32話 エルナまでの道中
二人はラクタートを出発して三日が経っていた。気温はラクタートよりも更に寒くなっていて、呼吸をすると白い息が自然と出てしまう程だった。周りの景色も気候が寒いせいか花はほとんど咲いていなく、雑草と一緒に白い小さな花が道の横に申し訳程度に咲ているくらいだった。道の周りの木も針葉樹がほとんどで、味気ない風景がずっと続いていた。
「なあ、レン。ここら辺の地域はいつもこんなに寒いのか?」
シンが寒さから手に白い息を吹きかけながらレンに聞いた。
「そうですね。でも、まだ暖かい方です。」
「マジか……」
レンの返事にシンは自分だったら暮らしていけるんだろうかと思った。
「ここからはもう少し寒くなるので気をつけて下さいね。」
「……」
レンの言葉にシンは苦い表情を浮かべていた。
それから数時間歩くと陽が落ちてきて、段々と辺りが暗くなってきた。
「今日はもう暗いのでここら辺で野宿ですね。」
「ああ、そうだな。」
そういうと、二人は寝るための準備をした。焚き火をする為の木や燃えやすそうな草などを集め、それにライターで火を付けて暖まった。木は乾燥しているためかよく燃えるため、寒さに心配することは無かった。
「いつもこれだけ暖かいと良いのにな〜」
「そうですね〜」
二人は焚き火に手を翳して、温めながら言った。辺りは真っ暗になっており、焚き火の光が二人を優しく包むように明るくしていた。
「そういえば、レイナってどんな人なんだ?」
シンが尋ねると、レンは焚き火の方を見て何かを思い出しているかのような目をしていた。
「レイナは私にそっくりですね……。体格もほとんど一緒で、違う所は黒髮のロングヘアーで目の色は碧色、左の目元に泣きぼくろがあるというぐらいですかね。お茶目な性格だけどしっかり者で、村の人からは仲良し姉妹だとか、双子の姉妹だねとか言われてました。」
「そうか……そういえば、レンの両親は何をしてるんだ?」
シンはレンの話を聞いて焚き火を見ていたが、ふとレンの両親の事が気になりレンの方を向いて聞いた。
「私の両親は、私が五歳ぐらいの時に雪崩にあってもういないんです。その時、私とレイナは村の長老の家に預けられていて、それからは村の長老の家で育ちました。」
「そうだったのか……要らん事を聞いたな……悪い。」
シンはレンの両親がもう無くなっている事を知らずに聞いてしまった事に恨めしさを感じていた。
「ううん、大丈夫。こんな事シン以外の人には話さないよ。」
シンは恨めしさを感じていたが、レンが首を横に振ってそう言ってくれた事に感謝していた。
「さっ、今日はもう寝ましょう。明日も結構歩くし。」
レンはそう言うと、毛布を掛けて横になった。
「それもそうだな。」
シンもレンに倣って毛布を掛けて横になり、その日は早めに寝た。
次回、レイナ
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