9話 レンが旅する理由
反乱勢力の事件から二日が経った。シンとレンは国の大事に国を一緒に守ってくれた恩人という扱いで城に招待され、事件以降は城の部屋を一つ貸して貰っていた。
「もう、本当に大丈夫なんですね?」
「ああ、銃弾は短剣に当たったし、血も、そこまで傷が深くなかったから、無理に動かなければ心配要らないって、城の医者も言ってたろ?」
「それはそうですけど、、、」
(ライザッドに俺が撃たれてからというもの、やけに心配するんだよなぁ〜、レンのやつ。まあ、心配してくれるのはありがたいけど。)
とその時、ドアがノックされた。
「どうぞ。」
レンが返事をすると、そこにはエルフィンの妹、この国の王女様のライラだった。ライラは初対面だったシンやレンにも優しく接してくれ、この城の案内を自ら買ってでてくれた。
「ご機嫌はいかがですか?シン様、レン様。」
「おかげさまでだいぶ良くなったよ。」
「ちょっと、シンってば!この国の王女様何だから言葉遣いをもっと、、」
「フフフ、大丈夫ですよ。何だかお友達が出来たみたいで楽しいです。」
恐らく、本心から言っているのだろう。ライラは本当に楽しそうな顔をしていた。
「ライラ、こんなところにいたのか。婆やが探してたぞ?また、抜け出したな?」
今度は、ライラの兄、エルフィンがやって来た。
「ですが、婆やは少し失敗すると昔からすぐに怒るから苦手なのです。」
何かの最中にこの部屋に来たのだろうかとシン達は疑問に思いながらも、この兄妹の会話聞いていた。
「全く、あまり婆やを困らせるなよ。」
「兄様だって、昔よく城を抜け出して困らせていたではありませんか。」
「だからと言って、抜け出して良い理由にはならないだろう。」
「ふんっ。説得力が無いですね!」
ライラは頰を膨らませ、エルフィンとは逆の方を向き抵抗していた。それを見てか、エルフィンはやれやれと言った感じで小さくため息をついた。
「ところで、シンとレン。君たち二人に父上が礼をしたいと言っているのだ。父上のいる王の間まで案内するから、ついて来てくれ。」
「いえ、そんな悪いですよ。部屋まで貸して貰っている訳ですし。」
レンはそう言ったが、恩人なんだから遠慮はしなくても良いとの事だった。シンとレンは悪い気がしたが、国を守ってくれた恩人なんだから受け取って欲しいという王様の心遣いを無下にもできないので、受け取る事にした。それから、エルフィンに案内され、国王のいる王の間まできた。
そこに居たのは、如何にも王様と言わんばかりの白い髪に髭、王冠や身形など全てが王という貫禄を出していた。その横には、綺麗な風格をしたエルフィンとライラと同じ金髪で緑色の目をした、王妃がいた。
「あなた達がライラの話していた方々ね。私の子供達がお世話になりました。」
「いえ、俺たちこそ、助けて貰ってばかりで、申し訳ない。」
「私が城を留守にしている間、そなた達が反乱勢力抑制の手助けをしてくれたと聞いてな、礼を言う。そこでだ、此度の件、そなた達には世話になった礼として何か褒美をやろう思うのだが何が良いだろうか?」
シンとレンはてっきり何か用意されているのだとばかり思っていたので、何も考えていなかった。
「何でも良いんですか?」
シンが尋ねる。
「基本的には用意できるものならば何でも構わん。」
シンは困った。特にこれと言ってすぐ欲しい物が思い付かなかった。
(短剣は街でも買えるからな。何かあるか?)
そんな事を考えていると、顔を下に向けながら考えていたレンが口を開いた。
「私には、レイナという三つ下の妹が居るんです。ですが、レイナは半年以上前に不治の病にかかりました。私は何としてもレイナを不治の病から治して、また一緒にくだらない事を話をしたり、同じものを見て、いろんな話をして、そんな当たり前の日々をまた過ごしたい。その一心であるかどうかも分からない不治の病を治せる薬を探して旅に出ているのです」
レンの口から語られたのは、シンが知らないレンの話だった。妹が居たことにも驚いたが、不治の病に冒され、それを治すための旅をしているという事に、シンは驚きを隠せなかった。
「うむ。では、そなたは妹の不治の病を治す薬が欲しいという事かな?」
「はい…」
「残念だが、我が国には不治の病を治せるような医術も薬も無いのだ。」
「そうですか……」
レンはそれを察していたのか、目に見えて落ち込んでいる様子はなかったが、シンは、どこかレンが落ち込んでいるように見えて仕方がなかった。
「だが、ここより東にある国に、薬や医療が発達しているアルキトラという国がある。そこなら、もしかしたら、不治の病を治せる情報があるかもしれん。馬車を出すから行ってみると良い。」
「本当ですか!?ありがとうございます。」
今まで探しても手がかりすら掴めなかったが、ようやく妹を救うことが出来るかもしれない手がかりを掴めた、ということが余程嬉しかったのだろう、レンの目が心なしか輝いているように見えた。
「恩人に、それだけというのもなんなんでな、旅に必要な物資とお金を準備しよう。」
「ありがとうございます。」
「妹さんの病が無事に治ることを心より願っていますよ。」
「はい!」
こうして、王都リネオスでの反乱勢力の件が終わり、レンの妹、レイナの不治の病を治すべく、また、新たな冒険に出るシンとレンだった。
次回、新たな冒険
のんびり書いていきたい。
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