50話 サントリア出発
子供達を七つの罪人、サーシャ・レイオーネから保護した次の日、二人は朝食を済ませると直ぐにウォーマットの本屋に向かった。
「ウォーマットにお礼を言わないとな。昨日は夜遅くになったから行けなかったし。」
「うん、色々教えてくれて助かったしね。」
二人はそんな会話をしていると、ウォーマットの本屋に着いた。
中に入ると、以前と同様、椅子に座って本を読んでいた。
「おお、お主達か、どうじゃったかの?」
入ってきた二人に気づいたウォーマットが昨日の事を聞いてきた。
「無事に子供達は救出する事が出来たよ。あんたのおかげだ、礼を言う。」
「なあ〜に、このぐらい朝飯前じゃ。」
シンが礼を言うと、ウォーマットは当たり前の事をしたまでと言わんばかりの口調で言っていた。
「私からもお礼を言います、ありがとうございました。」
「うむ。」
レンもウォーマットに礼を言うと、目を閉じて頷いていた。
「して、何か聞きたい事でもあるのかな?」
閉じていた右目を開けながら、そんな事を言ってきた。
「あんたのその何でも知っているのは何かの能力なのか?」
シンはウォーマットの人智を超えている助言に疑問を抱いていた。すると、シンの質問にウォーマットは腕を組み、何か考えるようにして下を向いた。そして、何かを決心したのか顔を上げると、真剣な眼差しで重い口を開いた。
「あれは今から三十年以上前の話じゃ。わしはその時からこの本屋をやっていての、その日は雨が降っていてどんよりしていたのを今でも覚えておる。わしがいつもの様に店で本を読んでいると、昔からの友人が訪ねてきてな。そして、その友人は来て早々、預かって欲しいものがあると言ってこの眼鏡を渡してきたんじゃ。すると、その友人は何も言わずに行ってしまっての。それから今まで三十年の間、わしが持っている訳じゃが、ある日ふと、この眼鏡の事を思い出して、しまっていたこの眼鏡を手に持って付けてみた。すると、この眼鏡のレンズからは不思議な事に実際に見ているものの細かい事が映像として見えてきたんじゃ。例えば、林檎を見ると何処で育って誰に育てられてどうやってここまで来たのか事細かに映像として見る事が出来る。更にこれは言葉などでも映像を見せる様での、グラートという人物が何処にいるのか分かったのもこの力のおかげという訳じゃ。そして、この力は映像から映像に移動する事が出来ての。簡単に説明すると、映像の中に出てきたものの情報まで分かり、次から次へと情報を辿っていく事が出来るんじゃ。」
ウォーマットの説明に二人は驚きを隠せずにいた。すると、ウォーマットが下を向いて何かを思い出す様に話を続けた。
「じゃが、最初につけてみた時にはこんな事にはならなかったのでな、不思議に思ったわしは鏡を見て、この眼鏡を見てみた。すると、この眼鏡が神器と呼ばれるものという事や能力について知る事が出来たのじゃが、この眼鏡を持ってきたわしの友人はもう亡くなってしまっていたという事も分かってな。当時は涙を流して悲しんだもんじゃ。」
「そんな事があったんですね……」
レンは知らなかったウォーマットの過去を聞いて重い表情で言った。
「まあ、ざっとわしが何故色々な事が分かるか説明したが、何か質問あるかの?」
「いや、もう十分だ。世話になったな、ありがとう。」
「また、なんかあったら来ると良い。年寄りの助言はよく聞くようにの。」
二人はこうしてウォーマットとの会話を済ませると、本屋を後にした。
「しかし、あの少年は大丈夫かの〜、わしは会わない方が良いと思うがの……どうなるやら。」
二人はその後、ウォーマットが言っていたグラートがいるというサントリアから南西にあるエスタルトへと向かい、サントリアを後にした。
〜時は遡る事、半日ほど前〜
シンとレンに妨害に遭い、子供達を逃す形になってしまったサーシャ・レイオーネはサントリアから少し離れた森の中にいた。
「ごめんなさい。子供達を奪われた。」
「おいおい、あれは結構高く付くんだぜ。全く、分かってるんだろうな。」
「分かってる。次は失敗しない。」
「頼むぜ?」
次回、エスタルト到着
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