54話 二回目のリネオス
二人がエスタルトを出発してから一週間ほどが経ち、特にこれと言って何かあったわけでも無く、関所を通って無事にリネオスに着いたところだった。辺りは相変わらず凄い人の数だった。
「久々に来たな、リネオス。」
「そうだね、反乱勢力の件があったから大変だったと思うけど街を見る感じ大丈夫そうだね。」
久々に見たリネオスの街の様子を見て二人は安堵していた。
「それじゃあ、気をつけてな。」
「はい、ありがとうございました。」
そう言って、馬車を操ってここまで送ってくれた男に礼を言って別れた。それから二人は城を目指して歩いた。
「この歩いてる途中にグラートが居ればいいんだけどな。」
「う〜ん、リネオスは広いからちょっと希望は薄いけどね。」
シンがそんな事を言うと、レンは眉を八の字にしながら残念そうに言った。
「でも探さないより良いだろ?」
「それはそうだけどね。」
そんな事を話した後、街にグラートがいないか一応探しながら城に向かっていると、当たり前だがグラートが見つかる筈もなく城の入り口に着いた。城の入り口には兵士が二人警備をしていた。
「あの、王様にお願いがあって来たんですけど、今お会いする事は出来ますか?」
「あなた方はシン殿にレン殿ではありませんか!少々お待ち下さい。確認して参ります。」
レンが警備をしていた兵士に声を掛けると、兵士が二人に気づいて慌てた様子で城に向かっていった。それから二人は暫く城の入り口で待っていると、さっきの兵士が戻ってきた。
「確認して前りました。是非、通してくれとの事でした。ご案内します。」
「ありがとうございます。」
二人は兵士について行った。城の中に入ると、王の間まで案内された。王の間にはいつかと同じように王様と王妃が立派な椅子に座っていた。
「では、私はこれで。」
兵士は二人の案内を終わると自分の持ち場に戻って行った。
「久しいな、シンにレンよ。」
「ええ。」
「お久しぶりです。」
王様の挨拶に二人も挨拶を返した。
「そなた達のお願いを聞きたいのは山山なのだが、私達は妹の件について何も聞かされていなかったのでな。どうなったか聞かせてくれ。」
「妹のレイナは無事に不治の病を治すことが出来ました。」
「おお!そうか。」
「それは良かったです。」
王様の質問にレンが答えると、王様も王妃も微笑み、安堵しているようだった。
「ならば良かった。して、お願いとはなんだ?」
「実は今、グラートという私の幼馴染を探して旅をしているんですが、リネオスに向かったという情報を手に入れてここまで来たんです。なので、グラートを探して欲しいのですが可能ですか?」
「なるほど、人を探しておるのか。この街は広いからの…良いだろう。そのグラートの特徴は何かあるか?」
「特徴ですか?う〜ん……」
王様の質問にレンが手を顎に触れて考えていた。
「グラートは黒髮の短髪で身長が百九十五センチの左の目元に横長の傷がある男の人です。」
「うむ、それだけ身長が高ければ直ぐに見つかるだろう。」
王様がそう言うと、横にいた兵士が王様に近づいて膝をついた。
「グラートというものがこの街にいるか探してくれ。」
「はっ!」
王様に頼まれた兵士が王の間を後にした。
「この街にいれば直ぐに分かる筈だ。暫し待たれよ。」
「ありがとうございます。」
グラートを探してくれた王様にレンが頭を軽く下げてお礼を言った。
「シン様、レン様、お久しぶりですね。お元気でしたか?」
二人は聞いたことのある声をした方を向いた。すると、そこにはこの国の王女のライラが立っていて、その直ぐ後ろには眼鏡を掛けたメイド姿の婆やと思われる老婆が立っていた。
「ライラか、久しぶりだな。」
「はい。お元気そうで何よりです。」
ライラを見たシンが挨拶をすると、ライラが笑顔で返事を返してきた。
「レン様もお久しぶりです。」
「はい、お久しぶりです。」
ライラが笑顔で挨拶をしてきたので、レンも笑顔で返事を返した。
「今回はゆっくりしていかれるのですか?」
「今、私の幼馴染を探してもらっているんです。なので、まずは見つかってからですかね。」
「そうでしたか。」
心配そうな顔をして聞いてきたライラにレンがそう言うと、少しは一緒に居られると思い安心したのかライラの表情が柔らかくなった。
「ライラお嬢様、お勉強の途中で抜けて来たんですからもう戻りますよ。」
「婆や、せっかくシン様とレン様が来て下さったのにもう戻るなんて……」
ライラの直ぐ後ろにいた婆やがそう言うと、ライラは残念そうな顔をして婆やに言った。
「話はお勉強が終わってからでも出来るでしょう!?ほら、行きますよ!」
婆やはそう言うと、ライラの背中を押して、元居たであろう場所に戻ろうとしていた。
「ええ〜、そんな〜、お願い、後一分だけ?ね?婆や、いいでしょう?」
「ダメです!そうやって今まで抜け出してきたではありませんか。ライラお嬢様の手にはもう乗りませんよ。」
「そんな〜……」
婆やに背中を押されながら何とかこの場に留まろうとしていたライラだったが、今までの行いの所為からか婆やは聞く耳を持たずにそのままライラの背中を押して王の間を後にした。
「大丈夫か?」
「多分?」
ライラと婆やのやり取りを見ていた二人が心配になってそんな事を言った。
「いつもの事なんだ。俺の時も似たような事が何回もあった。」
二人はまた、声のした方を向くと、そこには王の間に続く階段から歩いてくるこの国の王子のエルフィンだった。
「見苦しいところを見せたな。それにしても二人とも久々だな。」
「お久しぶりです。」
「はい。」
挨拶をしてきたエルフィンに二人も挨拶を返した。
「元気そうで何よりだ。ゆっくりしていくと良い。」
「はい。」
歓迎してくれたエルフィンにレンが返事をした。
「エルフィンよ、帰ったか。して、どうだった。」
「うん、どうやら思った通りかもしれない。」
「そうか……」
王様の問いにエルフィンが難しそうな顔で答えると、それを聞いた王様も難しい顔をした。
「何かあったのか?」
「ああ、一応、二人にも言っておいた方が良いな。」
シンが王様とエルフィンの様子を見て気になりエルフィンに聞くとエルフィンは真剣な顔でそう言った。
次回、シンの兄
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