69話 五つ目の神器
「これは、本?」
レンが開けた翠色の宝箱には濃い青色の表紙をした無地の本が中に入っていた。そして、レンはその本を手に取って開いてみた。
「その神器は収留、フィニットブックと言います。それでは、また何処かで会いましょう。」
フロリアはそう言うと、光りと共に居なくなった。
「相変わらずだな。それで、その本には何が書かれてたんだ?」
「それが……」
シンがレンに本に何が書かれてたか聞くと、レンは言葉を詰まらせて戸惑っている様だった。
「どうかしたのか?」
「うん。この本、何も書かれた無いの。」
「本なのにか?」
レンの話しを聞いたシンが不思議に思い、困惑した表情を浮かべていた。そして、シンはレンに近づいて本の中を確認してみた。すると、本には何も書かれていなかった。レンが試しに他のページも見てみたが、どのページに何も書かれていなかった。
「本当に何も書いてないな。」
「うん。今度、この神器の使い方を色々試してみないとね。」
「そうだな。」
「これからどうするの?」
二人が神器について話しをしていると、サレサが二人に近づいて首を傾げて聞いてきた。
「そうね。とりあえず、上に待っている兵士のところまで戻らないと。」
「ふ〜ん。ねぇねぇ!二人について行っても良い?」
レンの話しを聞いたサレサが目をキラキラさせて上目遣いで聞いてきた。
「うん!良いよ〜」
サレサの様子を見ていたレンが心を打たれたのか、笑顔で頭を撫でながら了承していた。
「おい、そんな簡単に了承して大丈夫なのか?」
「シンお兄ちゃんはダメなの?」
「う……」
簡単に了承したレンを見てシンが渋い顔をしていると、サレサが目をうるっとさせながら首を傾げて聞いてきた。シンは目に小粒の涙を浮かべているサレサに罪悪感を感じていた。
「分かったよ。じゃあ、これからは三人旅だな。」
「うん!」
シンは仕方がないといった感じで了承したが、サレサは満面の笑みを浮かべていた。それから三人はこのダンジョンから出る為にさっき通ってきた森まで戻っていた。
「そういえば、どうしてサレサはこのダンジョンに来たんだ?」
「うんとね。お腹が空いたからダンジョンの魔物を食べようと思って。」
「え……?」
シンの質問にサレサが答えると、その理由にシンが若干引きながら反応した。
「オルターベルンに寄ったのもお腹が空いたから寄ったんだけど、よくよく考えたら私、お金持ってなかったんだよね……」
「お、おう。そうか……」
シンはサレサの話しを聞いて、サレサがどこか抜けている天然だという事が分かった。それからも三人は森の中を歩いていた。すると、三人が歩いてる先の木がガサガサと音を立てて揺れていた。
「なんだろう?」
木の様子を見ていたレンがそう言うと、その揺れている木からさっき逃げていったゴリラの魔物が二匹現れた。
「ウホ」
「ウホホ」
「あれ?あなた達どうしたの?」
魔物を見たサレサが不思議そうにして話し掛けた。
「ウホ」
「ウホホ」
「ああ〜もう、怒ってないから良いよ。」
魔物の話しを聞いたサレサが笑顔でそう言った。
「サレサは魔物の言葉が分かるの?」
「うん。でも、分からない魔物もいるんだけどね。この子達は頭が良いから話しやすいんだ。」
「へ〜」
レンの質問にサレサが答えると、シンとレンが関心していた。
「ウホ」
「ウホホ」
「そうなんだ。ありがとう!元気でね。」
サレサが笑顔でそう言うと、ゴリラの魔物が森中に帰って行った。
「なんて言ってたんだ?」
「うんとね。遊びたかっただけなんだ。色々と迷惑かけて悪かったって。」
「へ〜、そんな事言ってたのか。」
サレサの話しを聞いたシンが関心していた。それから三人は森を抜けて翠色の壁の道まで戻ってきた。
「ここまで戻ってきたな。」
「うん。後は来た道を戻るだけだね。」
「じゃあ、私はこの姿から変身して魔物姿になるね。」
「そういえば、どうして魔物の姿になるんだ?」
「うんとね。魔物の姿にならないと力を全力で発揮出来ないの。だから、もしもの時のためにダンジョンでは魔物の姿でいる事にしてるんだ。」
「へ〜」
「でも、魔物の姿になると、話す事が出来なくなるから会話が出来ないのが残念だけど……」
「大丈夫よ。」
シンの質問に答えていたサレサが残念そうな顔をして言った。そんなサレサを見て、レンがサレサの頭を撫でながら言った。
「うん!」
レンに頭を撫でられたサレサが嬉しそうな顔をしていると、サレサは二人から少し離れた。すると、首元に付けていた紫色のハートのアクセサリーの付いたペンダントが紫色に光り出した。その光りは辺りをその色に染めると、サレサの居たところに魔物の姿に変身したサレサが居た。
「クア!」
すると、サレサはいつものようにレンの肩に乗り、レンの頰に自分の顔をくっつけてすりすりしていた。
「擽ったいよ。」
レンはサレサにすりすりされると笑顔で言った。シンはその微笑ましい姿を見てなんだか安心した。
次回、旅に出る前日
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