91話 シンの思い
「私は大丈夫。でも、シンが……」
「とりあえず、何かを傷口に当てて血を止めないと。」
レンが涙を流しながら言うと、サレサが冷静に言った。すると、レンはフィニットブックに取り出し、シンの手当に必要な道具が入っているリュックを取り出した。
「シンお兄ちゃんはまず、仰向けに寝そべって。」
シンはサレサの言われた通りにその場に仰向けに寝そべった。すると、その間にレンが白の布を取り出し、脇腹の部分に強く当てた。すると、白だった布がシンの血によって赤く染まった。
「サレサは肩の傷をお願い。」
「うん。」
レンがそう言うと、サレサが白の布を取り出し、シンの肩の傷の部分に強く当てた。すると、さっきと同様、布は白から赤に染まった。
「く……っ」
「シン、大丈夫?!」
痛そうにしているシンを見て、レンが心配そうな顔をして言った。
「なんとかな……」
シンはいつもよりも荒々しい息遣いで小さな声で返事をした。それから暫くの間、傷口を押さえていると、血が止まった。
「やっと血が止まった。」
「悪いな。」
「怪我人は黙って安静にしてて!もう……心配させるんだから……」
レンは自分に謝ってくるシンに最初は怒った口調で言ったが、その後の言葉は優しい口調で、レンの顔には安堵の表情があった。すると、レンはリュックの中を漁ると、中から液体の薬品の入った小瓶を取り出した。
「これを飲むと、痛みが多少和らいで傷にも良いはずだから飲んで。」
レンはそう言うと、小瓶の蓋を開けてシンの頭を持って少し傾けさせると、シンの口元に近づけた。すると、シンは小瓶に口をつけて、中に入っていた薬品を飲み干した。
「後は新しい布にして、他の布で傷口を押さえている布を体に固定させてあげれば大丈夫。」
それから二人はシンの傷の処置をした。
「ふぅ〜、何とかなったね。」
「うん。」
それから二人はレンの言った通りの処置をシンにした。
「大分、楽になった。二人ともありがとう。」
「ううん。」
シンが二人にお礼を言うと、レンは首を横に振りながらそう言い、サレサはお礼を言われたからかニコニコと笑みを浮かべていた。
「にしても、サレサは良く落ち着いていられたね?」
「うん。前にも話したけど、私、大怪我をした時に手当てしたもらった事があったからそれでね。」
「そっか。」
レンの質問にサレサがそう答えると、レンはなるほどといった感じで納得していた。
「一度、シンの怪我を見てもらうためにリネオスに戻った方が良いかも。」
「うん。私もそう思う。」
「……待ってくれ。もう少しで兄さんの足取りが分かるかもしれないんだ。だから、」
「だからじゃない!私たちがどれだけ心配したか分かってる?!一度、リネオスに戻ろう?ニールは今すぐじゃなくても良いじゃない。それに、そんな怪我で行ける訳無い!」
「確かにそうかもしれないけど、あと少しで兄さんに会えるってところまで来たのに、簡単に諦める訳にはいかない。」
「シンの言いたい事も分かるけど、私はシンが心配なの!だからお願い!今は我慢して。」
「…………分かった。」
レンの真剣な表情にシンは考えを改め、そう言った。
「とりあえず、後少しはここに居ないとね。シンお兄ちゃんの傷もそうだけど、私、疲れちゃったよ〜。」
「……そうだね。」
「ああ。」
サレサの言った事で重い雰囲気が少し和らぎ、二人は返事をした。
それから三人は十数時間、今までの戦いの疲れを癒す為、その場で休憩をとった。
「ん〜……そういえば、あの後、直ぐに寝ちゃったんだっけ……」
「起きたか?」
レンが目を覚ますと、シンが体を起こしていた。
「シン?!まだ、安静にしてないとダメじゃない!」
「いや、薬が効いたのか、走ったりしなければ大丈夫そうだ。あの薬はなんだったんだ?」
「実はアルキトラにいた薬屋のおばあちゃんがおまけだからってくれたの。傷によく効くからもしも大きな傷が出来た時に使いなって。」
「ああ〜、あのばあさんか。」
レンの話しを聞いたシンがアルキトラにいた薬屋の老婆を思い出していた。
「んん〜〜、おはよう〜」
二人が話していると、サレサが眠そうにして起きた。
「シンお兄ちゃん、もう動いても大丈夫なの?」
「ああ、多分、歩くぐらいならな。」
「そっか、良かった〜」
シンの話を聞いたサレサが微笑んでそう言った。
「大分、時間も経っただろうし、いつまでもここに居る訳にもいかない。先へ行こう。」
「本当に大丈夫なの?」
「ああ。戦う事は出来ないけどな。」
それから三人は準備をすると立ち上がった。
「まず、あの扉が開くかどうかだな。」
「うん。」
そう言うと、三人はこの空間に入ってきたドアの前まで近づいた。
「開けてみるね。」
「お願い。」
そう言うと、サレサがドアノブに触り、ドアを開けた。すると、今まで開かなかった筈のドアが簡単に開いた。
だが、ドアを開けると、そこには入ってきた場所とは全く別の場所で、下に続いている階段があった。
「これは?」
「もしかすると、この空間ごと移動したのかもしれないな。」
「へぇ〜、すご〜い。」
「行ってみよう。」
「うん。」
それから三人は階段を下った。
次回、六つ目の神器?
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