96話 青い炎
少し休憩をした後、部屋を出た三人。
廊下に出ると赤い絨毯が向こうまで敷かれていた。
「さっきまでと同じ感じか」
「そうね」
「クア」
三人は廊下を歩きながらそんな会話をする。
「ん?あれは?」
シンが窓から見えた建物に興味を示し言った。
「どれ?」
「ほら、あそこの下の方の建物」
「うっ…」
「クア?」
レンが見たのは赤い夕陽に照らされた西洋風の建物。
位置的にこの場所よりかなり下の方にあるのが分かった。
が、そんなことより視界に入るのは白い雲。
それは自分が天空にいるということを認識させられるものだった。
「あれもここの一部だよな」
「クア」
シンの質問にサレサが首を縦に振って答える。
「そ、そうだね」
少し遅れて、顔色の悪いレンが返事をした。
「レン、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫、大丈夫…」
レンはそう言うと先頭を歩き始めた。
「絶対大丈夫じゃないな…」
いつもと全然違うレンの様子を見てシンはそんな言葉を漏らすのだった。
しばらく廊下を歩くと、三人の前に上へと上る階段が見えてきた。
「ここのダンジョンって上に行けばいんだろうか」
「分からないけど、大体重要な部屋があるのって城の一番上じゃない?」
「だよな。そうなると、後二、三階は上へ行かないとダメか」
「多分ね」
「クア」
そんな会話をした後、三人は階段を上った。
すると、階段は一階分しかなくすぐに終わった。
「これまた随分長い廊下だな」
三人の前には向こうまで続く長い渡り廊下があった。
「こっちの建物とあっちの建物を繋ぐ廊下みたいね」
「今までのは玄関みたいなもんか」
この建物より向こうの建物の方がより高くまで作られている為そんな感想を抱く二人。
「クア」
そんな二人に同調するようにサレサも返事をした。
「まあ、とにかく早いとここのダンジョンを攻略したいな」
「そうだね」
「クア」
それから三人は長い渡り廊下を進んでいく。
渡り廊下は左右どちらにも窓があり、夕陽が三人を赤く染めていた。
しばらく歩いて向こうの建物へと移動した三人。
「こっちの建物も基本的には同じ作りみたいだな」
「そうだね」
「クア」
左右へ続く廊下。
床には赤い絨毯が敷かれ、等間隔で木製の扉がある。
「今までと同じならどこかに魔物がいる部屋がある筈だけど…」
「またサレサに探してもらうしかないか」
二人はサレサへ視線を向ける。
すると、サレサは任せろと言わんばかりの顔をしてレンの肩から降りると先導し始めた。
「頼りになるな」
「うん」
それから二人はサレサの後ろを付いて行く。
「こんだけある扉から魔物がいる部屋を探すのは骨が折れるな」
「そうね。私達はサレサがいるからなんとかなってるけど、本来はもっと大変だろうね」
「フロリアはここのことをダンジョンであり、神器でもあるって言ってたけど、これが神器とは到底思えないんだが」
「確かにね。作りは普通のお城だし、魔物はダンジョンってイメージがあるからどうしてもね」
「俺達、地上に帰れるんだろうか」
「ちょっと!やめてよ…そんなこと言うの…」
レンがしょんぼりしながら言う。
「いや、悪い!ただ、なんとなく思っただけで…大丈夫だよ。うん。大丈夫」
「クア!」
会話をしている二人にサレサが声を掛けた。
「どうした?」
「ここに魔物がいるの?」
そう言うと、サレサはコクリと首を縦に振った。
「さてと。ここからは注意していこう」
「うん」
「クア」
気を引き締めた三人。
サレサが言った扉のドアノブにシンが手を掛ける。
そして、ガチャッという音を立てて開ける。
「……」
中の様子を探るシン。
しかし、
「暗くて何も見えないな…」
部屋の中は明かりが一切無く暗かった。
「これじゃあ、どのぐらいの部屋でどんな魔物がいるか分からないぞ」
「ライターならあるけど…」
そう言ってレンはジッポーライターを二つ取り出す。
「一応、貰っておく」
シンはそう言うとジッポーライターを一つ受け取る。
「でも、これだけじゃあ頼りないね」
「ああ」
「クア!」
困っているとサレサが体を電気でビリビリさせながら何かを訴えてきた。
「そうか。サレサの電気があれば暗闇でも見えるな」
「クア」
「じゃあ、サレサが先頭かな」
「そうだな。その次はレン。最後尾は俺で行こう」
「分かった」
「クア」
それから三人は作戦通りサレサが先頭で部屋の中へ入っていく。
中に入ると、早速サレサが電気を体に纏わせる。
青白い光が真っ暗な部屋を照らす。
「警戒しよう。いつ魔物が襲ってきてもおかしくない」
「うん」
「クア」
警戒しながら進んでいく三人。
と、その時、三人の周りで何かが動いた気配がした。
「二人とも」
「クア」
「何か、いる…」
立ち止まって警戒する三人。
と、次の瞬間、暗闇に青い炎が二つ、宙に現れた。
「なんだ?!」
シンがサニアとイニルを構えながらその方を見る。
と、その時、部屋に明かりが灯った。
青い炎が部屋のあちこちで灯され、燃え始めたのだ。
すると、最初の青い炎の正体が分かった。
「これは、アンデッド?!」
三人の前にいたのは自分達より数倍大きい、黒いフードを被った宙に浮かんでいる骸骨。
その両手で大きな鎌を持ち、青い炎の目でこちらを見ていた。
「カラカラカラカラ」
骨同士が当たっている為か軽そうな音が部屋に響く。
が、その見た目と相俟って不気味さを醸し出していた。
「アンデッドって前に戦ったことあるヤツと同じだよな?」
「うん。でも、ここはダンジョンだから今までの普通が通用しないかもしれない」
「……」
シンは作戦を考える。
以前戦ったアンデッドは顔が三つあった。
倒す度にその顔の目から光がなくなり、三回倒すことでようやく倒すことができた。
だが、このアンデッドは顔が一つだ。
そして、手に持っている鎌も骨ではなく鉄のような硬そうな物質でできている。
以前戦ったアンデッドとはかなり違うところが多い。
なら、様子を見ながら作戦を立てるしかない。
「まずは俺が攻撃するから二人はその隙に追撃してくれ」
シンはそう言うと行動に移した。
サニアをアンデッドに振り下ろす。
サニアの斬撃がアンデッドに飛んでいく。
「カラカラカラ」
アンデッドはシンの攻撃を迎え撃つように構えをとる。
と、その時、全身を青い炎で覆うと鎌を薙ぎ払った。
サニアの斬撃とアンデッドの鎌が空中で打つかる。
「ダメか…」
サニアの斬撃は鎌によって防がれた。
「クア!」
その後すぐにサレサが電撃で攻撃した。
すると、電撃はアンデッドに直撃し、体からは黒い煙が上がる。
「はああああ!」
すかさずレンが足で追撃の一撃をアンデッドに入れた。
アンデッドはその巨体とは裏腹に壁まで吹き飛ぶ。
「よし、今だ!」
シンは更に追撃しようとサニアを振り下ろす。
「カラカラ」
その攻撃は鎌で防がれた。
「もう少しだったんだが…」
「サレサの攻撃も一瞬効いていたみたいだけどすぐに動けるようになってた。もしかしたら、骨だけなのが影響してるのかも」
「……イニルが使えるようにサニアの攻撃を当てたいんだがな」
シンがそんな言葉を漏らすとアンデッドが鎌を薙ぎ払った。
すると、斬撃と一緒に青い炎が飛んできた。
「こいつ!?」
それを見たシンが慌ててサニアを薙ぎ払う。
すると、両者の斬撃が打つかり、弾け散った。
「器用なヤツだ。基本的に鎌で攻撃するで間違いなさそうだ」
「うん。でも、攻撃方法が分かっても私達じゃあ、大したダメージを与えられない…」
「サレサの電撃もそこそこ。俺の攻撃は当たらない。レンの攻撃は当たっても大したダメージじゃないか…」
シンはそこで少し考える。
「だったら、やり方を変えよう。レンのリナザクラを使った反撃を主軸に戦おう」
「…分かった」
「クア」
「まずは、あいつの攻撃を誘う為に俺とサレサで攻撃。それであいつが攻撃してきたらレンがそれをリナザクラで反射してくれ」
「うん」
「クア!」
「よし。それじゃあ、やるぞ」
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週1〜3話投稿予定。




