61話 青白い光
「たまたま目撃した住人の証言では剣を持った赤い髪の男と青い髪をした女の子が夜中にこの町で何かを話しているのを見たと言うものがおりました。」
「剣を持った赤い髪!?」
兵士の話を聞いたシンは驚いていた。
「それから話している二人を見ていると、男が手に持っていた剣を女の子に向けて振り下ろした様なのです。」
「そんな!?それじゃあ、その女の子は……」
「兄さん……」
兵士の話を聞いたレンは悲しそうな顔をし、シンは険しい表情をしていた。
「いえ、それが……」
「ん?」
シンは兵士の言葉が詰まった様子を見て不思議に思った。
「どうやらその女の子は剣が振り下ろされる時に青白い雷を体から放ち、男の動きを止めると、男はその場から離れてどこかに行ったらしいのです。」
「兄さんが?」
「一体、その女の子は何者なんでしょうか?」
兵士の話を聞いた二人がそれぞれ色々な疑問を思った。
「恐らく、赤髪の男というのは我々の探しているニールで間違いないと思うのですが、何処に行ったかは分からずに見当がつかないのです。なので、その謎の女の子に話しを聞きたいのですが……」
「どうかしたのか?」
言葉を詰まらせた兵士にシンが不思議そうに聞いた。
「はい、それが、どうやらその女の子は赤髪の男と会った後、この町出て、ここから少し離れた西にあるダンジョンの方に歩いて行ってしまったと、目撃者から話しを聞いた兵士が言っており、その方向にはダンジョン以外、特に何も無いのでダンジョンに向かったと思うのですが、どうしたものかと思っていたのです。」
「ダンジョンか……」
兵士の話を聞いたシンが難しい顔をしていた。
「ダンジョンまではどれぐらい掛かるんですか?」
「馬車を使えば一時間ほどで着くかと思われます。」
「一時間か……レンはどうする?俺は行こうと思うが……」
「私も行く。まだ居るかどうか分からないけど、何か手掛かりがあるかもしれないし。もし会えたら、その謎の女の子に聞いてみよう。」
「ですが、危険が伴います。よろしいのですか?」
「ああ、多少の危険は覚悟のうえだ。」
「分かりました。では、案内しますので馬車まで行きましょう。」
「ああ。」
二人はこうして兵士の後に付いて行き、馬車のところまで戻ってきた。
「何名かこの町に残して聞き込みを続けますので、ダンジョンには私を含め兵士が三人とシン様とレン様になります。」
「分かりました。」
「それではお乗り下さい。」
二人はこうして馬車に乗るとオルターベルンを後にし、この町から西に位置しているというダンジョンに向かった。
「それにしても話しに聞く、その謎の女の子は何者なんだろう。」
馬車に乗り、ダンジョンへと向かう道中でレンがそんな事を言った。
「分からない。ただ、一つ言えることは、何らかの理由でその女の子が兄さんと戦ったって事だ。」
「うん。とりあえず、ダンジョンに行ってみないとね。」
「ああ。」
二人は馬車の中でそんな会話をした。
それから四十分ほど馬車を走らせると、周りは花畑が無くなり、木々が生えている森の中にいた。
「そろそろダンジョンに着きます。」
「分かった。」
兵士の言葉にシンが返事をすると、馬車は開けた場所に出た。そこにはピラミッドの様に段々で出来ている石造りの土台の上に正方形で出来た小さい神殿が建っていた。外見は翠色をしていて、上の神殿までは階段が続いていた。
「これが話していたダンジョンです。」
「ここまで連れてきてもらって悪かったな。」
馬車が止まったタイミングでシンが兵士に礼を言った。
「いえ。」
「ダンジョンへは俺とレンだけで行こうと思う。」
「ですが、それではもしもの時に……」
「ダンジョンが危険なのは百も承知だ。だからこそ、そんな危険な場所にあなた達を連れて行く訳には行かない。」
「それはシン様達にも同じ事が言えるではありませんか。」
シンの案に兵士は険しい顔をして、納得していない様子だった。
「確かにそうかもしれませんが、シンの言いたい事も分かってあげて下さい。私もわざわざ危険と分かっている場所に連れて行くのはちょっと心配です。それに、私達には神器もありますし、何度かダンジョンも攻略していますから。」
「ん〜……」
レンの話しを聞いた兵士が眉間に皺を寄せて悩んでいた。
「俺たちがダンジョンに入っている間、外で何か起きたり、手掛かりがないか、兵士のみんなで見張っていて欲しい。俺たちが余りにも戻って来ない様なら何かあったと思ってくれ。その後どうするかは任せる。」
「……分かりました。では、我々はここで見張りをして待機しています。お気をつけて。」
「ああ。」
兵士は不服そうではあったがシンの案を承諾した。それから二人は馬車を降り、神殿を目指して歩いた。階段を上がって神殿の入り口まで行くと、その両端に壁と同じ翠色で出来たレンの肩ぐらいの高さの円柱状の棒の上に、逆さになった正三角錐があるオブジェクトがあった。
「中に入るぞ。」
「うん。」
こうして二人は神殿の中へと入った。入り口から入ると直ぐに下へと続く階段があった。二人は辺りに何もない事を確認すると、階段を下りて行った。前にもあったが、ダンジョンだからなのか翠色に明かり、光源に困ることは無かった。馬車を降りてから神殿に入る為に上った階段分ぐらい下に下がると階段が終わり、開けた場所に出た。
「これは?」
「どうなってるんだ?」
二人が見ていたのは逆さになった階段や正面を見た時に横になって出来ている道が上下左右にある摩訶不思議な造りをしたダンジョンだった。
次回、五つ目のダンジョンと可愛い生き物
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