43話 氷の兵士達
二人は熊の魔物を倒した後、氷で出来た一本道をまっすぐ進んでいた。
「にしても、その神器があんなに強いとは思わなかったな。」
「そうね、これでリナザクラの能力がどんなものなのか分かったしね。」
「ああ、そうだな。」
シンがそう言うと、レンは何だか浮かない顔をしていた。
「どうかしたのか?」
レンの顔を見たシンが気になり、レンに聞いた。
「うん、あの時、私が攻撃したから吹き飛んだというより、あの熊の魔物の攻撃がリナザクラに当たって、跳ね返ったような感じがしたんだよね。」
「跳ね返る?吹き飛ばしたとかじゃなくてか?」
レンの言葉にシンはそんな印象を受けなかったので気になり、レンに質問をした。
「う〜ん、感覚だけどね……」
「そうか……」
二人はリナザクラがどんな条件で発動する神器なのか今一把握しきれなかった。そうこうしているうちに道が徐々にだが上り始めていた。それからも暫く歩いていると、上り坂が終わり、少し前に空間があった。
「またさっきみたいに魔物がいるだろうから気をつけて行こう。」
「うん。」
二人は警戒しながら前の空間に入って行く。すると、その空間はさっきよりも少し大きなドーム状の空間だった。更に、二人がいる反対側の壁側に奥へと続く道があった。二人は何かいると思い警戒しながら入ってきたが、それとは裏腹に何かいるという事も無く、不自然なほど静寂だった。
「特に何も無いけど……なんか変な感じだな。」
シンは辺りを見渡しながらそう言った。
「そうね……今までの感じでいうと何かあってもおかしくないけど……」
二人が今のこの状況を不思議に思いながら歩いていた。二人は向こうの壁側にある道に行く為にどんどん進んでいく。すると、この空間の真ん中ぐらいまで進んだ時だった。二人が通ってきた道からガキーンという音をがした。
「今のは!?」
「何だ!?」
二人は振り返り、何が起こったのか原因を探した。すると、二人が通ってきた道に横の壁から氷柱が突き出し、隙間無く入口を塞いでいた。すると、今度は二人が通ろうとしていた向こう側の道からもさっきと同じガキーンという音がした。二人は音のした方を振り向くと、例の如く氷柱が横の壁から突き出ており、道を塞いでいた。
「こっちもか……!?」
「何かの罠かも……」
二人は荷物を置いて背中合わせになり、警戒した。シンは懐からサニアとイニルを取り出し、レンもリナザクラを取り出して戦闘体勢になる。すると、壁に近い床から氷がまるで成長の早い植物のように生え、人の背の高さぐらいの小さな氷の木の茎のようにも見える氷が、周囲を囲むように生えた。
「これは……なんか不味そうだな……」
「そうね……」
二人はこの状況を見て、苦い表情を浮かべていた。すると、二人の予想は的中した。今まで木の茎のようだった氷が枝分かれし、氷の太さはどんどん増していたった。すると、氷は人型になり、目は青く光り、右手には中世ヨーロッパ風の氷の剣を持ち、左手には小盾を持つ氷の魔物が周囲を囲むように現れた。
「これがこのダンジョンの罠って事か……レン、サニアを使うからしゃがんでくれ。」
「うん。」
レンはシンに言われた通りしゃがむと、シンはサニアを周囲の魔物全てに向かって薙ぎ払った。すると、サニアの斬撃は魔物を粉々にした。
「よし、もういいぞ。」
「氷で出来てるからか意外と簡単に倒せたね。」
レンはシンに言われて立つとそんな事を言った。
「だといんだけどな……」
シンがそう言うと、さっきと同じように床から氷が生えてきていた。今度の氷はさっきよりも背が高くなく、半分ぐらいの高さだった。
「っ…?!まだ終わりじゃ無いみたいね。」
「ああ。」
すると、今度は氷で出来た目の青い、中型犬ぐらいの大きさの犬の魔物にさっきの人型の魔物をそのまま小さくした姿の魔物が背中に乗って数十体現れた。
「またか……」
シンはそう言うと、サニアがレンに当たらない方向に薙ぎ払った。すると、犬の魔物に乗って身軽な為か、数体は上に飛んで躱した。
「そう簡単にはいかないか……」
「仕方ないよ、地道に少しずつ倒そう。」
レンがそう言うと、魔物が二人に向かって一斉に走り出した。それを見たレンはリナザクラを広げた。
一体の魔物がシンに向かって飛び掛ってきたので、シンはサニアを振り下ろした。すると、魔物は跡形も無く粉々に砕けた。だが、まだ結構な数の魔物がいる。
今度はレンに魔物が数体飛び掛ってきた。レンはリナザクラをその魔物達に向かって広げて、魔物の攻撃を扇面受けた。すると、扇面が白く光り、魔物達を粉々にした。
「便利な能力だな。」
「そうでしょ?!」
シンがレンの様子を見て羨ましそうに言うと、レンは自慢げな顔をしてシンに言った。その後も魔物の素早い動きに苦戦しながらも何とか全ての魔物を倒す事が出来た。
「やっと……全部倒せた〜」
「ああ……」
二人は息を切らしながら言った。すると、今度は通ろうとしていた塞がっている道の前に、さっきまでとは大きさが明らかに違う氷が今までと同じように一本生えてきた。すると、その氷は人二人分ほどの大きさになり、人型の魔物が現れた。全身は西洋の甲冑を着た兵士のような見た目をしており、頭の兜の部分には悪魔の角のような物が左右に有り、目は今までの氷の魔物と同じように青色に光っていた。右手にはランスを持ち、左手に大盾を持ち、それらが全て氷で出来ている。
「いつになったら終わるんだ……」
「分からないけど、倒すしか無いでしょ」
二人はいつまで続くか分からない事に不安を感じていた。
次回、グラートの行方
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