30話 ラクタート到着
海の中にあったダンジョンを攻略してから四日が経っており、二人の乗っている船が丁度、港町ラクタートに着いたところだった。
「へ〜、ここがラクタートか……」
シンが見ていたのは、赤いレンガで造られた家々が立ち並び、道は白の石造りで出来ていた。道の横には水路が迷路のように入り組んでいて、水路の上には石で出来た橋が所々にあり、道と道とを繋いでいた。この町の見た目を簡単に説明するなら、西洋の水の都という例えが一番合っていた。
「はい。ここラクタートは港町なのでレジアルと同じように色々な物や人がいますね。」
レンがそういうと船から木製でできた桟橋に移動した。シンはそれに置いて行かれないようにレンについて行く。石造りの道まで歩くとシンはレンに質問をした。
「これからはどうするんだ?」
「そうですね、まずはこの町でエルナまで行くのに必要な物を買い揃えます。それが終わったらエルナに出発するって感じです。」
「なるほど、それでエルナまでは何が必要なんだ?」
レンの説明を受けたシンがまた質問をした。
「まずは、服ですね。前にも話したようにエルナは寒い所なので寒さに耐えられる暖かい服を買います。」
「服か、確かにこの町ですら少し肌寒いからな。レジアルとは同じ港町と言っても気温はこっちの方が断然寒いな。」
レンが服の事を話すと、シンは納得して手の肌を擦りながら言った。
「あとは、食料ですかね。エルナまでは一週間近く掛かりますから、服を買って着替えた後、買いに行きましょう。」
「分かった。」
二人は会話を終わらせて町の中を歩いて行く。町中を歩いていると服屋に着いた。どこにでもありそうな見た目をしていて、ショーウインド越しに服が沢山見えていた。
「まずはここで服を買いましょう。」
「おお。」
そういうと、二人は服屋に入っていった。服屋の中は男物から女物まで幅広く置いてあり、二人は中を見て回った。すると、冬服を置いてあるコーナーがあった。
「この中から選びましょう。」
「ああ。」
そう言うとレンは女物の服を選び始めた。シンはという服屋に入ったことがほとんど無く、沢山ある服の種類や数に何を選べばいいのか迷っていた。
「どうですかね?」
シンは声をした方に顔を向けると、レンが灰色のニットセーターにモッズコートを羽織り、下は動きやすそうなジーンズを穿き、首にはモフモフの白いマフラーを付けて、ほんのり頰を赤くしていた。
「似合ってるぞ……」
レンの姿にシンは照れくさそうに言った。すると、レンはニコニコしていた。
「なあ、レン。服が決められないんだけど選んでくれないか?俺の村にはこんなに服が無くて何を選べば良いのか分からなくてさ。」
「良いですよ!何にしようかな〜」
シンは自分で決められなかったのでレンにお願いした。すると、レンはニコニコしながら楽しそうに服を選び始めた。暫くすると、レンがシンに選んだ服を渡してきたので、シンはレンが選んだ服に着替えた。
「どうだ?」
暫くすると、着替えたシンが試着室から出てきて照れくさそうに頭を掻きながらレンに聞いた。シンは白の服の上に黒のカーディガン、下はクリーム色のズボンにレンと同じモッズコートを着ていた。
「うん、似合ってますね。」
レンはシンの格好を見て、満足そうな顔をしていた。すると、シンがとある事を疑問に思い、レンに聞いた。
「なあ、このレンと同じ服にしたのには何か理由があるのか?」
「え、ええっと〜、暖かいからかな……」
シンの質問にレンがほんのり頰を赤くし、困惑した顔をしていた。
「なんか、同じ服を着てるとカップルみたいだなと思ってさ……」
シンが照れながらそう言うと、レンは下を向き、二人の間に何とも言い難い沈黙が続いた。
「ま、まずは、買ってきましょうか。」
「そ、そうだな。」
レンが沈黙を破ると二人は会計を済ませて、買った服を着て服屋を後にし、道を歩いていた。
(シンがあんな事言うから考えちゃったじゃない……)
(なんか言ってくれよ、恥ずかしいだろうが……)
二人がそれぞれ、こんな事を考えながら道を歩いていると道で話していた主婦の集団から、若いわね〜、付き合ってるのかしら、と話しているのが二人に聞こえてきた。すると、二人は下を向いて顔を赤くしながらその場所を早々と阿吽の呼吸で歩き、離れた。
「はぁ〜、なんて事を言うんだ。」
シンが頰を赤くしながら言った。シンがレンの方を見ると、レンはまだ下を向いたままだった。
次回、ラクタート出発
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