42話 リナザクラの使い方
何とか氷で出来た道を渡りきった二人はそのまま道なりに進んでいた。道は下っていて、さっき通ってきた道と同じように螺旋状になっていた。この道を下まで下りてから道なりにある程度進むと、それなりに広い空間に出た。すると、そこには四足歩行で歩いている熊の魔物がいた。その熊の体は白い毛で覆われていたが、腕と足は赤い毛が生えており、左目の部分に稲妻のような傷があった。大きさも人二人分はあり、手には鋭い爪をが生えている。
「あれは熊か?」
「少し毛の色が特殊ね。」
熊の魔物に二人は目新しさを感じていた。すると、熊の魔物が二人に気づいたようで、段々と近づいてきた。それを見たシンはサニアとイニルを取り出した。
「くるぞ……!」
「うん。でも、試したい事があるからまだ攻撃しないで。」
「ん……?」
シンがレンの方を向くと、レンが背負っていたリナザクラを取り出した。
「リナザクラがどんな神器か使ってみたいの。」
「それは良いけど……気をつけろよ?あの魔物の爪は危険だ。」
「分かってる。」
「グルルアアァァ〜〜!!!」
二人が話していると、熊の魔物が四足歩行から二足歩行になり、手を横に大きく広げて威嚇してきた。すると、手足の赤い色が体の白い色を侵食して、白から赤っぽい印象を受ける見た目になった。
「色が変わった!?」
シンが驚いていると、魔物が鋭い爪をシンに向かって振り下ろしてきた。シンはそれを後ろに飛んで避けると、魔物の攻撃は氷の床にあたった。すると、その部分を中心に氷の地面が割れ、熊の魔物の攻撃の強さが目で見てわかった。
「はあぁぁ!!」
レンは魔物の攻撃で出来た隙を突いてリナザクラを畳んだまま魔物に向かって振り下ろした。だが、これといって何か起こるという訳でなく、ただただ殴り付けただけだった。
「使い方が違うのかな?」
レンがリナザクラの使い方を考えていると、殴り付けられて怒った魔物がレンに向かって右手を振り払ってきた。レンはそれを上に飛んで躱し、魔物の顔を踏み台にして後方に離れた。
「グルルルアアァァァ〜〜!!!」
レンに踏み台にされて怒った魔物がさっきよりも大きな声で威嚇をした。すると、全身が赤色に変わり、生えていた鋭い爪が大きくなり、更に見た目の禍々しさが増していた。
「おいおい、マジかよ。レン!気をつけろよ!あんな爪で攻撃された一溜りもないぞ…」
「うん、分かってる。」
シンが魔物の姿を見て心配していると、レンはリナザクラを広げながら言った。すると、魔物が四足歩行になり、姿勢を低くしてその場に止まっていた。
「何だ!?」
シンが不思議に思っていると、次の瞬間、魔物がレンに向かって勢いよく飛び掛かってきた。魔物のいた場所の氷は飛んだ時の衝撃から粉々になっていた。魔物は物凄い速さでレンに向かって行く。そして、魔物はレンが近くになると、右手を後ろに構えて振り下ろした時の威力を上げていた。レンはというと、向かってくる魔物の攻撃を躱そうと姿勢を低くしていた。すると、魔物が右手をレンに向かって思いっきり振り下ろした。レンはそれを後ろに飛び躱す。だが、思いの外、振り下ろす速度が速かった為、レンに当たりそうだった。
「レン!!!」
それを見ていたシンが叫ぶ。レンもこのままだと当たるという事はわかった。すると、レンは咄嗟に右手に持っていたリナザクラを魔物が振り下ろしてきた右手に向かって払った。その時、リナザクラの扇面に振り下ろした右手に当たった。すると、リナザクラの扇面が白く光った。
「この光は……!?」
突然の光にシンは左腕で目を隠した。すると、次の瞬間、攻撃したはずの熊の魔物は向こう側の壁まで吹っ飛ばされていた。熊の魔物は人間の力では不可能なほど壁にめり込んでいた。
「何だこりゃ……!?」
「こんな力があるなんて……」
二人は今起きた一瞬の出来事に驚いていた。
「大丈夫だったか?」
「う、うん……無事だったんだけど……、これは一体……」
シンはレンの心配をしていると、レンは自分がやったであろう今の状況を見て戸惑っていたようだった。
「多分、これがその神器の能力なんじゃないのか?」
「そうみたいだね……」
こうして二人は新しい神器、リナザクラの能力に驚きながらも先に進んだ。
次回、氷の兵士達
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