7話 戦いの中で
丁度、シン達が貴族達が城に向かって行くのを見て、後を追っている頃、城の中は慌ただしくなっていた。
「エルフィン様!どうやら反乱勢力の者達がこの城に侵入したとの事です。」
「そうか、分かった。城の警備を固めつつ、ライラの身の安全を頼む」
そう言い放ったのは、この国の王子、リネオス・エルフィンだった。エルフィンは二十一歳で金髪の緑色の瞳をした、所謂イケメンと言わざるを得ない面構えだ。
「はっ!エルフィン様はどうなされるのですか?」
「俺は貴族どもの相手をしよう。貴族とは言っても城に攻めて来るぐらいだ、腕に自信があるんだろう。」
「ですが、それでは、エルフィン様が、、、」
「俺にはこの血刀ティルボルグがあるし、心配ないさ。」
「、、、分かりました。くれぐれもお気をつけ下さい。」
渋々兵士が了承した所に、今度は金髪のロングヘアでツヤがあり、緑色の瞳でスタイルの良い美人、ドレス姿がよく似合う十九歳のこの国の王女、リネオス・ライラだった。
「エルフィン兄様!」
「ライラか、ここは危ない。兵士と共に隠し部屋に行くんだ!」
「嫌です!エルフィン兄様も一緒に、、」
「ダメだ!兵士のみんなも戦ってくれている。なのに、一番力のある俺が戦わない訳にはいかない。」
「どうしても戦うのですね?」
「そうだ。分かってくれ」
「、、、分かりました。必ず無事に迎えに来て下さい。」
そう言うと、兵士と一緒にライラが隠し部屋の方に逃げて行った。ライラを見送った後、エルフィンは侵入してきた貴族達がいるであろう階に向かった。
その頃、シンとレンはと言うと城の入り口付近まで来ていた。
「追ったは良いものの、この後どうするの?」
「とりあえず、反乱勢力を鎮圧しつつ、この作戦の親玉を叩くぞ!」
「そうね。でも、国王も王妃もいないときに襲うなんて。」
「簡単ですよ!?戦力は出来るだけ少ない時に不意をつくのが戦の常識ですよ!?」
「誰だ!!」
この独特の喋り方をする声の方へ視線を向けると、そこには貴族とは言いがたい、ガタイが良く筋肉がついているのが服の上からでも分かるぐらいゴツい。だが、それとはバランスがおかしい感じにお腹だけは中年のおっさん以上に出ていた男が城に入ってすぐの階段の上にいた。
「私は〜〜この国の貴族の〜アークっ!ライザッドともうしま〜す!」
「なあ、レン。この頭のおかしな貴族は何なんだ?」
「さ、さあ〜?」
「おやっ!?頭のおかしな!?貴〜族〜〜!?誰のことかね〜〜?」
「該当する奴はここに一人しかいないだろ。」
シンは真顔でそう言った。レンはその会話を聞いたからなのか、目を細め、呆れた顔でシンの方を見た。
「おや〜、これは酷い言われようですね!?」
そう言うと、ライザッドは腰にかけていた剣を抜いた。するとその瞬間から空気が変わった。ピリピリと威圧されるような感覚を覚えた。
「そこの!少年よ〜、時に!そこの少女とはどう言う関係かね?」
「どう言う事だ!?」
「ん〜?それはで〜すね!試したのですよ!?」
それは一瞬だった。ライザッドは一瞬のうちに間合いを詰め、レンの背後を取り、人質という形で腕でレンの体を固定し、剣はレンの首元に向けられていた。
「若いです〜〜、さっきの質問はこの少女に人質の価値がある!のか試したのですよ!?少年は、少し体に力が入って体が動いた〜、それだけ分かれば大丈夫です〜」
(こいつ、戦い慣れしてやがるな。にしても、レンの奴なんで捕まったんだ?いつもだったらなんとかなりそうだけどな。参ったな。)
「私はこう見えてもこの作戦の主力ですからね!?舐めてもらって〜は困りますなあ〜」
「おい!レン。なんとかして抜け出せないのか!?」
「う、うるっさいわね。考え事してたのよ!」
「へっ!??」
「こんな状況で考え事とは〜舐めちゃってくれてますね!?」
レンの言葉に、こんな時に何を考えているんだろうと言う疑問はあったが、それよりも、この状況を打破する方法を考えなければならない。
(筋力があるんだから、足が速いのは当然といえば、当然か。足が速いのにパワーもあるってのは困ったな。いや、待てよ。)
何を思いついたのか、姿勢を今より落としライザッドに向かってシンが思いっ切りジャンプし、それと同時に懐から短剣を取り出し剣を抜く。その一秒にも満たない僅かな時間がライザッドの油断を生んだ。視線は完全にシンに向けられていた。この状況で交渉や人質構わず向かって来る奴はいても、隙を作る上に行動が予測しやすいジャンプと言う選択は、幾ら戦闘経験が豊富と言っても、一瞬ギョッとし、驚く。その隙をみてレンが全力で肘をライザッドの鳩尾に食らわせ、腕が緩んだところで下にしゃがみ込み、次の瞬間、思いっ切り顎に向かってアッパーを食らわせ、体を宙に浮かせた。すると、今度はシンが短剣をライザッドの剣を持っている方の肩に突き刺し、体を足で蹴り飛ばした。
「大丈夫か!レン!」
「ええ、おかげさまで。」
心配していたシンだったが、レンはと言うと、笑顔を見せるぐらい余裕はあるらしい。
「これは驚いた!!飛び込んでくるば〜かもんがいるとは!?」
「こっちも伊達に冒険してないんでね。」
「な〜るほど、確かに、そのようですね!?でも、これからですよ!?」
「その必要は無い。なぜなら、貴様にこれからなど無いからだ。」
そう言われた方に目線をやるとそこにはこの国の王子、リネオス・エルフィンの姿があった。
次回、王子と貴族の戦い
のんびり書いていきたい。
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