34話 レンの涙
「レイナ……ねえ……死なないでよ……」
レンは体を震わせながら大粒の涙を流してレイナに言った。だが、レイナはピクリとも動かなかった。動かなかったというより、動けなかったという方が正しかった。レイナはもう死んでしまっているのだから。
「……」
その場に居たシンは何も言えなかった。長老夫婦もレイナとは長い間一緒に暮らしてきた為だろう。その瞳からは涙が流れていた。シンはレイナとは直接的な関わりは無かったものの、ここに来るまでにレンからレイナの事を聞いて知っていたので、シンも切ない気持ちなっていた。
「私を……置いて……行かないでよ……」
レンはそう言うと床に泣き崩れて女の子座りになり、手で顔を抑えた。顔は手で覆われていたが、涙が頰を伝いぽたぽたと流れ出ており、体は震えていた。
「レン……」
レンの事が心配になったシンは立ち上がりながらレンの名前を口にした。そして、シンはレンの肩に手を回した。レンの体はシンの思っているよりも震えており、レンがレイナの事をどれだけ大切に思っていたのかという事が伝わってきた。
するとその時、レンの首から下げていた磨かれていなく、輝きを失っていた大地の雫の宝石が急に虹色に輝き出し、宝石が砕けるとその光がどんどん強くなっていった。
「なんだ……!?」
「……!?」
シンもレンもその場に居た誰もが何が起きたか分からなかった。すると、虹色の光は部屋全体まで広がり外に漏れ出し、余りのその光の強さに目を腕で隠す程だった。暫く宝石が虹色の光を放っていると、やがて虹色の輝きが弱くなり、なくなった。
「何だったんだ!?」
シンがそう言った時だった。死んだはずのレイナがベッドに座り、何が起きたのか分からないといった顔をしていた。
「レイナ……!?」
死んだはずのレイナが座っていることにレンが気づいた。
「レイナ!!!」
レンが泣きながらレイナの名前を呼んで抱き付いた。シンも老夫婦も何が起こったのか分からず唖然としていた。
「お姉ちゃん……苦しいよ……」
レイナは強く抱き付いていたレンにそう言った。だが、レンは抱き付く事をやめなかった。レンも何が起こったのか分からなかったが、死んだはずの妹が生きているという現実を確かめたいというのと、もう死なないでという気持ちなどがレンを無意識のうちにそうさせていた。レイナもそれを分かってか、それ以上は何も言わずレンの頭を撫でていた。
「これは一体どういう事なんだ?」
シンが余りの現実離れした出来事にそんな言葉を発した。それもそのはず、レイナは生き返っただけでなく、恐らくレイナが健康な時であったであろう見た目をしていた。痩せこけていた時の見た目とはまるで別人のように変わり、黒髮のロングヘアーで髪には艶があり、碧色の目がしっかりと見えていた。左の目元には泣きぼくろがあり、レンによく似ている美人だった。
「私にも分かりません。ただ、まだ死んではいけないと言われた気がします。」
シンが今の現状に思わず漏らした言葉に、レイナはそんな言葉を返してくる。すると、閉まっていたドアを開けて村人が入ってきた。
「すごい光だったぞ。何かあった……!?」
大地の雫の虹色の光に何かあったのかと心配してきた村人がレイナの事を見て、言葉が詰まっていた。すると、突然の事に唖然としていた村人がハッと我に返り、村の方へ走っていた。
「みんな〜レイナちゃんが〜」
外に走って行った村人が村中に聞こえるような大きな声でレイナの事を叫んでいた。
「流石に恥ずかしんですけど……」
それを聞いたレイナが恥ずかしさから頰を赤らめていた。
次回、レンとレイナ
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