは緋月が琉依にならできると信頼を置いているから琉依に任せてるんですよね。妃澄や達美のように物凄く厳しい措置ばかりしていたらどんどん下の区に送られて排除されていく方向になって行ってしまいますから。
緋月としても琉依の灰汁のない性格は付き合いやすい人で、プライベートで話をよくします。緋月もふざけやすい空気で、話していて落ち着く少ない人の一人ですね。
緋月が区代表に選んだ理由としては、精神疾患ではないけれどゲイという立場を確立したかったという背景もあります。
この国ではまだまだホモセクシャル、バイセクシャルの人は受け入れが進んでません。少数派に対する差別的な意見もありますが、そうではなくてこの国は人口が少ないのでホモセクシャルの人が更に少数派なんですよね。
琉依なら同じホモセクシャルの人に明るい未来を見せられるのではないかと緋月は選んだわけです。琉依はオープンですから、男が好きだと公表しています。
最近思うのは「同性に好かれるなんて気持ち悪い」っていうのはちょっと違うんじゃないかなって思うんです。異性だろうが受け入れられない相手に好かれるのは同性だろうが異性だろうが受け入れられないんですよ。
私は異性愛者なので同性の方に好かれても困るんですけど、それは受け入れられない異性に好かれても困るのって全然違うことじゃないって思うんです。それがたまたま同性だったっていうだけのことだと思うんですよね。
男でも、見た目が可愛い女の子みたいな人ならいいっていう人もいますし(それはまたちょっと違う話なんですが)、性的な自分の方向性っていうのはそれぞれだと思います。
「○○フィリア」とか言いますけど、それとそんなに遠くないのかなと。
琉依は純粋な気持ちで葉太が好きでした。
でも、葉太は異性愛者だったのもあり、配慮にも欠ける発言を琉依にしました。「気持ちが悪い」というようなことです。
それは純粋に異性、同性関係なく「気持ち悪い」と言ったのではなくて、同性だったから「気持ち悪い」と言ったわけです。
琉依は受け入れられないと分かっていて葉太に想いを告げましたが、やはり同性だから気持ちが悪いという言い方をされてショックを受けました。
葉太はその話を緋月にして、葉太はめちゃくちゃ怒られます。「断る権利はあるけど、言い方には気をつけなさい」と。
その後葉太と琉依は和解していますが、琉依は葉太を諦めました。「やっぱり気持ち悪いのかな」と明るい琉依でも考えたわけです。
それでも気持ちは抑える事っていうのは難しいわけです。琉依と付き合いたいと申し出る一般人の男性と交際などを考えたりする時期はありましたが、自分が進んで好きになった人じゃないと琉依は付き合えないと判断します。
そんな中、緋月が光を保護しました。光は琉依に対しても辛辣な態度をとりました。でも、それはゲイだから辛辣な態度をとったわけではなくて、周りの誰もに対して光は拒否反応を示していたので差別的な拒否じゃなかったわけです。それを一生懸命緋月が宥めるというか。
そんな尖りまくってる光の世話をする緋月から苦労話を聞くにつれて、少しずつ琉依は光のことを好きになっていきます。
琉依を見てよそよそしくなる男性がいる中、光はジムで琉依を見かけてもよそよそしくなることはありませんでした。相変わらず周りに辺りは厳しい光に対して、温和で明るく前向きに話を聞いてくれる琉依は話しやすい相手だったのかもしれません。
しかし、光は明らかに緋月が好きでしたから、琉依は半分諦めていました。恋心は抱きながらも光には結局言えないままになってしまいました。緋月が亡くなってからは言える空気でもなかったですし。
琉依は今、パートナーがいるんでしょうか。できるといいですね。
■優輝について
御姐さんです。
美しくなることに対して余念がない男性。女口調で話してますが、性自認は男で、性対象は両性です。(オカマさん……? オカマさんも色々タイプの方がいると思いますので、一概に「こういうものがオカマです」とは言えません)
国から認可されている遊郭を経営していて、遊郭関連は実質全部優輝が統括しています。これは優輝の趣味みたいなもんです。昼間は赤紙で仕事をしていますが、夜になると遊郭で働いています。セックスワーカーですね。
優輝はとにかく自分の美しさを認めてほしいという欲求があるわけです。とにかく、誰よりも美しくなりたいと思っています。醜くなることに対して物凄い嫌悪感を抱いています。自分の美しさの為に日夜努力しています。
だからこそ、何もしなくても美しいままの姿が保たれる緋月に嫉妬していますし、綺麗な顔をしているのに自分を美しくしようと努力しない緋月のことが嫌いでした。
その誤解は最終的に解けますが、緋月と優輝が和解する為の場が明確にあったわけではありませんでした。
優輝は子供のころから美しい子供で、周りの人は優輝をもてはやしました。
しかし、徐々に大人になっていくにつれて優輝は恐怖感が増していきます。恐怖が増していくほどに、緋月への嫌悪感が強くなっていきました。
とはいえ、緋月が嫌いなのは個人的な感情で、仕事に私情は持ち込んでいません。仕事はキチンとしています。キチンと仕事をしてますが優輝は仕事の合間を見つけてネイルに行ったり、美容院に行ったり、エステに行ったりしてます。緊急性が高い場合はネイルでも美容院でもエステでも途中で向かいます。赤紙の上層部は時間労働じゃないんですよね。必要があれば現場に行かなければならない状態です。
現代の日本みたいな「頑張って時間が空いた分に更に別の仕事をしなければならない状態」じゃないです。早く終わったら帰っていいんですよ。終わってなければ帰れませんけど。
緋月の仕事面の意見に噛みついたりはしませんし、優輝も赤紙の意向には賛成です。
ただ、緋月に対して美しくなる努力を全くしないこと、かなり言い寄られているのにも関わらず全く恋人を作ろうともしない姿勢に明確に敵意を示します。
美しい時期が一瞬で、言い寄られているうちが華なのに色っぽい話が何もないというのは優輝にとっては気に喰わないことでした。優輝は緋月に対してライバル心を抱いてるんですよね。自分のお気に入りの客が緋月のことが好きだったときなどは本当に心穏やかでいられません。
ずっと優輝は疎ましく思っていましたが、緋月の事情を知って本当に後悔しました。緋月はお洒落に気を使って割く時間なんてなかったわけです。それに、茜以外の人に良く見せようとしないその姿勢に、自分の好色を改めようかとも考えました。
優輝はどんなに時間がなくても化粧をしたり、美容をしたりする時間は必ずとっています。誰にでも良く見られたいからです。お客さん相手の仕事もありますから、綺麗にするのも仕事みたいなところはありますが、優輝の自己満足な部分が大きいです。
本当は優輝の流鏑馬の技術で智春が飛んで、脚を負傷した優輝を運んでイヴの隙を作るっていう作戦を考えたりしたんですが、イヴの硬い表皮を弓で打っても注射器は刺さらないかなと思いました。
それに、智春はつい最近悪魔細胞に適合したばかりで、使い方が良く解ってないんですよね。それなのに優輝を抱えて飛ぶっていうのは無理かと思いました。飛ぶのもまだ慣れていませんし、すぐに戦力になるのは無理なんですよね。
悪魔細胞というのはめちゃくちゃ便利なものでもないです。
何気なく自動で自分の身体って管理されてますけど、傷を治すにしてもいろんな機能が作用して傷を徐々に治していくわけです。いちいち自分の意思で血小板というものを生成して使ったり、傷口から入った菌を白血球やらマクロファージやらT細胞が対応するみたいなのって自分の意思とは関係ないじゃないですか。それを意識して自分でやろうとすると物凄く大変なんですよ。色々仕組みを分かってないと使えないですし。
優輝の話に戻りますけど、優輝は自分の美しさの為だけに生きていた生き方を変えて、結婚相手のためとか、自分の子供の為とか、そういう理由を見つけないと優輝は自殺に追い込まれる可能性があるように思います。
優輝はお店の女の子の面倒見は良いので、いいお母さん(?)になると思うんですけど。
《まとめ》
あとがきで設定をくどくどくどくどくどくど書いているのは、私の小説を書く手腕不足です。
本編で全部出せたらよかったんですけど、長くなりすぎると話がどんどん長くなっていくし、本編で全部書くのもどうなのかなという甘えもあったのでこういう形になりました。はい。私の甘えです。
キャラの設定とか色々考えて書いてて、楽しいときもありましたし、どう運んで行っていいか分からなくて筆が進まない時もありましたが、なんとか終わりにすることができました。
自分にとってはずっと温めていた設定の作品なので、完全に全力疾走したかったですが、自分の執筆意欲に波があるので、書きたいときは書きたいですし、書きたくないときは全然1話書くにも何日もかかりますし……とにかく途中で手が止まってそのまま未完になるのは嫌だったので書ききりました。
長くなりましたが、読んでいただいた方、ありがとうございました。
機会があればまたよろしくお願いいたします。




