最凶の要塞にビートを刻め
第7幕が開かれた──
これが物語の佳境ってやつか。
古式ゆかしいマシンガンの隙間を縫って、眼前一面にそびえ立つ黒い要塞にハリセンボン。
奴らは相当嫌がっているようだ、だが残念ながら俺が抱えているのはただの幼女だ。
──くっ!!
ここに来て初めて靴下の中の異物に気がついた。
不安そうな顔でこちらを見上げる娘。
ここで見捨てても状況は変わらない、そもそも本当は4人必要なんだから…
三方から一斉に放たれる黄色い歓声、いや四方からか、いつの間にやら俺は囲まれていたようだ。
ヤカンからけたたましい音が鳴る。
そう、後ろにいたのはあの美しきタナカだった!!
「まさか、とでも言いたげだな。お前がここに居るのに、俺がここに居ない。そんな道理はないだろう?」
「お、お前……、まだ競泳水着を着たままでっ……!?」
「言ってくれるな、俺も色々あったんだ。そういうお前こそスイミング帽をすっぽりかぶったままじゃないか」
「ふふっ、似合ってるぜ、相棒!」
「お前もな!」
俺たち無敗無敵のコンビネーションはあっさりとサラダボウルの中へと飛び込んだ。
「そうか、その娘が、お前の……」
「そうだ。だがまだ一人足りない」
くそっ、こんな時、アイツが居てくれたら──
車窓の景色からシャリシャリとキュウリを食べる音がする。
「息継ぎすらさせてくれないのかよ! ここは!!」
息は上がりきり、血走った目で最後のレーザービームを発する。
しかしそれは分光スペクトルとなり、敵地にユーロビートが流れ始めた。
「おいおい、いきなりの挨拶だな、盛り上がるぜ」
──河童のワタナベ♡