39話 姉妹の会話
朝食を食べてから時間が過ぎ、もうすぐで夕方になる頃だった。明日に備えて二人は荷物の準備をしていた。
「ところで、一番近いダンジョンってここからどのぐらいの場所にあるんだ?」
「そうですね、大体ですけど二日ぐらい歩いたところに一つあった気がします。」
「二日か……」
シンがダンジョンの場所についてレンに聞くと、二日ぐらいと言う事は分かったが、二日も外の寒い空気にさらされながら歩いていかなければならないと考えると少し憂鬱だった。
「そのダンジョンはここより北に行く事になるので、更に気温は下がります。」
「ええ〜……」
レンの発言に、シンは思わず険しい表情をしていた。
「でも、家にだったら温熱石があるのである程度は大丈夫だと思いますよ。」
「温熱石?」
シンは初めて聞く言葉に、それがどんな物なのか気になった。
「温熱石っていうのは、熱を溜めて温度を保つ事が出来る石の事です。主に寒い地域の家庭には一個はあるんですけど、高価な上に壊れやすいのでほとんど市場には出回らない物なんです。」
「へ〜、そんな便利な物があるのか。」
シンは自分の知らない温熱石という物に感心していた。
「で、その高価な物がレンの家には何個あるんだ?」
「私の家は二個あるので、丁度二人分ですね。正直、一個あれば十分なんですけど、さっきも言った通り壊れやすいので二個持っていきましょう。」
「分かった。」
シンはどうやら温熱石というのは壊れやすいという事は良く理解した。
二人はそれから明日からの旅の準備を終わらせた。少しすると、みんなで晩御飯を食べた。それからは、お風呂などを済ませて後は寝るだけだった。
「明日は朝食を食べたら直ぐに出発しましょう。」
「ああ、そうだな。」
「すまんのう。疲れていると思うが頼む。」
「いえいえ、そんな事ないです。」
シンとレンがリビングで明日の事を話していると、村長が謝ってきたのでシンは気にしていない事を伝えた。
「お姉ちゃんとシンさんはダンジョンに行った後はどうするの?」
すると、レイナが心配そうな顔をしてそう言ってきた。
「そうね、戻って来るかな。」
「本当に!?」
レンが戻って来る事を伝えると、レイナは嬉しそうに言った。
「でも、グラートがいなかったらどうするんだ?」
シンはそもそもこの村を出たのが三ヶ月ほど前の事なら、もういない可能性の方が高いのでレンに聞いた。
「そうね。でも、どっちにしろ一度ここに戻ってきてから次に行くところを決めましょう。」
「分かった。」
シンはこの後の予定をある程度把握した。
「さあ、明日は少し早いんだから、もう寝るとするかね。」
「それもそうね。」
おばあちゃんがそう言うと、レンが相槌を打った。その後、みんなはそれぞれの寝る部屋に行った。
「お姉ちゃんと寝るのなんて久しぶりだね。」
「でも、昨日は私、こっちで寝てたんでしょ?」
レイナの部屋で、レイナとレンがベットに横になりながら、向かい合って会話をしていた。
「でも、直ぐに寝ちゃった上に、気づいたらシンさんの部屋で寝てたじゃん。」
「うう……それはそうだけど……」
レンはレイナに恥ずかしい事実を言われて、何も言えなかった。
「ねえ、お姉ちゃん。」
「うん?」
レイナがレンに話し掛ける。
「お姉ちゃん、シンさんの事好きでしょ?」
「な……ッ!?」
レイナの突然のそんな言葉に、レンは顔を真っ赤にして、恥ずかしがっていた。
「見てれば分かるよ……私は産まれてから今までずっとお姉ちゃんの妹なんだもん。」
レイナは優しいゆっくりとした口調で言った。
「それは……そうだけど……そんなに分かりやすい?」
レンは毛布で顔を半分、隠しながら言った。
「そりゃあもう、直ぐに分かったよ。」
「そんなに……?」
「分かりやす過ぎて、てっきり付き合ってるのかと思ったよ。」
「うう……」
レイナにそう言われると、レンは布団で顔を全て隠した。
「もう少し素直になっても良いんじゃない?なんか、未だに硬い言い方の時あるし。」
レイナはレンに提案をした。すると、レンは毛布を目が見える程度まで下げて、レイナの事を見た。
「でも、嫌われたりしないかな……?」
レンは不安そうな口調でレイナに聞いた。
「大丈夫だよ。シンさんは一途な人だよ、きっと……」
レイナは仰向けになり、昨日の事を思い出しながらそう言った。
「そうかな……」
「そうだよ。」
レンが心配そうに言うと、レイナはレンを励ました。
「何だかレイナがお姉ちゃんみたいだね。」
「そうだね。しっかりしてよ?お姉ちゃん。」
レンが微笑みながら言うと、レイナも微笑みながら言った。
「私は明日から少し家に居ないけど、体とか大丈夫?」
「……」
「レイナ?」
「う、うん。大丈夫だよ。」
レンがレイナを心配して聞くと、レイナは微笑みながらそう言った。
次回、エルナ出発
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