57話 ガールズトーク
二人はグラートと別れた後、城に戻った。王の間に行くとエルフィンの姿は無く、王様と王妃が座っていた。
「して、どうであった。」
「はい、グラートに会う事が出来ました。ただ、そのまま旅に出ると言って、行ってしまいました。」
レンが残念そうな顔をして言った。
「左様か。会う事が出来たのなら何よりだ。今日はもう泊まっていくといい。」
「いいんですか?ありがとうございます。」
こうして、二人は王様の計らいで城に泊まらせてもらう事になった。
それから前に泊まった時と同じ部屋に荷物を下ろし、少し休憩をとった。
「久々にここに泊まったな。」
「そうね、泊まらせてくれる王様に感謝しなきゃね。」
二人がそんな話をしていると、ドアがノックされた。
「レン様、シン様、お食事の準備が出来ました。」
ドアを開けたのはこの城のメイドだった。服装は黒と白の二色で出来た如何にもメイドっぽい服を着ていた。
「はい、今行きます。」
二人はメイドに案内されて、食事が用意されている部屋に案内された。案内された場所に着くと、そこには長方形のテーブルに白のテーブルクロスが敷かれていて、その上には様々な料理が並べられていた。イスは座と背中が赤色で出来ており、本来は木で出来ているであろう部分は金で出来ていた。それから二人は王様達と食事を済ませた後、自分たちの部屋に戻った。
「それじゃあ、私はお風呂に入ってこようと思うけど、シンはどうする?」
「俺はもう少し後になってから入るよ。」
「そう?じゃあ、先に行ってくるね。」
「ああ。」
レンはタオルと着替えを持って部屋を出ると、大浴場に向かった。この城が大きいため大浴場に行くまでに二分以上は歩かないと行けないかったが、それでも歩いているとやっと大浴場に着いた。レンは中に入り、脱衣所で服を脱ぐと大浴場に入った。中は大浴場ということもあって広々していた。温泉の湯気でよく前が見えなくなっていたが、そのまま真っ直ぐ進むと周りを石で囲まれた温泉があった。
「久々に入るけど、やっぱり大きいな〜」
レンは目の前の大浴場にそんな感想を言うと、温泉に肩まで浸かった。
「んん〜〜、久々の温泉は気持ちいいなぁ〜」
久々の温泉にレンは体を伸ばし、堪能していた。すると、脱衣所の方から話し声が聞こえてきた。
「誰だろう?」
レンが聞こえてきた声が誰のものなのか気になっていると、大浴場に入ってきたのはこの国の王妃と王女のライラだった。
「ライラと一緒に入るなんていつ以来かしら。」
「私がまだ十一歳ぐらいの時だったような気がします。」
「そうだったかしら。大きくなったわね。」
王妃とライラがそんな事を話しながら、レンのいる温泉の方に近づいてきた。
「王妃様に、ライラ王女!?」
レンは温泉の湯気でよく見えなかったが、二人が近くまで来た事で入っていた人物が王妃とライラだった事に気づいた。レンはまさか王妃とライラが入ってくるとは思わなかったので思わず立ち上がり、タオルで体を隠しながら言った。
「レン様じゃないですか。」
「まあ、ライラと久々の温泉だと思ったら、レン様もいたのですか。」
二人もレンがいた事に気づいていなかったようで、レン程ではなかったが驚いていたようだった。
「すいません、二人が入浴するなんて思ってなくて。今すぐ上がりますね。」
「いえいえ、レン様も一緒に入っていって下さい。」
「でも……」
「そうですよ。一緒に入りましょう?」
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
レンは二人の入浴の邪魔をしてはいけないと思って、温泉から上がろうとしたが、王妃とライラに誘われて、結局、一緒に温泉に入る事になった。
「それにしても、レン様、いつになったら私の事をライラと呼んでくれるのですか?」
「でも、王女様を呼び捨てにするのは、ちょっと……」
ライラが食い気味にレンに言ってきたが、レンは困った顔をしていた。
「それに、私の事をレン様って、様付けしてるのに私だけ呼び捨てにするのは……」
「確かに……」
ライラはレンにそう言われて一理あると思ったのか、悩んだ顔をした。
「だったら、私もレン様の事はレンと呼ぶので、ライラと呼んでください。これなら良いですか?」
「まあ、それなら……」
「本当ですか!?」
レンは渋々承諾した感じだったが、ライラは嬉しそうな顔していた。
「これからもよろしくお願いします、レン。」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします、ライラ。」
「フフ、二人とも良いですね。」
二人の様子を見ていた王妃が微笑みながら言った。
「私もレン様の事を好きに呼んでも良いかしら?」
「は、はい!」
レンは王妃の発言が意外だったので、驚いていた。
「では、レンちゃんと呼んでも良いですか?」
「王妃様がそれで良いのであれば構いません。」
「そうですか?ありがとうございます。レンちゃん。」
レンは王妃の問いに答えると、王妃は笑顔で礼を言った。
「なんだか、こうやって一緒に温泉に入っていると、娘がもう一人出来たみたいね。」
「そんな!?とんでもないです。」
「いえいえ、本当の事よ?」
レンは王妃の言葉に謙遜していると、王妃は楽しそうにして言った。
「レンちゃんはいくつになるのかしら?」
「私は十八歳です。」
「そう。ライラは十九歳だから歳も近いわね。」
「そうですね。」
「それにしても、ライラもあと少しで居なくなってしまうと考えると寂しいわね……」
「居なくなる?」
王妃の話を聞いたレンが気になり思わず聞いた。
「王族の女性は何か特別な事が無ければ、基本的には他の王族の方に嫁ぐのが習わしになっているのよ。」
「へぇ〜、そうだったんですか。」
レンは知らなかった王族の習わしを聞いて驚いた。
「私も元々はこの国の人では無かったのだけど、この国の王妃として嫁いで、もう随分経ちました。今ではエルフィンもライラも居てくれるので、良かったなと思っています。ライラにも是非幸せになって欲しいです。」
王妃はそう言うと、ライラの頭を撫でた。
「はい、私もこの国を離れて、早くセシル様に合う良い妻になろう思います。」
「ライラはもう結婚相手が決まっているんですか?」
「はい、エルフィン兄様の親友なんですけど、とても優しい素敵な方です。」
「へぇ〜、そうだったんだ。」
レンはライラに結婚相手が既にいると言う事に驚いていた。
「そういえば、レンちゃんはどうなんですか?」
「えっ!?私ですか?」
レンは王妃の突然の問いに、顔を赤くして困惑した顔をしていた。
「それは私も気になります。」
「ライラまで……」
「レンちゃんはシン様の事をどう思っているのですか?」」
「それは……その……」
興味津々で聞いてくる二人にレンは恥ずかしくなり、温泉に口まで浸かり、ブクブクして顔を赤くしていた。
「どうやらそれが答えのようですね。」
「はい。」
レンの様子を見ていた二人が笑顔で言った。
「二人とも意地悪です。」
「良いではありませんか。私たちだけの秘密です。」
レンが口を温泉から出して言うと、王妃は笑顔でそう言った。
「シンはその……なんと言うか、頼りになるし……私が辛かった時に優しく声を掛けてくれたんです。だからその……」
レンの話を二人はまだかと言わんばかりに楽しそうに聞いていた。
「……シンの事が……好きです。」
レンは下を向きながら顔を真っ赤にして言った。
「そうですか。」
「レンは可愛いですね。」
レンの話を聞いた二人が満足そうな顔をして言った。それを聞いたレンは顔を赤くして困惑した顔をしていた。
「でも、一つ気になる事があって。」
「気になる事?」
レンの言った事にライラが不思議そうな顔をして聞いた。
「シンのお兄さんの事です。」
「なるほど、確かにそうですね。」
レンの話を聞いた王妃が真剣な顔で言った。
「シンには私が助けて貰ったので、今度は私がシンの支えになりたいんです。」
「素敵ですね。」
レンの話を聞いたライラがそんな事を言った。
「もし、本当にシン様が困っていて、辛いのならレンちゃんが居てくれるだけで支えになる筈です。レンちゃんが辛い時に一緒に居てくれるありがたみを感じたのなら、是非、シン様の側に居てあげて下さい。」
「はい。」
王妃の言葉にレンは頷いて返事をした。こうして、レンは王妃とライラの三人だけの秘密の会話をした。レンはそれから先に温泉から上がり、自分の部屋に戻った。
「遅かったな。」
部屋に戻ると、シンが心配そうな顔をしてレンに話しかけてきた。
「うん、ちょっとね。」
「ん?」
微笑みながら言葉を濁したレンにシンは不思議そうな顔をしていた。
次回、ニールの行き先
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