52話 恩人の幼馴染
二人は家の中に入ると、正面にはカウンターがあり、その奥には家の廊下に繋がっている出入口があった。店主は四十歳ぐらいの顎髭の生やした男でカウンターに立っていた。中を見渡すと、カウンターに向かって左の方にはテーブルとイスが置かれていて、如何にもお店という感じがしていた。
「いらっしゃい。」
「あの〜、リネオスまでの馬車があるか聞きたいんですけど、ありますか?」
「リネオスか、ちょっと待ってな。」
レンが店主に尋ねると、カウンターに置いてあった名簿のような物を見て確認していた。
「明日の朝ならあるけど、どうする?」
「明日か……まあ、良いんじゃないか?」
「そうだね、じゃあそれでお願いします。」
店主からそう言われた二人は顔を合わせて、明日にこの村を出るという馬車に乗る事を決めた。
「じゃあ、明日になったらまた来てくれ。」
店主がそう言うと、カウンターの奥から七歳ぐらいの黒髮でショートヘアーの女の子が出てきた。
「お客さん?」
「ああ、リアナか。」
子供に気づいた店主がそう言った。
「こんにちは〜」
「こんにちは。」
リアナと呼ばれていた女の子に挨拶をされた二人は挨拶を返した。
「二人は何処まで行くの?」
「リネオスまでだ。」
「リネオス!?」
リアナの質問にシンが答えると、それを聞いたリアナが驚いた顔をして言った。
「そ、そうだけど……」
リアナの驚いた様子にシンは不思議に思いながら言った。
「じゃあ、二人もグラートお兄ちゃんと一緒だね。」
「グラートを知ってるの?」
リアナの話を聞いたレンが質問をした。
「うん。この村が山賊に襲われた時に、私が助けを呼びに村を出て森を走っていたら、たまたまグラートお兄ちゃんと会って、事情を話したら案内してくれって言われたの。それから、村まで案内したらグラートお兄ちゃんが山賊を倒してくれたんだ。」
「そうだったんだ。私はグラートと幼馴染なの。それで今はグラートに会うために旅をしてるんだ。」
リアナからグラートの事を聞いたレンがそんな事を話した。
「へ〜そうだったんだ!」
レンの話を聞いたリアナが驚いた顔をしながら言った。
「なるほど、それでリネオスまでの馬車を聞いたのか。」
「ええ。」
レンの話を聞いた店主が納得したように言った。
「君たち泊まるところはあるのかい?」
「いいえ、無いですけど……」
「じゃあ、うちに泊まっていくかい?」
「良いんですか?」
店主の提案にレンが眉を八の字にして言った。
「うちは全然大丈夫だよ。寧ろ、恩人の友人を泊まらせて貰えるなんて無いからね。」
「二人とも泊まっていってよ!」
「悪いな。」
「じゃあ、お言葉に甘えて、お邪魔します。」
こうして、二人は店主の家に泊まる事になった。二人はそれから中に入り、リアナに二人が寝る部屋まで案内してもらった。部屋にはベッドが二つと、テーブルとイスがある寝室だった。
「二人はここを使ってね。」
「ありがとう。」
リアナが笑顔で言ったのでレンも笑顔で返した。それから、二人は部屋に荷物を置くと、リアナに案内されてリビングに移動した。リビングはテーブルとイス、その少し離れた所に青のソファーが置かれていた。二人はイスに座ると、その向かえにリアナが座った。すると、リビングの奥の方からリアナによく似た黒髮のショートヘアーの女性がお茶の入ったコップをお盆に乗せて持ってきた。
「こんにちは。私はリアナの母のモナと言います。大したおもてなしが出来なくてごめんなさいね。」
「いえいえ、そんな事ないです。泊まらせて頂いてありがとうございます。」
モナがそう言うと、レンは泊まらせてくれた事にお礼を言った。
「ゆっくりして下さいね。」
「はい、ありがとうございます。」
二人はそれからリアナとモナとお茶を飲みながら雑談をした。少しして、シンとレンはリビングでリアナとモナと一緒に雑談をしていると、店主がリビングに入ってきた。
「そういえば、自己紹介がまだだったね、私はリアナの父でタークと言う。よろしくね。」
「はい、こちらこそ。私はレンです。」
「俺はシンだ、よろしく。」
タークが簡単な挨拶をすると、二人もそれに挨拶を返した。
「二人も知っているとは思うけど、ここ最近、山賊に村が襲われてね、お客もなかなか来なくて暇してるんだ。」
「こればっかりはどうしようも出来ないですからね。」
タークがそう言うと、モナが困った顔をしてタークに言った。
「そうだったんですか……」
二人の会話を聞いたレンが同情してそう言った。
「でも、これからきっと元通りになるよ!」
「そうだな。」
リアナはみんなの暗い雰囲気をなんとなく感じ取ったのか、元気に言うと雰囲気が明るくなった。タークはそんなリアナの頭を撫でて微笑んだ。タークに頭を撫でられたリアナも微笑んでいた。そんな親子の様子を見ていたシンとレン、モナも自然と笑みが溢れた。
次回、シンが旅する理由
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